謎の金髪巨乳美少女に拾われました
―――……ハッ! しっかりしろ、俺。落ち着け俺。
急に話しかけてきた女の子がありえないほど美少女なのはわかった。そしてスタイルも抜群、おっぱいもでかい。そしてさらに女子高生。男の好きなものをこれでもかというくらい詰め込んだ、理想の女の子だ。
だが、だからこそ、怪しい。警戒心を最大にしなければならない。
ここまで可愛い女の子がなぜ俺のような男に話しかけるんだ? 平日に1人ぼっちで公園のベンチに座っているような底辺男にだぞ。知り合いでもなんでもない、完全に初対面だぞ。
……初対面……だよな……? こんなに可愛い女の子の知り合いがいたら絶対に忘れない自信がある。うん、間違いなく知らない人だ。
見ず知らずの男に急に声をかけてくるなど、普通ならありえない。どう考えてもやはり怪しい。何か裏がある、何か企んでると考えるのが自然だ。
「……誰だキミは? 俺に何か用か?」
彼女にそう聞いてみると、彼女は一瞬だけ瞳の光が消えた。でもすぐに光を取り戻し、美しく光り輝く瞳に戻った。
……? なんだ今の……まあいいか。
「いえ、用ってほどでもないんですけど……どうかしたんですかお兄さん」
「別になんだっていいだろう」
恋人も仕事も家も失ったなんて言えるか。こんなに可愛い女の子ならなおさらだ。
「すごく辛そうにしてらっしゃいますね」
「俺が辛くたってキミには何も関係ないだろう」
「そんなことありません。あなたが辛いと私も辛いです」
「なんで?」
俺がそう言って彼女を強めに睨みつけると、彼女はまた一瞬だけ瞳の光を消した。本当に一瞬だけでまたすぐに明るい瞳に戻ったけど。
なんなんだよこの子。ちょっと怖いぞ。
「辛いことがあったなら、私でよければ話を聞きますよ」
「話したくない。キミに話して何になる。俺に構わないでくれないか」
「うーん……なんだか会話が進みませんね」
「進める気がないからな」
「わかりました、もう面倒なので単刀直入にハッキリ言います」
「……?」
彼女の表情が真剣になった。心なしか少しだけ緊張しているようにも見える。
「お兄さん。行くあてがないのなら、私の家に来ませんか?」
「!?!?!?」
行くあてがない、だって?
俺のこと、俺の現在の状況、この子は知ってるのか!?
いやなんでだよ。なんで知ってんだよ。恐怖がハンパじゃない。
この子超可愛いけど超怖い。危険だ、逃げよう。
ガシッ!
逃げようと思ってベンチから立ち上がった瞬間、彼女は俺の手を握った。
俺の手を握る彼女の手は絶対に離さないと言わんばかりの強い意志を感じた。
ていうか思ったより握力あるなこの子! 痛い。
「逃げないでくださいよ」
「いや逃げるわ! 離してくれ!」
「そんなに慌てないでください。私は怪しい者ではありません」
「怪しさしかねぇよ!」
「私と一緒に来ていただけませんか」
「断る!!」
なんかおかしいと思ったら、さては美人局だな。もしくは変な宗教の勧誘とか?
ついていったら高い壺買わされるとか、そういうヤツだろう!
カモになりそうな男を調べ尽くして、弱っているところを狙おうってか。なんて卑劣なんだ。
いずれにせよついていったらロクな目に遭わないと確信できる。俺は騙されねぇぞ!
「なぁ、俺金ねぇから見逃してくれ! 他をあたってくれ!」
「誤解です、決して金目当てではありません。お金なら私の家にたくさんあります。人様のお金を奪うほど落ちぶれておりません」
「信用できるか!」
「お願い。私、あなたを助けたいだけなんです」
「っ……!」
なんで、ここまで……? 金を毟りたいなら俺にここまでこだわる必要はないはず。カモなら他にいくらでもいるはず……
彼女とバッチリ目が合って、俺はドキッと心臓を高鳴らせた。
彼女の瞳が潤んでいる。何よりも澄んでいる、純粋な瞳。あまりにも美しくて、俺は吸い込まれそうになる。
この目……人を騙そうとしている目には見えない。
理由はわからないが、彼女は本当に俺を助けようとしているのか……?
行くアテがないのは本当だし、俺1人じゃどうすればいいのかわからねぇし、別に彼女についていってもいいのではないか……
何より、神の寵愛を受けているとしか思えない整った美貌と豊満な胸を見て、断る気力がなくなってしまった。花の蜜に引き寄せられる虫のように、俺はあっさりと彼女に釣られてしまったのだ。
―――
というわけで、俺は彼女についていくことにした。
彼女がスマホで電話をかけて『すぐに来て』と言うと本当にすぐに車がやってきた。彼女と一緒にその車に乗って、車で移動する。
車に全然詳しくない俺でもわかる。この車、かなり高級車だろう。普通の自動車とは全然違う。
運転手の人も黒服でサングラスをかけていて怪しいかつ怖い。後部座席に座る俺は足がガクガクと震えるのが止められなかった。
となりの席に座る彼女が、俺の様子を見てクスッと微笑んだ。
「大丈夫ですよ。怖くないですから」
いや怖いよ。彼女についていくことを選んでしまった俺の自業自得ではあるんだが怖いものは怖いよ。
高級車をすぐに呼べる、運転手もいる。となると、彼女が金持ちなのは本当のようだ。マジで何者なんだこの巨乳美少女は。
そして車を走らせること15分。
車が止まった。
「さあ、私の家に到着しましたよ」
「あ、ああ……」
車から降りて、彼女の家の前に立つ。
「……ここが……キミの家……?」
「はい、私の家です」
「……う……ウソだろ……?」
「ウソじゃありません」
広い。広すぎる。俺がかつて住んでいたアパートの何倍の広さだろうか。
とにかく広くてすごい家だ。厳重な壁と厳重な門で囲われている。なんか和風で、門の隙間からチラッと見えたけど池や庭園があるじゃねぇか。俺から見れば大豪邸だ。
俺とは一生縁がなさそうな家であるはずなんだが。いきなり家に来ませんかって言われてここが家だって言われて、呆然とすることしかできない。
「信じてない顔してますね、本当に私の家なのに。なら証拠を見せましょう」
彼女はそう言ってブレザーの制服の中に手を突っ込んだ。
……ていうか胸の谷間に手を突っ込んでいる!? な、何をしてるんだ!?
制服の隙間からチラリと覗く胸の谷間を見てしまって、俺の男の部分は電撃が走ったように反応してしまった。見ちゃダメだと思いつつも視線が釘付けになってしまった。
彼女は胸の谷間からカードのようなものを取り出した。
なんで谷間から出してるんだよ! どこにしまってるんだよ!?
取り出したそのカードを門のインターホンにかざすと、ピーッと電子音が鳴ってゴゴゴと門が開いた。
カード認証システムか。すごく金がかかっている。
「ね? 見ての通り、私はこの家の門を開けられます」
カードを指で挟みながら妖艶に微笑む彼女はとても艶かしかった。
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