第20話 沱稔《だみのる》
「アミー、ここにいたのか。大サソリがここに出たんだって? 怪我人が出なくて良かった? お前のマサオと、向こうにあるダイムラーの軍用装甲車は駄目だったけどな」
会社の駐車場に大サソリが出没したのは、一応は大事件と呼んでもいい事ではある。
アミーや他の社員を心配して、駐車場にやってきたのは、アミーが普段からお世話になっている
余談ではあるが、
「
アミーこと
あの
アミーがこの地にやってきたのは15歳の頃である。そういった訳で、この土地の12歳以下のコミュニティーが、どういう理由でこれらの生物を仲間にし、今は何をやっているのか
「あいつらも普段は静かで大人しいんだけどな。俺が子供の頃は肉で釣ってさ、一緒にイノシシや中ボスと戦ったりしたもんだ。まぁ昔の話だ……それより車はどうするんだ?」
彼の先輩が中ボスと呼ぶのは、
「車の事は知り合いに相談してみます。それより仕事に戻らないと。ガソリンタンクは無事みたいですし、爆発する心配は無さそうで良かった」
幸いにして、ハーフトラックであるマサオが爆発する心配は無さそうだった。これならイクちゃんが修理しても、何とか誤魔化せるだろうとアミーも思ったのである。
「こんな時に、こんな事を言うのも何だけどな。うちの会社、また大きくなるみたいなんだよ。反対側の隣の県にもケーブルテレビがあるだろ? 向こうから申し出があったらしいんだ。合併っていうか吸収だな」
駐車場にまだ残っていたアミーは、先程からこの場にいるのに誰にも見つからない存在に声をかけた。土地神のイクちゃんだ。マンマーTVにとっては株主の1人でもある。
「イクちゃん、聞きたい事はたくさんあるんだけど、まず車は直りそうかい?」
「アミー、心配するな。車は直るだろう。
イクちゃんの頼もしい返事に、とにかくアミーは安心した。
車の趣味が渋いことについては、彼自身が認める部分はあるようだ。だがアミーとしては、こういうのが未来を感じさせるのではないかとそう思っていた。
それに田舎で暮らす場合には、普通乗用車より軽トラの方が、便利である場合もあることをアミーは知っているのだ。彼はまだ相棒を変えるつもりは無かった。
====================
※お読みいただきましてありがとうございます。この作品について評価や感想をいただければ幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます