4月4日(水)
警告を告ぐ
第20話
『気を付けてください』
こんなことになる前。
「あの」
昼時。やっとのことで人も疎らなオフィス端、通路を通り過ぎるところを狙って花吹さんの腕を引いた。
彼はただ立ち止まり、振り返る。
私に呼び止められることは予想外だったのだろう。表情は変えないまま眸に映していた。
よし、と腹を決める。
お隣さんであることと、これから。花吹さんがどうしようとしているのかやっぱり聞こうと思う。何と切り出したらいいかは分からないけれど動かないよりはましだ。
お昼を共にして以来家周辺でも会うことがなく、どうしたらいいのか分からなかった。
話し掛けない方がいいのか。
「あの、」
花吹さんは振り返ったまま、繰り返した言葉の先を見つめている。
「花吹さん、――ッ!」
すると不意に、
背を曲げた花吹さんの手に口元を覆われ。
まだ核心に触れていない私を制すように、丁度柱が影を作る場所で、驚きに身を固める私は壁際に寄せられた。
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