第5話

映画はまた今度一緒に観れたらいい。



ご飯も。




また、頑張れなかった気がした。


唯一自分を褒められることと言ったら、早々と相良さんを誘わなかったことくらい。




相良さんの居ない休日、そんなことを考えた。




帰ってくる日曜日の夜はメールでいった通り、相良さんの家でご飯を作って待っていた。


ご飯くらい頑張れたらいいのだけれど、私の腕は平々凡々で、料理は相良さんの方が上手。



私は、「また次頑張ろう」って思う度、いつの間にか罪悪感のようなものを感じるようになってしまっていた。



次、次って、そうしている間に相良さんの心が離れてしまったらどうしようって、少しずつ。怖かった。




リビングのソファに畳まれて置かれたニットを見つける。



あのマスタード色のニット。




傍へ寄って、テレビの音の中、それをそっと抱きしめる。



ふわりと香る相良さんの香りに、何だか、涙が滲んでしまいそうで。


息をとめた。



申し訳ないような、さみしいような、愛しいような。


そういう想いが、最近ずっとある。





もうとっくに、私の方が相良さんのことがだいすきなのだ。

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