第26話 とある儀式魔法

「───やはりお金をたんまりと払うと気分よく通してくれるな」


「……わたし的にはあの門番をぶち殺したくて仕方無いのですけどね」


 そう言うリティアを僕はなだめながら、先に進む。

 すると当たり前のようにあの魔法販売店の並びが見えてきた。


「あんな所にお店がありますよ!行ってい」


「行かないよ。 あそこに行ってもあんまり意味は無いからね。 あ、でも少しやりたいことがあるから……そうだなぁ……うん、ちょっと待ってね」


 僕はリティアにそう告げ、武器を取り出す。


 僕が取りだした武器は『ククルカ=ククルカン』。

 幻視の蛇、太陽の化身。

 古代文明の呪神、ククルカンの力を使う武器だ。

 見た目は巨大な剣だ。


 ちなみに似たような武器にテスカル=トリポカという武器もある。


 ククルカは武器としては破壊の力に特化した武器であり、その用途は神様の君臨する為の場所を創り出す為の儀式武器である。


「そ、それ……すごい武器ですね!?」


 リティアの言葉に僕はニヤリと笑って頷く。


「ここからだよ、この武器は!」


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「カエデ様は一体何をなさっているのです…………か?」


 溜めたねぇ。

 まぁそう言いたくなる気持ちはよくわかる。

 僕だって自分がしている事を恥ずかしく思ってはいるさ。


「ん、これはねぇ───儀式」


「あーーーー。 私は何も言いませんっ!」


「そうして貰えると助かる」


 そう言いながら僕は剣を地面に突き刺して、その上にあぐらをかいた状態で答えた。


 既に僕の周囲には沢山の謎の文字が浮き上がり、それらが次々と連結しては爆発して、そうして噴水のように登っては消えてを繰り返していく。


 その度僕の見た目は金ピカに輝き、そして真っ黒に変化し、そして赤く、白く、黄色く、様々な色になったりしていた。


 やがてその儀式が終わった事をリティアに伝えるまで、リティアの見る目が少しだけ冷たかったのは悲しかったけど。


 _________________________


 儀式をしたのには訳がある。

 それはあの時、空から来た存在に対する牽制の為の措置だ。


 あれは魔法式に対する解答、そう僕には見えた。


 ……つまりあれは何かしらのシステムの一部だと考えれるわけなのだけれども、アレがを避けたい。


 ならば結論は、式を完成させなければよい話だろう?

 多分何かしらの理由であの竜は来た。

 その理由は僕にはまるで分からないけれど、あれを仮に機械仕掛けの終幕の神デウス・エクス・マキナとした場合、確実にめんどくさい。


 と言うか、あんなものに結末を決められるとか、ふざけててシンプル腹が立つ。


 だからアレを

 そのために、この剣を生贄リリースにして竜の登場に必要な魔力を破壊しておくってことさ。


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「それじゃあ、ユークリプスの街に行くとしますかね?」


「は、はい……?ユークリプスってちなみにどんな街なんでしょうか……私はあんまり知らなくって」


 それは僕もなのだけれども。


「んー知らない方が楽しめるんじゃないかな?」


「なるほど」




 _________________________



 ……尚、この時のカエデは知らない。

 ユークリプスの治安を。


 ユークリプス。

 それは魔法の国、そして様々な種族の入り乱れる共和国。


 そして全ての国で、二番目に国である。


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【ユークリプス滅亡まであと30日】














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最強【元勇者】が反転アンチになりました。〜裏切られて死んだ勇者様は腐りきった世界を消し飛ばすことにします! ななつき @Cataman

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