第10話 強盗

 サイハの家に着き、そっと家の中を覗く。中には明かりがついていて、サイハ以外にも人の姿がある。ごつい奴らばっか。いかにもって感じだな。


「3人か。あの様子じゃサイハさん1人じゃ厳しいな」


 すでに一戦交えた後のようで、木枠でできた棚が倒れて壊れていた。

 さらに、サイハにも腕に傷を負っているようだ。


「助けに行かなきゃ!! 」


 飛び出そうとするタカノを制止する。


「手を出すな」


「なんでっすか!! 」


「俺らはこの世界の人の運命を変えたらいけないんだよ」


「でも、オレらの不運が強盗を呼んだって可能性もあるじゃないっすか」


「いや、恐らくそれはない。俺の想像だが、あの強盗はサイハさんが自分でおびき寄せたんだ」


「え、何でそんなことを? 」


「復讐だろ。サイハさんは多分記憶が戻っている。そして、息子夫婦の命日を選んで、10年前の強盗達に復讐するつもりだ」


 相手次第で、自分の命が左右する。それが天に任せるってことだろう。

 タカノは必死に頭を働かせているようだ。


「じゃあ、オレらはただ見てるしかないんすか? そんなの耐えられないっす! 」


「だが、それが掟だ」


 お前を止めるのも俺の役目だ。


 その直後、身を潜めていた窓近くにビィンと、小刀が刺さった。

 強盗の1人が手を滑らせたのだろう。


 それを見て俺はニヤッと笑う。

 やっぱり、吐いてきて正解だったな。


「でも、がそれを邪魔したらしょうがねぇよな」


 俺も、この状況を見ているだけは嫌なんだよ。

 ま、立場上一応は止めるがな。


「いいか、吐いた分俺の方がお前より不運が強い。恐らく大多数が俺の方に向かってくるだろうから、俺は動き回って奴らを撹乱する。お前はどうにかして狼煙が上がるか、音が出るか、街の人が気づくような仕掛けをしろ」


 タカノはようやく状況が読み込めたのか、ぱぁっと顔が明るくなった。


「うす!!」


「あくまでもだからな。奴らに触れない、触れさせない。忘れるなよ」


 念を押してから、俺はドアをバンと開けた。


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