第6話 特定
「そういう解決方法も無くはないな。ではアミーの策を採用して、スコーンを置いた者を探してみるとしよう」
イクちゃんは、アミーこと
「助かります。土地神様は関係無いのに、こんなことを頼んでしまって、本当に申し訳ありません。呪いが解けたら何かでお返ししたいんですが、俺に出来そうな事ってありますかね?」
アミーとしては助かりたい一心ではあったが、無関係の存在を巻き込むことに罪悪感を
「良いのだ。敬語も
伝承によれば、
「この場所に固定されているのはルールの様なものでな。5億年前からここなのだ。今でこそ陸地だが、途中は海の中で何千万年というのもあったのだ。ここはアンモナイトの化石が出るだろう?」
どうやらイクちゃんは、人の都合とも全く関係無しにここの存在であるようだ。
神ですらないと聞いたアミーだが、年数と文化的には、イクちゃんは神を自称しても良さそうだと思った。
「良く分からないけど、何となく理解しかけてる様な気がするよ。イクちゃん、協力してくれるのはありがたいんだけど、どうやって相手を探すんだい?」
壮大な話になりそうだったので、アミーは話を今現在に戻そうとそう聞いた。
「あまりこの街の警察を
イクちゃんは街の警察のことを認めているようだが、セキュリティの方は
「犬の使い魔とかが出てくるかと思ったんだけど、意外とハイテクなんだな……」
アミーとしては、そういった感想しか出なかった。
もう21時も過ぎようというこの時間に、照明は懐中電灯しかないような暗い神社の境内で、人間の彼は呆然として土地神が戻って来るのを待ったのである。もう何でも来いという気分だったに違いない。
「待たせたな、アミー。容疑者の特定が出来たぞ。私としては、
イクちゃんは、5分ぐらいでアミーの元へ戻って来た。
「良かった。見覚えがあるって、よくここに来る人なのかい? ここって、こう言うと何だけど、誰も来ないよね……」
アミーとしては、相手の特定が出来たことにホッとしたのであった。
「それで良いのだ。ここは県や国からは重要文化財に指定されているのだぞ。
さすがに初期の時代には、イクちゃんも公権力と
「結構すごい建物なんだ。そりゃ人が来ない方が汚れないか。それよりイクちゃん、これからどうしたら良いかな?」
イクちゃんの歴史を聞いていると夜が明けそうだったので、アミーはまたもや話を現在に戻すことになった。
「それなのだがな、今夜はもう遅い。明日の土曜日にでも相手を訪ねてみるのはどうだろうか? カエルにやられたばかりだから、アミーも今晩は無事に過ごせると思うぞ」
イクちゃんから出たのは、意外に常識的な提案だった。
アミーはイクちゃんと、明日の朝に神社で待ち合わせる約束をして、今日はもう自宅に帰ることにした。普通人のアミーとしては、精神的に限界に近かったという事情もある。
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