2章 2話『久留米市在住29歳bachelor男性』
タクミとラズールがオルタリウスの力を打ち破った直後、周囲は再び静けさに包まれた。しかし、その静寂は長く続かなかった。黒い霧の中から現れたのは、かつてないほどの巨大な影だった。その影は、オルタリウスが宿した闇の力が具現化したものであり、背中には無数の翼を持ち、目は深い絶望を宿していた。
「貴様らが私の力を消し去るとは……愚か者たちよ、次はお前たちだ!」
その声は、冷たく響き渡った。
「誰だ、てめぇ!」
ラズールが叫んだ。
「私はシェアク、オルタリウスの後継者だ。この世の全てを闇に包むため、ここに来た。」
シェアクは笑い、周囲の空気が一変する。まるで彼の存在が全てを飲み込むかのような圧迫感があった。
「ラズール、気をつけて!」
タクミが警告するも、ラズールはすでに前に出ていた。
「俺が先に行く!お前は後ろに下がってろ!」
ラズールは、シェアクに立ち向かう決意を固めていた。
闇の戦い
シェアクは一瞬でラズールに近づき、翼を広げる。その瞬間、無数の黒い羽が彼の周りに飛び交い、ラズールを取り囲んだ。ラズールは必死に剣を振り回し、羽を弾き返そうとした。
「くそっ、こんなものに負けるか!」
ラズールは怒鳴りながら、全力で攻撃を続けた。
しかし、シェアクは冷静にラズールの動きを読み、すぐに反撃に出る。彼の手から放たれた闇のエネルギーが、ラズールの体を貫いた。激しい痛みが彼の身体を走り、ラズールは地面に膝をついた。
「ラズール!」
タクミが叫ぶが、彼は動くことができなかった。
「無駄だ、タクミ。彼の力は私には通用しない。」
シェアクは冷ややかな笑みを浮かべて言った。
ラズールは痛みを堪えながら、再び立ち上がった。彼は自分の命が危険にさらされていることを感じていたが、仲間のため、そして自分の誇りのために戦う決意をした。
「たとえどんなに苦しくても、俺は負けない!」
ラズールは力強く叫び、タクミの方を振り返った。
「タクミ、行け!お前はこの戦いを終わらせろ!」
その言葉は、彼の心から湧き出る力強い意思だった。
終焉の瞬間
タクミは仲間の言葉を受け止め、心を震わせながら、シェアクに立ち向かう決意を固めた。しかし、ラズールはすでに大きな傷を負っていた。彼は一瞬の隙を突き、再びシェアクに襲いかかる。渾身の一撃を放つが、その攻撃はまたもやシェアクに弾き返されてしまった。
「お前の命は、私の手の中にある!」
シェアクの言葉が、ラズールの心に重くのしかかる。
ラズールは、一瞬の隙をついて必死に突進するが、シェアクは冷酷に反撃する。彼の一撃がラズールを捉え、黒いエネルギーが彼を包み込んだ。
「いやぁぁぁぁあ!」
ラズールの絶叫が響く。彼は闇の中で苦しみながらも、仲間のために戦い続けようとした。
「ラズール、戻れ!」
タクミは必死に叫んだが、ラズールの体は徐々に力を失っていく。
「俺は……俺は、負けない……!」
その言葉が彼の口からこぼれた瞬間、シェアクの闇が彼を包み込んだ。
最後の瞬間、ラズールの目に映ったのは、タクミの必死な表情だった。彼はその目を閉じ、心の中で仲間の無事を祈った。
「ラズール!お前は死なせない!」
タクミの叫びが響く中、ラズールはそのまま力尽き、闇に飲み込まれていった。
深い悲しみ
タクミはその光景を目の当たりにし、全てが終わったように感じた。心の奥底から湧き上がる怒りと悲しみが、彼を襲った。ラズールの死は、タクミにとってただの仲間の喪失ではなかった。彼の大切な友であり、共に戦った者の命を奪われたことは、彼にとって耐え難い痛みだった。
「ラズール!」
タクミは叫び、シェアクに向かって突進する。彼の目は怒りに燃え上がり、全てを打ち破る覚悟を秘めていた。
「お前は、俺の友を殺した。今度はお前の番だ!」
タクミの声が、周囲の闇を突き抜けた。
シェアクは驚いた様子でタクミを見つめる。「愚か者が、無駄な抵抗を……」
しかし、タクミは全ての力を振り絞り、シェアクに立ち向かった。彼の中に眠る力が覚醒し、再び戦いが始まる。
闇を打ち破るため、タクミはラズールの思いを胸に、強く戦い続けるのだった。
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