第8話 溺愛ルートに入りました・エンドロール

「マコトさん?」


「…とりあえず起きましょうか。今日は仕事ですし。先にシャワー浴びます?昨日はすいません酔って寝ちゃって。その間にポテサラチーズトースト作っときますね。コーヒーでいいですか?」ニコッ


「あ、はい先にシャワー使いますね」


俺は冷凍庫から凍ったフルーツミックスを出して飲むヨーグルトとミキサーにかけた。

コップに移さずそのままゴクゴク飲んで頭を冷やす

シンクでじゃぶじゃぶ顔を洗う


「ふぅー…色々と衝撃すぎる。

あの馬鹿の言ってることだいたい合ってる。…よくも俺を何度も殺してくれたな、あの更年期クソババア!殺す!前世を思い出した今なら確実に躊躇なく殺せる!縛って重り付けて生きたまま海に沈めてやるクソババア!」


キスしたら俺も前世思い出すの?意味分からんし

確かに生まれ変わって云々は俺が言った

美女になって二股かけてたのも俺だし…

やらかして瀕死になって逃げてきて、泣きながら縋ってきたアイツを最後の手向けに慰めた言葉だった


――前世の回想――

「オレがやりました…失敗したんです、すいません。だって先輩が邪魔だったんです…オレ2番目でいいって思ってたのに欲が出ました。

…こんな事になるなんて思ってなくて。

嫌だ、まだ死にたくない

まだ貴女の側にいたかった…ここまで1番側で貴女の成長を見守ってきたのはオレなのに…マリーウェザー…オレ、ごめんなさいマリーウェザー愛してました誰よりも」


「ヴラド死ぬな!お前まで置いてくの?ずっと側にいるって約束したじゃん!行かないでよ」


「貴女を置いて死ぬのが怖い…オレの代わりなんて作らないでグスッ…置いて行ってすみません…マリーウェザー、オレまだ死にたくない…。約束して下さい来世では1番に愛してくれるって」


「約束するよ、生まれ変わってもまた必ず会えるから。ってかお前、自分の事まだ2番目だと思ってたの?とっくに1番だったよ?何度も言ったのに何で分からないんだよ!」


「だって貴女の側にはいつも先輩がいた…」


「それは老後の面倒見るって先に契約しちゃったし?仕方ないじゃん。でもずいぶん前からお前が1番だったよ。よく暗黒魔王様マリアンヌを封印できたな…」


「先輩が邪魔だったんです…マリーウェザーを独占したかった。オレだけに愛を囁いて、オレだけに可愛い顔で笑いかけて愛してもらって…死ぬまでオレが一緒にいたかった」


「馬鹿だな!でもそんなヴラドも大好きだよ!お前のしたこと別に怒ってないからね?

俺が悪いんだよな、いつも不安にさせて悪かったな、俺なりに大切にしてるつもりだったのに!だから死ぬなよ、置いてかないでよ一人にしないでヴラド」


「すいません、限界みたいです…最後にキスして下さい。実は貴女の胸で死ぬのが夢だったんです…最後に叶って良かった」


「自分だけ本望!みたいに死ぬのズルくない?ふざけんな責任取れ馬鹿ぁ」


「…泣かせてすみません、もう涙も拭えない…生まれ変わったら今度こそオレの全てを捧げて貴女に尽くします。置いて行ってすみません、ずっと愛してます…最後まで貴女の側で愛されていたかった」


「うわぁぁ、ヴラド死なないでぇ置いてかないでよぅ嫌だぁぁ馬鹿ぁぁ!必ず会えるから大丈夫だから愛してるよ」



27歳サラリーマンが

異世界転生してぷるぴち聖女に

全て忘れて再びサラリーマン←今ここ


ヴラドは自分が先に死んだから

その後を知らないらしいけど、俺の前世は別に処刑されてない。

変態ロリコン辺境伯に嫁がされて、自力で脱出して外国に亡命してる。金とコネとツテさえあれば爵位は買えるし、美人だったからその後も人生謳歌してる。

未練を残して死んで後悔したまま時間が止まったアイツが心底哀れだよ



ガチャっとバスルームの扉が開いてシャンプーの香りが湿気と共に漂う。ユウスケが出てきた


「あ、パンの焼ける香りがしますね」

「こっち来て座って下さいユウスケさん」


椅子に座らせタオルで髪を拭いてやりドライヤーかける。手ぐしで整えなが乾かすとサラサラヘアに。別に整髪料いらんやん


ドリップコーヒー入れて、トースターからパンを出す。


「ポテトサラダをトーストに乗せて食べるなんて、初めてです」

「結構ウマいですよ。お口にあいました?」

「はい、美味しいです!」


イケメンで腹筋バキバキで社長の息子なんて恵まれた生まれなのに、前世に縋りたくなるくらい満たされてなくて寂しい人生なんだな。

前世は、そこまでの業じゃなかったよ?その不幸体質って性格だったの?巻き込まないでくれよ。

なぜタイムリープしてるか知らんけど、今度こそ生き延びてやる。それに、お前は死んだら地獄行きだからな。そんなの可哀想過ぎるだろ


本当に馬鹿なやつ…約束だしなほっとけないじゃん!


