第2話 地獄絵図

「で、そのヤクザ(?)に何かされたの?されたなら警察に相談した方がいいんじゃない?俺に相談とかする前に先警察だろ!ヤクザだぞヤクザ!」


 こいつやっぱりアホなのかもしれない。なんでこんなにビビってくるくせに大してこのことに危機感持ってないんだよ……アホだからか……


「怒鳴られた。」


 やっぱり相手はヤクザ!初手は恫喝か……


「怒鳴られたのか、それで?そのあとは?」


「……それだけ。」


 とりあえず怪我とかはなさそうだな。まぁ脅されてここで話せないだけって可能性も捨てきれないが……


「それだけ?」


「……」


 やっぱりヤクザに脅されて…… いやでもそれならこいつが今日普通に学校来てる理由は?分からない……何が目的なんだ……


「ちなみに何て言われたの?」


「こんなに大きくなるまで育ててくれたお前の母ちゃんを悲しませてんじゃねぇ!って……」


 まっとうだ……すごいまともなこと言ってる。ほんとにそのおっさんがヤクザなのか怪しくないか?いや、でもカタギには手を出さない的なアレとか義理と人情的なアレかもしれないし……状況がイレギュラー過ぎてよく分からん。


「お前はそれになんて返事したんだ?」


「何も言い返せなくて……それで……その……」


「ん?どうした?声が小さくて聞こえn……「漏らした……漏らしちゃったの!おっさん怖すぎて!高校生にもなって俺はビビって漏らしたんだよ!もうヤダ……こんな生き恥晒すくらいなら……もう俺死にたい……」」


「おい!哲平!なに死にたいとか言ってんだよ!幼なじみに……矢島に告白したんだろ!マネージャーのあいつと甲子園に行くって!そしたら付き合ってくれって!なにちょっと恥ずかしいことあったくらいで死にたいとかほざいてんだよ!ふざけんなよ!俺は!お前らをからかいたい気持ちを押し殺してお前のこと応援してんだよ!それなのに!だから……甘ったれたこと言うなよ!」


「でも……」


「でも……じゃないんだよ!」


「甲子園行くのを条件に告白したけど俺ベンチだし……」


「……」


「まだ試合に出たことないし……」


「……」


「矢島は敏腕マネージャーで……」


「……」


「このままだと俺が連れてってもらう側になるんじゃないかって……俺……どうすればいいのかなぁ!」


「これの判定どうなんだろうな。ギリセーフなんじゃね?一緒に甲子園行くってだけで連れていくとは言ってないし……」


「俺、情けなさすぎるよ!生き恥晒すくらいならもういっそ……」


「クッ……切腹の介錯は友達として俺がy「止めろよ!」」

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