第21話 やる事なす事
兎も角、俺はミスティナのおかげで冷静さを取り戻せていた。
「ふぅー、OK、わかった。 ミスティナ、君を先に助けに行く。 だから君の居場所を正確に教えてくれ?」
……そう、先にやるべきはミスティナの件なのだ。
というのも今回呼び覚ます予定の魔神に関する話になってしまうのだが……割と破壊規模がえぐいのだ。
そして多分だが、ミスティナの方を片付けて置かないと……巻き込んで倒してしまうかもしれない。
まぁそう言う話なわけだ。
今回呼び覚ます魔神はユースティティア・エルフロアと言い、その権能は魔剣を雨のように降らせるというものだ。
奴の権能で作られる魔剣はそこまで強くは無いのだが、その分如何せん数が多いのだ。
そして───これが最大の問題なのだが、魔法を誤爆させる触媒のやくめを担う魔剣を生み出してしまうのだ。
つまりユースティティアを呼び覚ますと、ユークリプス国内に魔剣が乱雑に展開、さらにその際に周囲にある魔法を勝手に全部起動。
からの全部大爆発。
そしてその結果カオスを生み出す───まぁこんな所になるだろう。
しかもタチの悪い事に、ユースティティアの魔法誤爆は種族とか、システムをある程度無視しての行動となる事が多くてね。
端的に述べるならば、勇者魔法と女神魔法という、特級呪物をも誤爆させかねないという訳だ。
まぁ僕の今の魔法は外なる神のものだから、起動はしないけどね。
……それでも、このユークリプス国内に僅かに残っている勇者時代の痕跡、その全てが誤爆して周囲を破壊し尽くしかねないわけだ。
そう、そこも問題なんだよね。
僕がユークリプスで使用した魔法は、他の土地に封印しためんどくせぇ奴らの封印の一部にもなっているのだよ。
そしてそれがもし、解除された場合……それはもう酷いことになる。
……僕が自分の手で復讐を成し得る前に世界が終わりかねないというね。
──それは困る。
だから一旦ユークリプス市内に設置しておいた勇者魔法を全部僕の今の魔法に切り替え無ければいけないのだ。
そしてその作業を手伝ってもらう人が欲しい。のでミスティナをって訳。
そしてその傍らでロレーヌさんは魔神の封印を解く準備をしてもらう……。
完璧だな。
……完璧か?
果たしてミスティナに手助けしてもらって大丈夫なのかという、若干の不安要素は……うん、ある。
ユースティティアの効果で誤爆する前に、勝手に誤爆させてえらいこっちゃな事にならないといいのだが……。
大丈夫か?
『フハハハハ!我は最強無敵の大魔法使いぞ?誤爆なんてするわけがないであろう!ハハハハ!!』
そんな声が脳内で再生される度に、僕は偏頭痛を感じで仕方なかった。
そうして僕はしばらく悩み続けることになったのであった。
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【ユークリプス滅亡まで後2時間】
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