第7話 ヤンデレ・溺愛ルートに入りました

「あー嬉しすぎて緊張しすぎて立ちません(棒)…すいませんユウスケさん」

「大丈夫です、そう言う時ってありますよね。そのオレのは…」

「ギンギンっすね」うわぁ…やってやるよ!くぅ…


俺は野郎のナニをパンツ越しに震える手で優しく撫でた。

喜ぶヤツの顔とかシラフで見ると殺意が湧く!

うっ、俺は吐きそうだ、野郎のヤロウなんて見たくもない


「俺の手でユウスケさんが気持ちよくなってくれて嬉しいです(棒)…恥ずかしいからあんまりコッチ見ないで下さい」

「マコトさん可愛いですね…好きです」

未だ萎んだ俺のナニをパンツ越しに撫でてくる


ひぃっ!


俺がカンフーの達人なら今すぐその首へし折ってやる!まあ達人でもなければチキンですよ。

その後何をされようが結局俺のナニは立つことがなく、何故か落ち込んだユウスケがまた次回と帰った。

(※この翌日ミチコに殺された)



――上記を含め、あれから更に2回失敗した

今更だが、どうも同じルートは辿れないようだった。カレンダーのメモ書きが変わってるしな。

同じ日を繰り返してるのではなく、パラレルワールドの方、つまりループじゃなくて死ねば魂があの日の朝を起点に無数に枝分かれした並行世界に異動してる仮説が濃厚になってきたな


今までアホやって死んだ俺も確かに存在してて、彼女や親を泣かせたのも別の世界の現実にあると思うと既に死にたくなる


ただ心も体も昨日まで元気だったから、記憶があるだけでメンタル消耗してない。

それに、朝起きたら裸のエリが隣にいるから心と体が勝手に元気になるしテンションも上がる。


悪夢見て起きる割に寝起きが良すぎるんだ。

毎回、生きててよかったと思える程に気持ち良い朝の目覚め。アレのあとの心地よい倦怠感がね?

毎回エリの隣に帰ってくるのは理由があったんだな。

じゃなきゃ俺はループして即座に死んでるよ



まあ、そんなわけでユウスケと自然に出会う為に違うジムに通ってる。

一度だけチラッと前のジムを見に行くと受付の女の子はまだいた。やっぱり前回はミチコに消されたんだな……


「ふぅー…」

「マコトさんもう出ますか?」


ここのジムにはサウナがあるのだ。前のところより安い分、駅からちょっと離れるが穴場だな

相変わらず俺の金魚の糞みたいについてくる…健気なやつ

…バキバキの腹筋すっげーな!


「ふぅ…15分くらいたちました?」

「いえまだ5分ほどです」

「じゃぁ、まあ、もう少し大丈夫」


先週、バキバキの腹筋が怖くてもう少し頑張ろうとサウナで汗かいてたら気分悪くなった。

ちゃっかり家までタクシーで送ってもらった


真っ暗な部屋について

「あれ?マコトさん彼女とかいないんですか?仕事ですか?」

「うん?俺一人暮らしだから。助かりました、どうもお世話かけてすみません」

「一人暮らしだと、何かと大変じゃないですか?あのオレでよければ――」

ユウスケが何かごちゃごちゃ言ってたが


今回も早くも詰みかな?と諦めてたらユウスケは楽しそうに俺の世話をやくから、世話好きで頼られたいんだな?とか全然違うこと考えてた。

流れるように自然に連絡先交換する


「あの、また様子見に来ていいですか?マコトさんが心配で…その、オレ、余計なお世話ですか?」


いかにも上目遣いの付き合う前のぶりっ子女みたいな事言ってた。

あれ?前世女の子だったのお前のほうじゃね?


「ありがとうございます…実家ちょっと離れてるんで頼れる男友達できて嬉しいです」


急ぐとその分早く死ぬからまずは友達から!


って思ってたのに翌日さっそく来たよ。もうちょっとスパン開けようぜ週末とかさ?とりあえず家にあげる

あ…ユウスケの手には買い物袋が!


ま・さ・か?


俺に手料理を振る舞いたかったらしい。

今回は手伝ってあげよう、フライパンは買い替えておいたが…マッシャーは無かったな

フォークでじゃがいも潰してポテトサラダ作る

惣菜なんて出来合い買ってきていいのにな?親や彼女も普通に買ってきてるし


「次までにマッシャー買っておきます…」

「また次も来ていいんですね…ハハッ」ボソッ


コイツ恋愛下手すぎ…その見た目で1人しか経験ないらしい…だから余裕なくガツガツしてるの?

