第13章…休日
エロい夢を見てしまいました
―――
楓ちゃんと2人きりで夜の学校を歩き回った日。この日は俺にとってとても刺激の強い想い出となった。
その日の夜、俺は夢を見た。
楓ちゃんの夢だ。エッチな夢だ。
俺の夢に出てきた楓ちゃんは素っ裸だった。
実際には楓ちゃんの裸はまだ一度も見ていない。一緒に住んではいるが楓ちゃんの裸を見てしまったみたいなラッキースケベは起きていない。
風呂でバッタリ会ってしまったりとか、着替え途中のところを見てしまったりとか、可愛い女の子と同棲展開ならまず間違いなくありそうな展開がない。
パンツだってまだ一度も見れていない。見せてくれようとしたことは一度あったけどあれはつばきちゃんに嫉妬して対抗してちょっと錯乱してたのであって決して痴女ではない。結果としては見ていない。あれ以来楓ちゃんのパンツを見れそうな気配すらない。
楓ちゃんってそういうところのガードはすごく堅いんだよな。胸はあんなに柔らかいのに。
入浴時間もしっかり管理されてるし、楓ちゃんはものすごく早起きしてるから俺が起きた時にはすでに制服を着てるので着替えシーンを見れることもない。
普段はすごくグイグイ来るから勘違いしそうだが、名家のお嬢様なんだから身持ちが堅くてスキがないのは当然か。
とにかく楓ちゃんの裸を見たことはない。見れそうな気配すらない。
だから夢の中に登場した楓ちゃんの裸は、俺の妄想でできている。見たことがないからこそ、妄想が捗ってとても興奮する。
楓ちゃんのあんなところやこんなところはどうなっているんだろうか……と激しく妄想しながら素っ裸の楓ちゃんと夢の中であんなことやこんなことをするのであった。
―――
そして俺はフッと目が覚めた。
目が覚めた瞬間、残念に思う気持ちが強かった。もっと夢を見ていたかった。夢の中の世界はとてもいいところだったのに。
いい夢を見た経験はいくらでもあるが、ぶっちぎりで幸せな夢だった。
まあいい、夢の中の楓ちゃんより現実の楓ちゃんだ。ここは楓ちゃんの家だ。現実に戻れば本当の楓ちゃんに会えるんだ。
俺の妄想でどれだけ理想の楓ちゃんを創作しようとも、現実の楓ちゃんには絶対に敵わないんだ。
夢から完全に覚めてハッキリと現実世界に意識を置いた時、今度は強い羞恥心と罪悪感が俺の全身を駆け巡った。
なんというイヤラシイ夢を見てんだ俺は……という恥ずかしさと、夢の中とはいえ楓ちゃんを辱めて穢してしまった罪の大きさ。都合のいい幸せな夢を見た代償だろうか。
……ん? あれ?
布団の中が暖かくてすぐには気づかなかったが、下半身が……ズボンの中がなんか生暖かいような気がする。
いつもの目覚めとは明らかに違うぞ。なんだこれ?
……いや、この感覚、経験がある。けっこう昔……中学時代とかだったか。確かに覚えがある。かなり恥ずかしい記憶が。
俺は布団の中でもぞもぞとしながら、恐る恐るズボンの中を確認する。ズボンの中を見るの怖い。しかし見なくてはならない。ズボンの中を見て、パンツの中身も……
「―――……うわあぁ……」
ついうわあああって言ってしまった。パンツの中を見たら、言わずにはいられないこれ。
俺は夢精していた。
強い恥ずかしさにトドメを刺した。
マジかよ……いい歳してこんなガキみたいなこと……
俺は頭を抱えてズーンとショックを受けた。
確かにすごくエロい夢ですごく興奮はしていたが、まさか夢精していたとは。
なんでだ。いくらスケベな俺でもここまでエロい夢を見ることなんてなかったのに。楓ちゃんの家に来てからも普通の睡眠を続けてきたのになんで急にこんな……
……いや、夢精した原因はわかっている。わかっているが恥ずかしくて認めたくないだけである。
昨日の夜、学校で楓ちゃんと2人きりで起こった出来事を思い出し、布団の中に深く穴を掘って埋まりたくなった。
顔面に押しつけられるように楓ちゃんの豊満な胸の感触を受けて、さらに腕を挟まれるように楓ちゃんのたわわな巨乳の感触を受けた。
間違いなくあの体験が、エロい夢を見た原因だ。
俺は初めて、楓ちゃんで射精した。パンツの中にハッキリと証拠が残っていて言い逃れはできない。
幼い少女の頃を知っている女の子を穢すようなマネをしてしまった。10年前の楓ちゃんの笑顔が脳裏に浮かぶ。罪悪感にトドメを刺した。
もう死にたい……楓ちゃんに合わせる顔がない……
いつまでもくよくよしてる場合ではないな。夢精してしまったものは仕方ない。ところで今何時だ。
5時半か。俺が起きるには早い時間だが、楓ちゃんはもう起きてるだろうな。
とにかくこのパンツでは二度寝はできん、着替えよう。
着替え終わったところで、この汚れたパンツどうしようか。夢精してしまった人の深刻な悩みだ。
どうするっていっても洗うしかないんだけどな。放置したらすごく臭いぞ。
洗うしか選択肢のない俺は、汚れたパンツを持ってそっと静かに移動する。
楓ちゃんはたぶんもう起きてると思うから、楓ちゃんに見られないように慎重に。今だけはどうしても見られたくない。
ゴウンゴウン……
洗濯機が稼働する音が聞こえる。中条グループの家に置いてある洗濯機なだけあって静かで高性能で助かる。
しかし、静かでも音が空しく響く……
夢精してしまったパンツを洗う時間……男にとって最も惨めな時間かもしれない。
しかもそれを好きな女の子の家でやってるんだからな。さらに惨めさが倍だよ。マジで何やってんだろうな俺は。
とにかく俺の頭の中は絶対に楓ちゃんにバレたくないというところに集中する。バレたら切腹するくらい恥ずかしい。
確か今日って休日だよな。休日なら楓ちゃんもまだ寝ている可能性もあるか?
夢精した日が休日でよかったよ。少しは落ち着いて洗えるよ。
休日で少し余裕があるからちょっと風呂に入ろうかな。
着替えてパンツも洗ったとはいっても下半身がちょっとベタベタで気持ち悪いし、スッキリしたいんだ。
洗濯が終わったあと、風呂場に向かう。
もちろん楓ちゃんが入っている可能性もあるので慎重に様子を見る。
誰も入ってないことを確認した。よし、さっさと入ろう。楓ちゃんには好きな時に自由に入っていいって言われてる。
楓ちゃん家は風呂もすごく広い。10人以上は余裕で入れる広さ、風呂場というより大浴場だ。もう銭湯だよこれは。
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