2章 3話『虫歯』

タクミは心の中に燃え上がる怒りと悲しみを抱きしめながら、シェアクに向かって突進した。彼の手には、ラズールの思いを背負った剣がしっかりと握られていた。あの友を失った無念を力に変えて、彼は全力で戦う覚悟を決めていた。


「ラズールの仇を取る!」

タクミは叫び、その声はまるで雷鳴のように響いた。


シェアクは冷たく笑い、手を伸ばす。彼の指先からは、黒いエネルギーが渦巻いている。「無駄だ、少年。お前はオルタリウスの残骸を受け継いだに過ぎない。」

その言葉に、タクミは激しく反発した。


「違う!俺はラズールの友だ。彼のために、俺は戦う!」

タクミの中で力が高まり、剣からは光が溢れ出る。


闇の中での闘い

タクミは、シェアクの放つ黒いエネルギーをかわしながら、巧妙に攻撃を繰り出した。彼の剣は、闇に包まれた敵を切り裂く光のように輝いていた。シェアクは驚きながらも、タクミの動きに合わせて反撃を試みるが、彼の目には焦りが見え始めていた。


「お前、そんな力を持っていたのか!」

シェアクは信じられないとばかりに呟き、その動きが少し鈍った。


タクミはその瞬間を見逃さず、一気に距離を詰めた。彼の剣が、シェアクの肩をかすめる。痛みに顔を歪めたシェアクは、一瞬の隙を突かれ、さらなる怒りを露わにした。


「愚か者め、私の力を侮るな!」

シェアクは両手を天に掲げ、周囲の闇を集め始める。彼の周囲に渦巻く闇は、次第に巨大な球体を形成し、タクミに向かって放たれた。


「くそっ、そんなのに負けるもんか!」

タクミは身を低くし、剣を構えた。その瞬間、ラズールの笑顔が彼の脳裏に浮かび上がった。彼のために、そして自分のために、決して後退してはいけない。


決意の一撃

タクミは深く息を吸い込み、全ての力を剣に集中させる。彼の心の中には、ラズールの思いが宿っていた。友のために、自分の全てを賭ける時が来た。


「これが、俺の力だ!」

タクミは剣を振り上げ、一気にシェアクの闇の球体に向かって突進した。


剣が光り輝き、周囲の闇を切り裂く。彼の攻撃が、シェアクの力にぶつかり、衝撃が走った。爆発的な音と共に、闇の球体が崩れ落ち、タクミの剣がシェアクの胸に突き刺さった。


「ぐぁぁぁぁぁ!」

シェアクは苦悶の声を上げ、力を失っていく。


「これが、ラズールのための戦いだ!」

タクミは力を込めて言い放った。その瞬間、彼の心の中に温かい感情が広がる。ラズールの思いが、タクミの中で生き続けていることを実感した。


終焉

シェアクは最後の力を振り絞り、闇のエネルギーを放とうとしたが、タクミの剣が彼の心を貫いていた。光が彼の体を包み込み、闇は次第に消えていく。


「お前……が……」

シェアクの言葉は消え、彼の体が崩れ落ちた。周囲の闇が晴れ、明るい光がタクミを包み込んだ。


タクミはその場に立ち尽くし、ラズールを失った悲しみに浸った。彼の目からは涙が流れ、心の奥に広がる痛みを噛みしめる。


「ラズール……お前のために、俺は戦った。」

タクミは静かに呟き、仲間のために戦ったことを心の底から誇りに思った。


再生の光

周囲には、再び静けさが訪れた。タクミはシェアクの倒れた場所を見つめ、彼の死を無駄にしないために立ち上がる決意を固めた。仲間たちと共に、彼の思いを胸に、未来に向かって歩き続けるのだ。


「俺は、まだ終わらせない。」

タクミは剣をしっかりと握りしめ、新たな決意を胸に秘めて、光り輝く道を歩み始めるのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私はギャンブル好きです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る