第22話 マケレル
株式会社マンマーTVの駐車場に、
被害に合い、車を破損した社員たちからは
会社が拡大するという重大発表の後の事であるから、この自社の従業員に対する思いやりについては、当然ながら好意的に
「イクちゃん、良かった。これで神社までマサオを引いて行けるよ。社長も本当に太っ腹だなぁ。今までついてきて正解だ」
アミーこと
イクちゃんこと
その日の晩は10台のレッカー車が、マンマーTVと
痛ましい事件のあった晩のこと。アミーこと
「凄い……本当に『マケレル』だ。スリーターとしての安定感と、屋根のある優しさに無骨なフォルムがたまらないな……」
アミーのトラックである『マサオ』は、すぐに修理されて元に戻ったのだが、これに乗って明日も出社することは無理がある。怪しすぎるのだ。
そこでこの『マケレル』に乗って出社しようという事になった。
「これは初期型でも最後のロットなのだ。あの会社にしては、まともなデザインだったが売れなくてな。私がデザインを変更させた。あそこの株主なのだ」
アミー的には気になる発言もあったが、目の前にある
ちなみにプレゼントした方も
『マケレル』は英語で魚のサバを意味する語が元になっている。
『マカレル』という方がより正しいのであるが、マッケレルという表記もあり、カタカナの場合には結構適当なのが日本という国の特徴だろう。
ただ外観の方はサバとは程遠い。ダークグリーンの車体は四角い屋根に前後を覆われている。風防ガラスは強化プラスチックで、溝の深い大きめのタイヤが特徴的だ。前輪は1つ、後輪は2つと基本は押さえてあるが、後輪の上には屋根に守られた
「ガソリンも入れてくれたんだな。あらためて、ありがとうと言わせてもらうよ。イクちゃん……」
アミーとしては感無量という気分だろう。先程からマケレルをなで回していた。人目を気にしなければ、車体を舐めていた可能性まである。
「今は普通の状態ではないのだ。安全運転を心がけるのだぞ。頭が千切れても何とかするし、熱で蒸発した場合はバックアップから作り直すから、大丈夫だとは思うのだ」
アミーとしては、今のはスリーターの話という事で良いんだよね、と聞きたかったが、何故かイクちゃんにそうすることは出来なかった。
その日の夕食はいつものスコーンで、コーンスープと野菜ジュースが付くという、彼にとっては割と好きな内容だった。最後は手を合わせて
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