第10話 事情
「カワウソさん! また会えて本当に良かったわ。あれからは何とか上手く行って、今では娘も大学生よ。
もう40歳を過ぎているはずのキヨコ氏だが、胸のあたりまである黒髪の美人だった為に、
彼女の話によれば、例の呪いのスコーンを作った
これまた気味の悪い話なのだが、
「実はな、その
イクちゃんこと
本日のみ
「最近というわけではないんだけど……実はあの子ね、名前のフリガナだけが書けなくなってしまったの。セイコじゃなくてキヨコになっちゃうのよ。お医者様に診てもらっても治らなかったわ」
母親のキヨコ氏の話は、彼女の娘に起きた実に奇妙な症状についての事だった。
幼い
この手の現象に心当たりがあり過ぎな
「と言われてもな。あの時に私がやったことは、キヨコの治療と、まとまった現金を渡しただけなのだ。それと
「あの時は、イクちゃんが助けてくれなかったら、私たちは心中してたわ……あの子だけをおいていけなかった。主人が先に亡くなってたから」
キヨコ氏は非常に苦労した女性だった。夫に先立たれた後、残された本当に幼い娘を働きながら育てていたのだ。そして、それほど時期を置かずに白血病になってしまった。
ある雨の晩に、無理心中を決意した母子の目の前に現れたのはイクちゃんだった。
イクちゃんはキヨコ氏の白血病を治し、ついでに現金を3億円ほど渡したのである。さらに謎の
「
色々と情報が出揃った段階で、
「あの時の方だったのね。娘がドキュメンタリー大好きなのよ。ドリンクの方は……夫の仏壇に置いておいたんだけど、いつの間にか無くなってしまって……本当にどうしたのかしら?」
キヨコ氏の話を聞いて、
「イクちゃん、そのドリンクと同じ物って今持ってるかい? 現物が見たい」
隣で同じ話を聞き、色々と予想がついているであろうイクちゃんに向かって、
「大した物ではないのだがな。これだ。
イクちゃんが
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