ヤーさんに叱られた

結城 優希

第1話 ヤーさんに説教されました(前編)

「今まで成績も素行も悪いガキだった俺、黒崎 哲平くろさき てっぺいは!今日から模範生になる!」


 野球部に所属してる言動も行動も成績もアホでバカな友人が登校中に会うなりこんなことを言いだした。ここまで散々貶しておいてなんだがそう悪い奴ではない。根はいいやつなんだ。

 ただ、高二にもなって小学生みたいに考えなしのバカなだけだ。いや、小学生に失礼か。今どきの小学生の方が賢い。地頭は悪くないと思うんだが……一応ウチの高校は市内でも上の下くらいだしな。でもこいつの普段の様子見てるとなんで入れたのか不思議でしょうがない。


 そんなこいつが急に変なことを言いだした訳だが、頭の病院を勧める前に一応事情だけ聞いておくか。


「急にどうしたんだ?模範生だなんて……不良とまではいかないがお前は変なやつ枠だったろ。」


 何かとても恐ろしいことを思い出したようで哲平の顔がすごく青白い。誰かに死ぬほど叱られたか?哲平の両親じゃこうはならないだらうし……


「ヤクザみたいなおっさんに怒られたんだよ……」


 や・くざ?やく・ざ?えーっと!えーっと!よ、よし!1回俺の耳が正常か確認しよう!それがいいよな!

 

「……YAKUZA?チョットナニイッテルノカワカラナイデス。」


「スキンヘッドで刺青入ってて黒サングラス付けてるムキムキでイカついおっさんに昨日会ったんだよ」


 これはヤクザだわ間違いない。普通に鍛えてるだけの気のいいおっちゃんかもしれないけど第一印象ヤクザの判断は間違ってない。ていうか何だよそのステレオタイプのヤクザは!


「ちょっと待って!意味がわからない!いや、嘘。待たなくていい。続けて。」


「昨日はテスト返却日だっただろ?」


「あぁそういえばそうだったな。」


「それで俺はテストの点数聞いてくるウチのお袋を無視して荷物だけ置いていつも通り家から出ようとした訳よ。珍しく玄関先まで追いかけてきて俺の手を掴んできたから雑に振り払って家から出たら……家の前にヤクザがたまたまいたんだよ。」


「そっか〜たまたま家の前にヤクザがねぇ〜そりゃびっくりするよね。って!何で家の前にヤクザなんていたんだよ!」


「知るかよそんなこと!知りたくもねぇよ!だって理由があってその場にいるとしたら近くにヤクザ住んでるかヤクザに何かしてもらったやつが近所にいるかの2パターンだろ?嫌だよ両方!たまたまであれよ!理由なんかいらねぇよ!」


 何その地獄みたいな二択……怖っ

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