第9話 ギャルとオタク(2)

「龍流忍術!」


「虎流忍術」



「土石龍!!」


「鎌鼬」



───地面から湧き出た土の津波に無数の風の刃がぶつかり相殺される。


これが開戦の合図であった。


「ふぅむ、教科書通りですなぁ。とても勤勉で良いですぞ~」


キナコはそれに舌打ちで返した。

様子見の一撃を読んでいたかのようにオダに術を合わせられたのだ。

しかしそれで己のリズムを崩すようなことはしない。

セオリーは対策されやすいがそれでも効果的な戦術であるからセオリーなのだ。


「龍流忍術!土石龍!」


オダはもう一度風の刃を展開しようとしたが、それより早くキナコは術を発動していた。


「続いて龍流忍術!!龍炎尾!!」


キナコは己の片手に炎を鞭のように纏わせるとそれを発動していた土の津波にぶつける。

破壊された術は炎の性質を纏ってオダに無数に降り注いだ。



「これぞ逆龍流忍術!龍星群!!」



オダは迫り来る炎の流星を見ながら焦る様子もなく印を結んでいた。

そしてそれが己に激突する瞬間、



「虎流忍術、水蓮華」



それを阻む巨大な水の華が流星を包み込んだ。


しかし、それはキナコの読み通りだった。



「もういっちょおぉぉぉ!!」



見れば、龍炎尾を水の華に向けて振るうキナコの姿があった。


術と術が、激突する。


炎の性質の術と水の性質の術が相殺されれば必然的に水蒸気が巻き上がる。

オダは水蒸気と、防御しきれなかった龍星群に襲われることとなる。

その隙をキナコは見逃さなかった。


先程までのセオリー通りのは距離を詰めるためにやっていたに過ぎない。

そう、キナコの土俵であるインファイトの間合いに入るために。



「───いやぁ、一本取られましたなぁ。お見事」



接近しようとした瞬間、何故か眼前にはオダの姿があった。


「────!?」


キナコは咄嗟に拳を振るう。


「オタク流歩法、デュフ」


しかしその一撃はオダの滑るような動きによって空を切った。


「し、失礼、拙者も接近戦タイプゆえ。───間合いですぞ」


オダの強烈な膝蹴りがキナコの腹部に直撃した。

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