もう呪だと思うことにした、前世の俺に執着してる呪い!かけたのが俺なら解いてやるんだけどね?コイツが自分にかけた馬鹿な呪い


高そうなワインとチーズ

ポテトサラダ、すき焼きにした方がいいんじゃない?って高級肉の肉じゃが。

肉じゃがだと気付いてすぐにご飯を炊いた。パンとか入ってなかったし

もう一品欲しかったから、残りのじゃがいもと玉ねぎと人参で味噌汁作った。冷凍庫のネギ散らして完成


「マコトさん手際がいいですね」

「一人暮らしなんで、ここ俺の部屋でホームグランドだし。学生の頃キッチンでバイトしてたんで簡単なのは作れます」

「へぇー、そうなんですか」

「でも、肉じゃがとかポテトサラダなんて久しぶりに作りました。一人だと食べきる前に悪くなるので…。明日の朝はポテサラチーズトーストですね」


「え?泊まって行っていいんですか?」

「…その大荷物は着替えじゃないんですか?」

「あっ…はい」(照れ)

「週末に来れば(朝は)ゆっくりできますよ?」

「えっ?!週末に泊まりでゆっくり??…いいんですか?」(もじもじ)

「え、はい。引っ越した当初は面白がって週末に地元から親とか友達が泊まりに来たことありますし?布団出しますよ?」

どうせ押しかけて来るくせにな?


「あ、友達か、まずは友達…ククッ」


テーブルに運んで座ると、ユウスケは上機嫌でワイン開けてグラスにつぐ

100均のワイングラスに入れてはいけない高級ワイン。あんまり飲まないからワインの良し悪し分からない


「…マコトさん彼女いますよね?」

「ちょっと前に別れたんです…私物まだ片付けて無かったですね」

「そうだったんですか…不躾に聞いてすみません」

「誘っといて何ですが、ユウスケさんこそ彼女に悪いんじゃ?構ってあげなくていいんですか?」

「オレも彼女いませんよ」

「またまたー、いつも帰りに迎えに来る女の人が彼女なんでしょ?」

「えっ?」

「あれ?違いました?ショートヘアで真っ赤な口紅のだいぶ年上のお姉さん」

「見られてたんですね…あの人は彼女じゃないです、会社の知り合いです」

「会社の知り合いが何で迎えに来るんですか?そういえば、ユウスケさんどこで働いてるんです?」


「…聞いて驚かないで下さいね。オレ実はマコトさんの会社の社長の息子なんです…」


「えー?!次期社長?じゃああの女の人は家政婦さんかSPの人ですか?」

「家政婦…まあ似たようなものです。昔からお世話になってる親父の愛人ですから」


「驚きすぎて言葉が出てきません。…あ、今までご迷惑をおかけしました申し訳ございませんでした!」

「そんなっ気にしないで下さい。言うとマコトさんが気を使うかもって思って黙ってました。気にしないで下さい、今まで通り気安く付き合って下さい」


「…気安くですか?」

「オレ、その、知り合いはたくさんいますけど、仲良い友達はいないんです。マコトさんと知り合ったのは偶然で、ほらあそこって穴場じゃないですか?趣味の合う気さくな友達…

ほら、マコトさんは大事な友達なんです…オレ、この関係壊したくないです」


偶然じゃないだろ?演技上手いなまったく

「職場を聞いたの俺の方だし…黙ってたって良かったのにユウスケさん素直ですね」

「マコトさん…」

「パンピー平社員の俺にはよく分からないですが、何か偉い人とかの付き合いストレス多そうですね?普通の友達の俺で良かったら、こんな感じでたまにガス抜きに付き合いますよ」

「マコトさん!あなたならそう言ってくれると思ってました。あ、ワイン飲んで下さい」


「ありがとうございます。コレも高いワインだったりします?やっぱ良いところのお坊ちゃんは良いのしか飲まないんですか?あ、嫌味とか皮肉じゃないですよ?単純に疑問に思っただけです」


「そんな高いものじゃないですから気兼ねなく飲んで下さい…その、あなたと仲良くなりたくて買ってきました」

「あざっす、ワインあんま飲まないからよく分からないですがいただきます」

「ワインはお口に合いませんでしたか?」

「すいません正直言うと良し悪しが解りません。実家にいた頃は料理用に買ってましたが…一丁前にビーフシチューの肉を赤ワインで煮てました」

「色々と買ってきますから美味しいと思ったの教えて下さい…今日のはイマイチでしたか?サッパリして酸味が強いですが」

「肉じゃがと飲むなら悪くないと思いましたよ」


「…本当はカレーにするつもりでした」


「え!!だってカレールー買ってきてませんでしたよね??」

「…買い忘れたんですよ!どうしようと思ってたらマコトさんが肉じゃがですか?ってサクサク手伝ってくれて…オレが買ってきた材料見てポテトサラダと肉じゃがと味噌汁を作り始めたんです。米もいつの間にか炊いてたし」


「えー?!金持ちのカレー肉ってゴロっとサイコロビーフなイメージがあったんで…すき焼き用のスライス肉だったし。それにお湯沸かしてるからじゃが芋茹でるのかと…じゃあ何のお湯だったんです?カレーにしてもお湯から作りませんよね?…トッピングの温泉卵用でした?」


