第15話 ギャルとメイド(3)
───アヤカはメイドゴーレムたちの猛攻を防御しながら、ミユのことを思い出していた。
(そういえば、あいつも私に似たんだか知らないけどよく油断してピンチになってたな)
アヤカはミユがルーキーの頃、ちょうど今のキナコと同じようにバディを組んでいたのだ。
(でもあいつはどれだけピンチになっても機転とセンスで乗り越えてた。それでいつも計画通りみたいな顔をして、二人きりになったときに言うんだ。『パイセン、今回はマジでヤバかったっすよ』ってな)
思わず笑みが零れる。
(私はあいつみたいな天才じゃない。忍者と戦って情報を一切漏らさず勝てる忍者なんてミユくらいしか知らない)
(でも私にも余裕な顔で、計画通りだったみたいに振る舞うことはできる。とっとと勝って、ルーキーに差を見せつけてやるとしますか)
アヤカは思考を現実に戻した。
攻撃を最小限のダメージに抑えながら術の性質を分析する。
(このゴーレム、ただ土から生成しただけじゃない。鎌鼬でバラバラにしてやっても再生する辺り何か別のもんを混ぜてやがるな?それでいて術者本体は動いてない。おそらくは傀儡使いの類いなんだろな)
(じゃあ、これだ)
「ダイダラボッチ」
───アヤカがそう唱えた瞬間、その体躯が何十倍にも膨れ上がった。
先程までアヤカを圧倒していたメイドたちが子人に見えるほどの巨人にアヤカはなっていた。
「どっせ~~い」
アヤカのなぎ払いは周囲の木々や建物を巻き込みながらメイドたちを粉砕していく。
咲は災害とも言える一撃に為す術もなく巻き込まれ、地面を転がることしかできなかった。
「土から精巧な人形を作り出す忍術。スゴいな。傀儡をそれぞれ多種多様な動きで操る。凄まじい術だ。───で?それが?それが何だっていうんだ?」
地面に伏した咲に無慈悲な巨人の拳が何発も何発も降り注ぐ。
「教えてやるよルーキー。忍者同士の戦いはな、どれだけ技巧がスゴかろうが、どれだけ想いが強かろうが、どれだけ天才だろうが、関係ねぇ。───強い方が、勝つんだよ」
アヤカは、ぼろ雑巾のようになった咲にトドメの一撃を振り下ろした。
ギャル流忍者 異界ラマ教 @rawakyou
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