第10話
「うのさん?」
ドアを左腕で押し、支えたまま呼ぶと、彼女は俯き掛けて零れた髪を目を瞑って払い除けながら「はい」と返事をする。
ぱ、と見上げられて合った目。
何となく、いつもと違うことが判った。
「え、えと、いま、なんじ……」
「ちょ、っと待って」
「?」
首を傾げた宇乃さんの腕を引っ張って、取り敢えず玄関に入れる。
俺は、ふと顔を寄せて口を開く。
「飲みましたよね」
沈黙。
の、後。宇乃さんは慌てたように「わ、お、おそくにごめんなは……」と言い掛ける。
噛んでるし。
吃逆してるし。
嘘。
ほんとに酔ってる……?
じっと宇乃さんの顔を見つめる。
すると彼女は、気まずげに顔を逸らした。
え。
やっぱり嘘!?
「い、今、何で逸らしたの……」
「!」
顔を逸らした後、両腕を上げてバリアのように振る舞う彼女の手首を掴んで問うてみる。
彼女は、火照っていた頬を更に赤くした。
「……貴方が、格好良いから」
な――――……ッ!?
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