「あの、マコトさん…オレたち付き合ってるんですか?」

不安そうに聞いてくる、まるで捨てられそうな犬みたいだな。昔から変わってないなお前も


「はい好きです結婚してください!俺が面倒見るって言いたいですが、今のところユウスケさんの方が稼ぐのでだいぶ待ってもらえれば何とか?」無理かな?


「え?!…はあ?え?本気ですか?」


「本気です!嘘で男に告白したりしません」


「本当ですか?…オレ男ですよ?自分でも分かってますが重くて面倒な性格ですよ?浮気したらマコトさんを殺して死ん」「浮気なんてしません!俺が結婚したい程好きなのユウスケさんだけです!死なないで下さい。信じられないなら今すぐ押し倒してケツにぶち込んで差し上げます!」


「えっ!オレがぶち込まれる方なんですか?!」


「当たり前じゃないですか。俺も男なので好きになったヤツは押し倒してヤりたいです!」ニヤリ


「それ本気で言ってますか?」

「責任取って老後までずっと側にいますよ?ユウスケさんが信じたくなるように押し倒しましょうか?」


手を取って指先にキスを落とす

「とりあえず仕事行く時間が迫ってるので俺もシャワー浴びてきます…週末またおうちデートしましょうね?」

「マコトさんが急に格好良く見える…オレの方が1つ年上なのに」


「それは俺に惚れたんですね?俺に愛される喜びを知って下さい。グズグズに甘やかされるのが好きですか?それともギチギチに束縛されたいですか?」


指先を絡めて恋人繋ぎしてやる


「はぐぅ…両方…オレの全てを支配して欲しいです。オレだけのマコトさんでいて下さい」

「我儘ですね、そこも可愛くて愛おしいよ」ヴラド

「え?…最後なんと言いました?」

「本当に時間ないのでシャワーしてきます、ちゃんと着替えてて下さい!出てくるまでにで用意きてなかったら窒息するほど唇ふさいであげますよ?」


「(ゾクゾク)はぅっ…ご褒美ですか?着替えますから早く出て来てして下さい」


さて、やることは山積みだ

まずは怖いからババアの削除が先だな。

俺は考え事しながら熱いシャワーを頭からかぶった…


出たらギョッとした

だって脱衣所で犬のように正座して待っていたから


「ちゃんと準備できてます」

褒めてほしそうな期待の籠もった目で見上げてきた

「俺のタオルと着替えまで畳んでくれたの?ありがとう…ご褒美が必要ですか?」


俺は全裸でビチョビチョのまま正座したユウスケに跨った

「驚いた顔してどうしました?」

「あの濡れっはむっんっ」


ブチューっと舌を絡めて濃いの一発かましてやった

ポタポタと水滴がシャツを濡らしていく…水も滴るいい男だろ?

前世女だったのを思い出したから今なら余裕でできるな


チュッと唇を離した

なんてエロい顔してんだよ本当に襲っちゃうよ?

「こう言うのが好きだと思ったのですが…お口に合いましたか?」


「はぅっ…マコトさん(ハート)」

「これからもいい子だったらご褒美あげますね」

「いい子にするので捨てないで下さい」

「責任取って死ぬまで幸せにしてあげますよ、ご主人様?」

「オレがご主人ですか?」

「次期社長と平社員なので」

「マコトさんのご主人様になるのも悪くないですね」

「次期社長なのに平社員に良いようにされるご主人様ですけどね?パンパンに膨らまして期待してるんですか?今日の所はお預けですよご主人様?」服の上から撫でる

「くぅんっ…もっとして下さいマコトさん」

「いや着替えますから、風邪ひくの俺だし」


顔を真っ赤にして喜んで、俺が着替えるのをニヤニヤしながら見てくる。変態すぎねぇ?


「あの、マコトさんのシャツ下さい。持って帰って良いですか?」


「いいですけど、替えのシャツ下さいよ」


俺のシャツで何をするのか想像したくないな

そうだ、メモ書き残せないかな…あループしたらエリも見るんだっけ

カレンダーを見てメモを残そうと考えて、自分で書いた言葉に驚愕した。

俺が最初に見た言葉が書かれていた…気味悪いから書きなおそうとしたらシュワシュワと文字が消えてしまった?!

また別の言葉を書いても消える…ループ先のメッセージはコレだったのか。原理がわからない


俺のシャツを楽しそうに畳んでカバンに入れてるユウスケ。さっと開いた中に俺のパンツも入ってたけど、まあいいよ


――前世を思い出したお陰でミチコの排除は簡単だった。女って強いな…と今の俺は思う。

ユウスケのタワマンで一緒に暮らすようになるのはもう少し先の話だが、この日を転機にループしなくなったのは言うまでもない



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ヤンデレ彼氏を甘やかして死亡ルート回避する ワシュウ @kazokuno-uta

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