第19話

今夜は曇っていて星が見えない。




夜空を仰ぎながらいつもの家までの坂道を上る。




一応天気予報を見てはいても、一日中オフィスで仕事ばかりしていると外の天気にも気が付けないでいる。


それが少し勿体無いような、残念なような気がして。



昨日が晴れていたかも曖昧で。



気にしてはいるんだけど、あまり気が付けないというか。




なんか。



なんか、寂しい、なんて。




あー、だめだめ。




見慣れたマンションに近付いていく内、ふと思い出すことがあった。



うちのお隣。



閉まっているカーテンを目にして、きっと明日も花吹さんとは会社で会うだろうことを考える。


何だか変な感じだ。



それも、上司として。




本当、複雑なお隣さんが引っ越して来ちゃったなあ。






曇っている夜空じゃ、まだ何も見えない。

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