第15話 カエデ飛ぶ
【カエデ視点】【エルフとドワーフが驚く数分前の話】
「んで?わかったから助けに行くための場所を教えてくれ。 そうしたら助けてやる気が起きるかもしれなくもないかもしれんからな」
『なるほどまどろっこしいZe!そして私には分からないんだぜ☆魔力を辿って頑張るんだぜ!アデュー!』
言い残すや否やミスティナは消えた。
まぁおおよその位置は特定出来るからいいか。
という訳で僕は名前すら忘れた勇者魔法販売店を後にし、そのままそのお店をスクラップに書き換えておく事をした。
店主の悲鳴とか、色々聞こえた気がしたけども、はっきり言って興味無いのでね。
「はー。 まさか魔法使いがそこまで悪って感じじゃあ無さそうなのが色々と困るなぁ……まぁ会ってからのお楽しみってことだなきっと──んで」
僕はそういいながら、隣でにこにこしていたリティアに尋ねる。
「は、ひっ?!何でしょうか、えっと私になにか」
「あぁ、この近辺の封印された魔物について知っていたりするかと思ってね。 どうかな、なにか知っていたりとかはしないだろうか」
「うーん、えっとどうでしたっけ……。 確かいたような……でもそこまで強くは無かったと…… 」
手を振りながら僕はありがとうと返す。
別に僕は正直どの魔物であろうがどうだっていい。
僕がこれからやろうとしている事、それの邪魔にさえならなければ。
「あ!はい……この魔物です。 この魔物図鑑に記されている───」
「爆砕土竜・モグモグラ……なるほど。 まぁコイツでいいか」
名前はどうなのかとは思ったが、それはそれとして案外役に立つ気もしたのでそれにかけてみることにした。まぁ使えなくてもいいけどさ。
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前言撤回。
ダメだったわこれは。
僕の目の前には、次元の裂け目があった。
別に僕が何かした訳じゃなくて、モグモグラ君がやったことだ。
断じて僕じゃない。
モグモグラはどうやら、穴を作るという点に特化した魔物のようで、それを試しに地面じゃなくて地上で試して見たところ────、無数の穴が生み出された。……空間に。
それはワームホールであり、空間と空間を繋ぐ穴でもある。
そしてそれのひとつに僕が触れた瞬間────────、僕は見知らぬ場所にテレポートしていたのであった。
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「んで、ここはどこだよぉ!」
僕の眼前にあったのは、誰かの研究室らしきものである。
そしてすぐさま警報が鳴り響いた。
「何処か分からないけど、シンプルになにか来る音がするなぁ」
僕の言葉は大当たり。
何十という魔法警備兵がわんさか押し寄せてくるじゃないですか。
そしてそれらは、僕に近づく前に呪いを受けて破壊されていく。
さながらオートタレットのように、呪いがばら撒かれて行く。
そうしてしばらくすると、全ての魔法警備兵が全滅したのだろう、誰もやってこなくなってしまった。
「はぁ……まぁいいや。 どこか分からないけど、資料とかをいただいて…………ん?女神の魔法の抽出方法?勇者の魔法の正しい使い方取り扱い説明書?」
……どうやら、ここは……。
「出たな侵入者め!」「ここであったが1000年目!しねぇ!」
突然扉が開かれると、そこにはドワーフとエルフが仁王立ちをしていたのだ。
「われこそは」「私の名は!」
二人が息を吸いこもうとした瞬間に、僕は魔法を放つ。
「カースドライトニング」
たったこれだけで放たれた雷は、あっという間に二人の存在を焼き尽くした。
破壊の雷は伊達じゃないということである。
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