第13話 カエデとミスティナ
【カエデ視点】
『何をしたか……か。 ううん、それは実に複雑怪奇厄介極まりない話でねぇ。 話すと長ぁくなっちまうんだ。 勿論私は構わないがねぇカエデくぅん?』
相変わらず妙に馴れ馴れしい態度のミスティナ。
「はぁ。 どうせあれだろう?国に帰ってフレンドリーファイアがやばすぎて使い物にならないから封印って形で止められたとかだろ? 大体わかるさ」
すると俺の言葉にミスティナは、呆れ果てた様子で。
『ははぁさてはカエデ殿、フレンドリーファイアされた事を根に持っているんだね? まぁ気持ちはわかるさ! この私だって好きで
「なんの理由だよ」
『決まっているだろう?─────素だよ』
彼女はキメ顔でそういった。
「なるほ──」
*
なるほどなるほど何を言っている貴様は。
あまりにもカッコよくキメ顔で言うものだから思わず僕もなるほどと言いかけてしまったぞ。
と言うか何なのだろうかこの女。
封印されたという割には別に何も悲壮感の欠片も無いんだが?
『ほほう、さては私が封印されている事を嘘だと思っているなぁ?悪い子だぜ全くよ! 』
聞いてもいないのだが、何故か話を進め始めるミスティナ。
ホログラムの彼女は水色一辺倒なので、あんまり表情とかは読み取れないのだが、実に楽しそうであった。
『では私が如何にして勇者パーティに入り、そして封印されたのか。 その耳よくかっぽじって酒でも片手に聞くとしたまえよ!』
そう言うとミスティナは語り出した。
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おお、我が母よ。
偉大にして崇高なる父よ。
我を育てし師匠達よ。
我は貴様らにまるで感謝はしない。
魔力だけのろくでなし、その私を。
よくもまぁ、その場のノリで勇者パーティなんぞに送り込みやがったな。
笑うがいい。
我は魔法なぞ使い方すら分からぬと言うのに、どうして。
どうして勇者パーティなどという公開処刑場に叩き込まれなければならぬのだ!!
神よ恨むぞ。
神よ呪うぞ。
誰が大魔法使いだ?
ふざけた話だ。
どうせ貴様らは我が旅路の中で死に絶えると予想しておったのだろうが、そうはいかぬ。
フハハハハハ、貴様らの期待なんぞ限界まで裏切ってやったわ!
我は初心者から勇者パーティの旅路を経て最強の、大魔法使いにしっかりとなってやったのだぞ!
崇めろ、奉れ。
うん?
何故我を封じるつもりなのだ?
おい待て、母?父?師匠? 同士たちよなぜ私は、私は封印されなければ────、
『危険人物は封印せよ。 貴様は女神と勇者の魔法をその身に宿した。 よって貴様は危険なもの。 暫く眠っているが良い』
ふざけるな。
何が危険なものだ。
ならば私は時間をかけて、貴様らの封印を解いてやる!
後で覚えておけ、ゴミ共め!
『著者 ミスティナ・ルーサス』【我が生涯】
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『まぁこういうことだ。 わかってくれたかな?カエデ殿』
「お前、魔法使いじゃあ無かったのか……。 じゃああのフレンドリーファイアってまさか」
『フッ、決まっているだろう? コントロール不足だ。 全く我が左腕が少々生意気でね。 我としてもあまり言う事を聞いてくれなくて悲しいのだよ』
「…………まじか……」
思ってたより厨二病が進行していた以外はかなりまともだったってこと?
「で? それをわざわざ伝えるために俺のとこに来たのか?」
俺の言葉に、ミスティナは盛大に笑うと……。
『そう! そしてこの私は、あと少しで封印が解ける。 その前に私は多分あのエルフ族の奴らに殺される。 だから助けてお願いします』
そう命乞い&救援を頼まれたのだった。
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