「料理作ったこと無いのに何故か作れると勘違いしてました…すいません」シュンとする。


イケメンがやると絵になるね

「…ちょっと抜けてるところも面白…可愛いですね」

君が女の子ならちゃんと好きになれたかもしれない。どれだけイケメンでもお前男じゃん?俺ノーマルだよ


「マコトさん面白がってませんか?」

「いえいえ、雲の上の偉い人かと思ってたので、失敗する人間なんだなってちょっと安心しました」

「普通の人間ですよ、オレ自身は偉くも何でもないですから…昔から色々と制限多くて自由にさせてもらえませんでした。今はある程度好きにしてます」

「社長の息子って大変なんですね…親父さん厳しそー」

「厳しい…ですかね。母親が死んでからあんまり顔合わせたこと無いです。成績が落ちれば一言"失望させるな"でしたから」


「うわぁ…ドラマに出てくるろくでもない社長みたい…って言ったら俺クビになっちゃいますね。いやぁ厳しいお父さんッスねー」


「ろくでもないのは当たってます。母親が死んだら堂々と愛人連れ込んで息子の世話させるんですよ?頭イカレてる。…当時はまだ中学生だったので、恥ずかしながら反抗期で、家の中を愛人がうろつくのが気持ち悪かった」


「…あれ?その愛人と仲良いんじゃ?家政婦…じゃなかった、送迎してもらってますよね?」


「あー…彼女は会社の顧問占い師なんですよ。秘書課に席を置いてますが…その、父親の代わりに保護者面談に来てもらったりしてました。

仲良いって…オレの愛人じゃないですから。マコトさん何か勘違いしてませんか?」


「アチャー…熟女好きなのかと思ってましたー」

「はあ熟女好き?!違いますから…あれ?マコトさん酔ってます?」


「まだ酔ってません」嘘ですさっきから足に来て立てません


「今度は週末にして下さい。すみません良いワインって思ったら飲みすぎました不覚にも」


「マコトさん酒弱かったんですか?」

「普通です、ワイン飲まないので加減が分からなくて…アルコール度数15もある…日本酒並だ」


「あれ?でもマコトさんビール飲みますよね?」

「ビールってせいぜい5%です、チュアハイとかだと3からだし」


「うぅ…目が回る」

「わあ!マコトさん大事ですか?」



――気がついたら朝だった

パンツ1枚で寝てる……またやっちまった!


この硬くて分厚い胸板はユウスケだな?抱きしめられて寝てる…


うぅ…ループなら柔らかくて良い匂いで可愛いエリの隣だったのに。我ながら未練がましい…

今回、エリと別れる理由は俺がカミングアウトする事にした。結論から言うと1番エリを傷付けずに別れることができた。その分俺がいつもより泣いた。

――回想――

「俺、新しい扉開いちゃったみたい…俺たちまだ若いし今しかできないことしたい。興味があるならエリも3Pする?俺は多分両方いけるよ」

「え?急にどうしたの?何?マコトくん…ゲイだったの?」

「違うよ…今でもエリちゃんが1番大好きだよ。だけど色んな可能性を試したい。10年後は無理だけど俺たちまだ23歳で若いだろ?挑戦(チャレンジ)する時だと思う。無理強いはしないよ」

「あー…うん。私たちまだ若いもんね。うん、マコトくん応援するよ」

「ありがとうエリちゃん…君に理解があって嬉しい…グズッ…ウゥゥ」

「…カミングアウトしてくれてありがとう。泣くほど思い詰めてたのね。ちゃんと話してくれて私も嬉しいわ」

「俺変な事言ってごめん…気持ち悪くない?自分で言っててドン引きだよ」

「うん気持ち悪くないよ。マコトくんはマコトくんだから…あのね高校の時の西川くん覚えてる?」

「バスケ部の1個上の先輩?」

「ゴリ先輩じゃなくて同級生の西川くんよ」

「あー、あのナヨっとした?」

「うん、そう、その西川くんさ、マコト君のこと好きって噂だったの知ってる?」

「微塵も知らなかった…え?あいつそうなの?」引くわー…

「女子の間では有名だったんだよ…マコトくんも、その、広い世界の人だったんだね」

「ぐふぅ…うん、でも俺は両方だよ?今でもエリちゃんが1番だからね?」

「うん、私はそう言う偏見はないからね!だけど3Pはちょっと…好きの方向性の違いね」

そう行ってちょっと引いた顔をするエリは俺の下から去った。「別れたけど友達だよ」って言ってくれたのが唯一の救い――


あっ…今でも思い出すと涙がっ…くぅぅ


「マコトさん泣いてるんですか?…オレが側にいますよ」

「あ、うん。怖い夢見て…」現在進行系で硬い胸板にうなされてるよ!

「大丈夫です、今度こそオレが守ります」


チュッと目尻の涙にキスするイケメン…なんて幸せそうな顔で笑ってんだよクソが!

俺、全然悪くないのに胸がズキっと痛んで罪悪感出てくるじゃないか


俺が女ならキュンとかして恋に落ちるんだろうけどな。ハァ…立たねぇよ!

本当に軽い気持ちで何も考えず、二日酔いの回らない頭で…違うな、エリの事思い出してたせいだと思う。癖になってるから?


おはようの挨拶程度にチュッとした

次の瞬間、雷に打たれたみたいに全身を電気が駆け巡った


そして思い出した…

前世で俺が確かに女だったこと

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