第24話 とある指導者
それじゃあ、やりすぎた話をしようか。
僕は自分の呪いをある程度理解していたつもりだったんだがね?
───どうやら外界のモノの呪いは流石に想定外の出力だったのさ。
さっき「片付け終わりー」とか言って手を叩いていた自分をぶん殴りたい気分だよ。
そういいながら、カエデは一人大穴を眺めるのであった。
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カエデの使用した能力により、ユークリプスの内部データが破損してしまい、さらにユークリプスと言う国を支えていた幾つかの魔法式が
極めつけに眠っていた厄災(起こす予定だったヤツとは別)をも、ついでに呼び起こしてしまったのである。
もし女神様がいたら、ぶん殴られていてもおかしくない行為をカエデはしてしまったのだ。
かくして───滅亡待ったナシの中で、色んな種族が入り乱れる混戦の幕が上がってしまったというワケさ。
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【ユークリプス最高指導者ザイン・アルカナ視点】
「───ふふふふふふふ、ははははははは───クソがァ!!?なんでだ、何があったァ!?」
男はそう叫ぶと、拳を地面に叩きつけた。
近くの魔法使い達がビクッ、としたがザインは気にすること無く殴り続けた。
「先程、女神魔法で神託が下った。 ───この国は滅びるとな。───しかも後10分でだとさ。 ふざけてんのかァァァァァア!!!」
……どうでも良いが、ザインは3週間前に最高指導者の立場を手に入れたばかりの新人であり、別に悪い事は何もしていない一般人である。
「くぅぅぅ!?エルフもドワーフもめんどくさくて胃がキリキリしっぱなしで、最近胃薬が手放せなくなっている最中だってのに───またしても厄介事が!!」
「ざ、ザイン様!?」
「こうなったら、エルフの族長とドワーフの──」
「あ、その人ら死んだらしいです。 さっきエルフ族の研究者から連絡が来ました」
「───ふふふふふふふふふふふふふふ、fuc〇!!────何が、誰が、どうして、どうしてこうなるのだァ───!!!ってかアレ?オースティンは?……まさか死んだ?」
不安が問題がやっかみが、積み上がって行く。
最早この国を捨てるべきだとすら、本能が訴えてくるレベルだ。
だが───それを出来ないのが、最高指導者の立場なのだ。
「と、ともかく。 今回の元凶が誰で何を目的にしているのかを調べなければっ────無理だアホか!?あと6分ほどぞ?」
最早手遅れな状況ではあるが、それでもザインにも一つだけ希望があったのだ。
「くそっ、こうなれば───魔導神姫を呼び起こす他あるまい!」
ザインはそう言うと指示を出そうとしたのだが……。
「───ザイン様、あの……魔導神姫は……その……起動に8分かかります……」
手遅れであった。
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余談だが、魔導神姫がもし起動できていた場合、少なくとも後一時間は滅亡を免れられていたのだが、そんな事知るよしも無い話である。
【ユークリプス滅亡まで後───3分】
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