第7話 「それではテンプレ部もとい、テンプレ探偵団の活動を始める」
「探偵活動をする。ファミレスに行くぞ」部室で宮前部長が唐突に言った。
部長が行くと言ったら行く、それがテンプレ部だ。今日は鳴海さんが委員会だか何だかで不在だ。夏目さん、優衣、俺は部長の号令に従ってファミレスに行く準備を始めた。
「探偵活動」と宮前部長は言った。探偵、探偵モノ。物語の一大ジャンルであり、それはテンプレといって間違いないだろう。名探偵の存在は枚挙にいとまがない。事件が起きる、名探偵が解決する、面白い。この三段活用はテンプレなのだ。おれもそろそろ名探偵になりたいと思っていたから丁度いい。
ファミレスについた俺たちはパフェやらプリンやらケーキやらを注文する。
「それで、なんでファミレスなんですか?」チョコレート・パフェを食べながら夏目さんが言った。
「うむ。それではテンプレ部もとい、テンプレ探偵団の活動を始める」宮前部長が言った。
テンプレ探偵団。いったいどんな探偵団なんだ。
「活動って何をするんですか? 尾行とかですか?」おそらく尾行には向かないだろうピンクの髪をした優衣が言った。
「まだそこは決めてない。部室にいても事件は起こらないから、とりあえず移動してみた。まあ、事件は現場で勝手に起こるはずだから、一旦はスイーツ食べながら待機だ」
「事件なんてそんな簡単に起きますかね」夏目さんが言った。
「そこが難しい。事件さえ起きちゃえばイージーなんだけどね。犯人っぽい人を捕まえて、証拠が見つけられなくても自供さえ取れればいい」
「私も、お前がやったんだろ!って凄むのやりたいです」優衣が言った。
「それ探偵の仕事じゃないです。証拠見つけてください」俺は言った。
「でもあれ、追い詰めたら犯人って暴れますよね。凶器持って暴れまわる、みたいな。あれってどうしたらいいんですか」夏目さんが言った。
「最終的にはフィジカル的な勝負になるだろうね。結局は江戸川だって、論破からのキック力増強シューズのフィジカルで解決だよ」宮前部長は言った。江戸川コ〇ン君のこと江戸川って言うんだな、と俺は思った。
「じゃあわたしたち、今事件に遭遇したら危ないってことですか?」優衣があたりをキョロキョロと見まわす。
「完全に危ないね。だから今日は大人しくしていよう。たとえここで事件が起きても関わるな」宮前部長が言った。テンプレ探偵団はどこいった。
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