2章 4話『閃緑岩への思いは人それぞれです。』
タクミは、仲間たちと共にシェアクとの戦いを終えた後、心にぽっかりと穴が開いたような感覚を抱えていた。ラズールを失った悲しみを埋めるために、彼は新たな趣味を探し始めた。それは、偶然出会ったギャンブルだった。
初めての賭け事は、彼にとって興奮と解放感をもたらした。大広間で行われていたカードゲームは、彼に新たな友を与え、同時に一時的な幸福感を与えた。タクミは自分の直感を信じ、勝ち続けることができた。
「これが、勝ちの快感か……!」
彼は心の中で歓喜し、さらなる刺激を求めて賭け金を増やしていった。
引きずり込まれる深淵
しかし、タクミは次第にその快感に依存していった。勝ち続けることができたその瞬間の喜びは、次の勝利を求める欲望に変わり、彼を引きずり込む深淵となっていった。彼は日々の生活を犠牲にし、仲間たちとの絆を次第に忘れていく。
ある日、タクミは大広間の隅で一人、カードテーブルに座っていた。彼の目の前には、すでに積まれたチップがあったが、彼の心には焦燥感が渦巻いていた。
「今度こそ、勝てる……!」
彼は自分を励ますように呟き、また一度賭けることに決めた。
だが、運は彼に微笑まなかった。タクミは負け続け、気がつけば積み重なったチップはどんどん減り、彼の財布も空になっていた。
「くそっ……こんなはずじゃなかったのに!」
彼は怒りに任せてテーブルを叩き、周囲の人々からの視線を浴びる。
破滅への道
その後もタクミは、何度も何度もギャンブルにのめり込み、結果としては更なる借金を抱える羽目になった。彼はもはや、自分の心の闇に気づかず、日々をギャンブルに費やしていた。
ある晩、タクミは再びテーブルに座っていた。彼の心の中には、期待と恐怖が渦巻いていた。周囲の人々の笑い声や歓声が耳に入る中、彼は再び賭けを始めた。
「これが最後の勝負だ!」
そう思いながら、全てを賭けてしまった。
カードが配られ、彼の心臓は高鳴る。しかし、運は彼に見放された。タクミは負けた。全てを失った瞬間、彼の心に冷たい絶望が広がった。
「俺は、何をしているんだ……」
彼は自分自身を見つめ直すことなく、ただ呆然とした。
崩れ落ちる絆
タクミの変化に気づいた仲間たちは心配し、彼を助けようと手を差し伸べた。しかし、タクミは彼らの助けを拒み続け、自分の中の闇に閉じ込められていた。彼の心は孤独に包まれ、仲間たちとの絆は次第に薄れていく。
ある日、彼の親友であるメイリが、彼に声をかけた。「タクミ、もうやめた方がいい。君がどれだけ辛いか、私たちは知っている。助けてあげるから、頼むからもうギャンブルを……」
タクミはその言葉を耳にしながらも、冷たく笑った。「お前には関係ない。俺はもう戻れないんだ!」
その瞬間、メイリの目には悲しみが宿った。しかし、タクミはその視線を無視し、自分の欲望の中に埋もれていった。
絶望の淵
数週間後、タクミはついに全てを失った。借金を抱え、誰も彼を助けてくれない。彼の心には、ただ空虚感と孤独が広がっていた。
「もう、どうでもいい……」
彼は呟き、部屋の隅にうずくまった。
その時、タクミは初めて自分の選択がもたらした結果を思い知らされた。彼は、ギャンブルという罠に囚われ、友を失い、そして自分自身も失ってしまったのだ。
立ち上がるために
タクミは、自分の心の中にかつての仲間たちの笑顔を思い出した。彼らのために、もう一度立ち上がる必要があると感じ始めた。その思いが、彼に再び光をもたらすかもしれないと。
「俺は、もう一度やり直す……!」
タクミは静かに決意を固め、立ち上がる。そして、彼は新たな一歩を踏み出すために、仲間たちとの絆を取り戻す旅に出るのだった。
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競馬で3連単当てました!雀荘も別のに移しました
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