第15話
まるで他人に向けられた、形式的な挨拶のように。挨拶ともいかないような素っ気ない言葉たち。
昨日の一連のことは全て夢だったのかもしれない。
そう思うほどだった。
「――乃さん?」
「宇乃さん。会議終わりましたよ」
「え、あっ」
河合ちゃんに肩をたたかれてようやくこっちの世界に戻って来た私は慌てて腰を浮かせ、配布された数枚の資料を纏める。
「どうしたんですかぼーっとして」
疑い深く見つめる河合ちゃん。
放心してしまった。
そうだ、と纏めた書類を抱えて辺りを見渡すがもうここに彼の姿はない。
さっさと出て行ってしまったようだ。
「行きましょう」
「うん…」
会議室を後にする。
その後会ったら何か言おうと考えたはいいものの、見掛けることは愚か会う気配なんてさらさらなかった。
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