第49話 映画
事務所で妻と優雅に、チョコケーキを食べる。
いや〜本当に美味い。
チョコケーキを食べながら、橘から襲撃の成果を聞く。
「今回の襲撃で【インベスター】側の倉庫は、完全に破壊されました。倉庫の物資は出来るだけ、押収し金や違法薬物が半数以上で、他に目ぼしい物はなかったです。」
「人的被害は、どうだった?」
「味方側は、軽傷者 4名で、軽微な物です。敵側は、爆破など派手な事をした部隊がいる為、死体が残った数で計算すると 死者 約80名で、拉致・捕虜 21名です。幹部クラスの被害は、確認されて無いです。」
「やはり、幹部はもう狩り尽くしたか。」
「ええ、もう【インベスター】はボロボロで最後の攻勢を、仕掛けるのが良いかと。」
「そうだね。トップを殺して、この抗争を終わらせよう。」
さて。最後の攻勢は、いつにしようかな。少し間を開けといた方が良いか。
そんな事を考えていたら、夜になっていた。
今夜は、彩芽にホラー映画を見る約束をしていた。
「何でいきなりホラー映画見るの?」
気になって彩芽に質問した。
「あんた、ホラー映画見た事無いでしょ?」
「うん」
「絶対怖がると思う。だからそれを見て、私はニヤニヤして遊ぶ。」
「何 言ってんの。僕、犯罪組織のボスだよ。ホラー映画で、怖がる訳無いでしょ。」
「ほんと〜?」
「 ほんとだよ。」
「じゃあ、早く映画見よ。」
そして、映画の定番であるポップコーンを準備して、映画をデカいテレビで再生した。
〜〜〜2時間後〜〜〜
「怖い。 怖い。 怖い 。」
「あら、壊れちゃった。」
人生で初めてホラー映画を見た。
裏社会で恐怖的な体験は、かなり経験したからホラー映画なんて余裕だろ、と思っていた。そんな2時間前の自分を顔面にフルスイングで殴りたい。
怖かった。本当に怖かった。人生で1番怖かった。
特に、無防備な入浴中に襲われるシーンが1番ビビった。もう1人で風呂入れない。
彩芽は、僕が怖がる所をニヤニヤしながら「大丈夫?」と聞いてきた。酷くない?その気持ちは分るけど。
そして、寝る事になった。
だがここで、大問題が起こった。
トイレに行きたい。よくホラー映画を見た後など、トイレに1人で行けないと、よく聞くがその気持ちが痛いほど理解出来る。
もしトイレに行く途中で、さっき見たホラー映画に出て来た、右手に鋼鉄の爪を付けた殺人鬼が襲って来たらどうしようと考えてしまう。その時は、頑張って「僕は犯罪組織のボスだ、殺人鬼など返り討ちにしてやる。」と自己暗示を掛けるが、「もし殺人鬼が予想以上に強かったらどうしよう」と不安に襲われる為、効果は薄い。
恥を忍んで、彩芽に付いて来て貰おうかな?
いや、付いて来る事はするがニヤニヤしながら絶対煽って来る。ここは、橘にしよう。
そして、スマホで橘に電話した。
「もしもし?起きてる?」
『夜遅くに、どうしたのですか?』
「いや、それがね・・・」
〜〜〜部下に説明中〜〜〜
『ボスって、ホラー映画苦手なんですね。』
「そんなの、どうでも良いから部屋に来て。」
『え〜私、ようやく、今日の襲撃事件のまとめが終わって、やっと寝れると思ってた所だったんですが。』
「そこを何とか!お願いしますよ〜」
『嫌です。』
そして、電話が切られた。控えめに言って、絶望だ。
あ〜どうしよう。
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後で彩芽に付いて来てもらいました。
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