2章 1話『リストカット』

タクミとラズールは、宝を手に入れた喜びに満ちた心で洞窟を後にした。しかし、まだ試練は終わっていなかった。洞窟の外に出ると、周囲は薄暗く、空には不気味な雲が立ち込めていた。


「何だか、雲行きが怪しいね……」

ラズールは心配そうに周囲を見回した。


「そうだね。何か起こりそうな気がする。」

タクミも不安を感じていた。


その時、突然、空がひゅうっと音を立てて切り裂かれ、闇の中から巨大な影が現れた。影は次第に形を成し、全長数メートルの魔物、オルタリウスが姿を現した。


「ふふふ、試練を乗り越えた者たちよ。よくぞここまで来た。」

オルタリウスの声は低く、冷酷な響きを持っていた。


「お前は誰だ!」

タクミは声を震わせながら尋ねた。


「私はオルタリウス、闇の力を操る者。お前たちの持つ宝は、私の力を引き出すための試練なのだ。」

オルタリウスは笑みを浮かべ、その目は冷酷に輝いていた。


「宝は私たちの努力の証だ!お前には渡さない!」

ラズールが怒りを込めて叫んだ。


「そうか、ならばその宝を奪い取るまで。」

オルタリウスは手をかざし、闇のエネルギーを集め始めた。周囲は急に冷たくなり、空気が重く感じた。


タクミとラズールは互いに顔を見合わせ、心の中で決意を固めた。「一緒に戦おう!」

タクミは叫び、ラズールも頷いた。


超強敵との戦闘

オルタリウスは笑いながら、闇のエネルギーを放った。その攻撃は凄まじい威力で、二人はすぐに避けなければならなかった。


「こっちだ!」

タクミがラズールを引き寄せ、二人は素早く移動した。


「どうやってこいつを倒すんだ……」

ラズールは焦りを隠せなかった。


「まずは、彼の攻撃を避けよう!隙を見つけて反撃するんだ!」

タクミが冷静に指示を出す。


オルタリウスは再び攻撃を仕掛けてきた。黒い波が二人の方へ向かって襲いかかる。タクミとラズールは一緒にジャンプし、波をかわした。


「隙を見せるな!」

オルタリウスの声が響く。その瞬間、彼は地面を叩きつけ、地面が揺れた。二人は転びそうになりながらも立ち上がる。


「これでは勝てない。彼の力の源を見つける必要がある。」

タクミは瞬時に考えた。「ラズール、彼が攻撃している間に、その隙を突こう!」


「うん、わかった!」

ラズールは勇気を振り絞り、タクミと共にオルタリウスの周囲を回り込む。


オルタリウスの秘密

オルタリウスは二人の動きを見て嘲笑する。「無駄だ、無駄だ!私の力を侮るな!」

彼は再び闇のエネルギーを集め始めた。


「ラズール、今だ!」

タクミは叫び、ラズールは一瞬の隙を突いて、オルタリウスの背後に回り込んだ。


「その宝を返せ!」

ラズールは力を込めて叫んだ。


「お前たちには無理だ!」

オルタリウスは振り返り、攻撃を仕掛ける。しかし、タクミは素早くラズールを引き寄せ、攻撃をかわした。


「ラズール、彼の攻撃の合間にその隙を突いて!」

タクミは必死に指示を出した。


オルタリウスは、再度の攻撃を繰り出してきたが、今回はタクミとラズールは巧みにそれを避け、オルタリウスの後ろに回り込むことに成功した。


「今だ、ラズール!」

タクミは叫び、ラズールは全力でオルタリウスに向かって突進した。彼の持つ宝石をかざし、オルタリウスに向けて放った。


「行け!光の力よ!」

ラズールの叫び声と共に、宝石から光が放たれた。その光はオルタリウスの体に当たり、彼の力を一瞬だけ弱めた。


「う、うおおお!」

オルタリウスは苦しみ、闇のエネルギーが揺らいだ。


「チャンスだ!タクミ!」

ラズールはタクミに叫び、その隙に二人はオルタリウスに接近した。


「今こそ、力を合わせる時だ!」

タクミはラズールと共に、全力でオルタリウスに突っ込んだ。


終わりなき戦闘

しかし、オルタリウスはすぐに反撃し、二人に向かって闇の波を放った。二人はそれを必死に避け、再び距離を取った。


「どうする?このままでは勝てない!」

ラズールは冷静さを失いかけていた。


「まだ大丈夫だ!ラズール、彼の攻撃に対する隙を見つけよう!」

タクミは決して諦めず、周囲を見回した。


オルタリウスは、闇のエネルギーを高め、周囲の空気がますます冷たくなる。二人はその圧力に耐えながら、再び攻撃を仕掛けるタイミングを伺っていた。


「もう一度、光を放とう!」

ラズールは宝石を手に取り、再度オルタリウスに向かって突進した。


「行くぞ、タクミ!」

二人は心を一つにし、再びオルタリウスに突進する。


その瞬間、オルタリウスは最も強力な攻撃を繰り出し、周囲の空気が震える。タクミとラズールは必死に避けたが、攻撃の一部が彼らに当たってしまった。


「うわああ!」

タクミは地面に倒れ込み、ラズールもその衝撃に飲み込まれそうになった。


「タクミ、大丈夫?」

ラズールは心配しながら、タクミの元へ駆け寄った。


「大丈夫、少し疲れただけだ。まだやれる。」

タクミは痛みに耐えながらも、立ち上がった。


最後の決戦

オルタリウスは一瞬の隙を突いて、再び闇の波を放った。二人はその攻撃を避けながら、次のチャンスを探る。


「もう一度、力を合わせよう!必ず勝てる!」

タクミは意を決して叫び、ラズールも頷いた。


二人は再びオルタリウスに向かって突進した。その時、タクミの心の中で何かが目覚めた。


「私たちの力は、絆だ!」

タクミは叫び、二人の絆が力となる瞬間を感じた。


「ラズール、今だ!全力で放とう!」

タクミが叫び、ラズールは宝石を高く掲げた。


その瞬間、二人の力が合わさり、強烈な光が放たれた。その光はオルタリウスを包み込み、彼の力を打ち消していく。


「うわああああ!」

オルタリウスは叫び、闇のエネルギーが崩れ去った。


勝利の瞬間

光が収束し、オルタリウスの姿は次第に消えていった。二人はその光景を見つめ、心の中で勝利の喜びを感じた。


「やった!勝ったんだ!」

ラズールは歓喜の声を上げた。


「私たちの力を信じたからこそ、勝てたんだ。」

タクミも嬉しそうに笑った。


しかし、喜びの余韻に浸る間もなく、周囲が急に静まり返った。二人は不安を感じながら、再び周囲を見回した。


「何か、まだ終わっていない気がする……」

タクミは不安な表情で言った。


その時、オルタリウスが消えた場所に何かが現れた。それは、彼が放った闇のエネルギーが形成した黒い霧のようなもので、再び姿を変えながら二人に迫ってきた。


「まだ終わっていない、タクミ!」

ラズールが叫んだ。


二人は再び立ち向かう覚悟を決めた。闇の力が再び襲いかかる中、彼らの冒険はまだ続く。未知の試練、そして新たな敵が待ち受けている。


タクミとラズールは、闇に立ち向かうために手を取り合い、新たな冒険の旅へと進んでいくのであった。


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読んでくれた方、ありがとうございました!博多市在住ということで、全家庭に送らせていただきました!

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