みんなノリノリになっちゃった!

崔 梨遙(再)

1話完結:1100字

 僕が小学校の3~4年生の頃。(もしかしたら5年生だったかもしれない)



 その日、雨だったので休憩時間に外で遊べなかった。僕は教室の後ろの壁際、窓側に立ち、ドアに向かってコンパスを投げていた。投げてはドアに刺さったコンパスを抜いてまた投げる。コンパスダーツだ。1人で黙々とやっていたら、同級生に声をかけられた。


「崔君、何やってるの?」

「ダーツ」

「ああ、ダーツか。おもしろそうやなぁ、俺もやるわ」

「ほんなら、俺も」

「俺もやる」

「俺も」

「俺も」


 ……クラスの男子全員が参加してしまった。これは不味い。


「みんな、やめよ! 絶対にドアのガラスが割れるから。それに、誰かがドアを開けて入って来て、刺さったら大変やし」


 ノリノリのみんなを止める僕。同級生がドアに的を書いた。ああ、もう止められない。


 案の定、トイレから戻って、ドアを開けて入ろうとした男子生徒の足に、誰かのコンパスが刺さった(女子じゃなくて良かった)。


「ほら、みんな、もうやめようや、危ないから」

「俺、このくらい平気やで」


 コンパスの刺さった男子生徒が平然と言うと、またコンパスが飛び交うようになってしまった。ダメだ、もう止められない。


 パリーン!


 これも予想通り、誰かが投げたコンパスでドアの曇りガラスが割れた。


 “ああ、終わった!”


 ガラスが割れたら担任の先生にバレてしまう。まず、僕達は“コンパスダーツをやっていた奴、全員整列”と言われた。クラスの男子全員が整列した。


「誰が始めたんや?」


と言われた。これも予想通りだった。仕方ないので僕が1歩前へ出た。


「僕です」


 先生は深呼吸してから言った。


「目を瞑って歯を食いしばれ」


 パシーン!


 これも予想通り、僕が代表でビンタされた。その後、割れたガラスの掃除をさせられた。更に、親が呼び出された。



 僕は止めたのに! “理不尽だ!”と思った。まあ、怪我人がでなかったから良かったと思うべきなのかもしれない。



 余談だが、僕は運気の差が激しいようで、信じられないくらい運が良い時と、信じられないくらい運が悪い時がある。


 小学校の3~4年生の時、雨上がりになんとなく泥だんごを作って、なんとなく遠投したら、欠伸をしていた女子生徒の口の中に命中した。女子生徒は号泣、わざと狙っても当たるようなものではない。スゴイ偶然だった。


 だが、担任の先生からは“イタズラ”だと言われて親を呼び出された。この時も理不尽だと思った。運が悪いという時はあるものらしい。



 皆さんも、運が悪いと思った時はありますか? 理不尽だと思ったことはありますか?  こんなのは僕だけなのでしょうか?







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