第16話 カエデ君がやっちまった話

 結局の所この二人は誰だったのだろうか。


 僕はまるでさっぱり分からないまま、亡骸を炎で焼くことにした。

 やはり火葬しておかないとアンデット系の魔物とかなら蘇っちゃうからね!


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 ───後で知ったことなのだが、このエルフの女は肉体を不老不死の魔法により、固定していたそうな。

 だが僕の呪炎を受けてその体は無限に焼かれては復活しそうになるのを繰り返したのだと。

 ……僕の呪炎は『消費』の炎。


 無限に消費をされ続けたエルフがどうなったのか、またどんな地獄を見たのかは僕は知らないし、知りたくもない。

 まぁ、ただ───可哀想なこともあるものだ。

 そうご冥福を祈る他無いのだから。


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「あれ?変なこともあるんだなぁ。……エルフは燃えないし、ドワーフもじゃんか。 参ったなあ……証拠隠滅には『炎』がうってつけだったんだけど、効かないとなると────『土』かな」


 僕は耐えていたドワーフのために、土葬をしてあげることにした。

 もちろんただの親切心から来る行動だったつもりなのだが……これもまあ地獄をうんでいたらしい。


「カースド・ガイア」


 地面が真っ黒に染まり、そこから真っ黒な手が次々とドワーフ目掛けて伸びていく。

 それはあっという間にドワーフを掴むと、そのまま地面に沈め始めた。


 ドワーフは何も出来ぬまま、まるで沼に沈めた石のように沈んでいく。


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 ちなみに、僕の『地脈呪詛』、まぁ土魔法は『略奪』の土なのだが、まぁこれがとても便利なのだ。


 曰く生命を生み出したのは海だが、育んだのは大地であると古代人は言った。

 つまりその土……大地が呪いを放つ時、それは育む為にもの全てを奪い取ってしまう事だろう、と。


 だから『略奪』なのだ。

 貸し与えた、祝福からその身体を作り上げている魔力、果ては魂迄をも次々と略奪されていくドワーフ。


 やがて、全て奪い取られたドワーフは、輪廻転生の輪から外れて、消滅したのだ。


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「しまった。 僕としたことが、名前を聞くのを忘れていたよ!」


『あら。 私の貴方、こんな残骸にも満たないゴミカスの事なんて記憶に留めるだけ無駄よ』


 ……それもそうか。

 まぁ名乗る価値も無かったってことだろうし、ここは世界の流れに乗っかってやることにしよう。


 僕はそう言うとそこら辺の資料を適当に燃やし始めることにした。

 どうせろくでもない研究内容だろうし?

 さっさと消してしまった方が楽だよ……多分。


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 彼は知らない。

 倒したエルフがエルフの国の長と、ドワーフの国の長であったことと、ここで燃やした資料が女神の魔法を制御する為の装置の設計図であったことを。


 ……長が居なくなった結果、エルフ族とドワーフ族は人間が自分達を裏切ったのだと判断し、その後紛争へと発展していく事となる。


 一方で、女神の魔法が暴走した結果は────


 ……まぁ察しのいい人間ならばすぐにわかっただろうね。

 そう──────





 爆発オチである。


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【ユークリプス魔道国の消滅まで後5時間】





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