1-2 ゴブリンに襲われそうな彼は今

華麗なトラック回避も虚しく、知性と意識を保った運転手Aに異世界へ飛ばされてしまった。おれは異世界など来たくなかったっ!あの運転手め、どうしてくれたものか。必ず元の世界へ戻りス〇ブラでこてんぱんにしてやる…!


目を開けるとそこは異世界でした。あー感動(棒)。さよなら日本。さよなら世界…さよなら我がぐうたら生活…。


でも異世界ってやつは何も心配いらなかった。スタート地点は森。あまりに平凡だ。もっとった設定にはならんのか!? と言いつつもとりあえず歩く。こういうのは歩いてたら棒に当たるものなのだ。何かしらイベントが始まって成り行きに任せとけば大丈夫でしょ。


ガサゴソ


ほら噂をすればなんとやら。何かの予感―――


ゴブリンが飛び出してきた。いや、突っ込んできた? 手に持つ斧からは血がしたたり落ちている。こいつは危ない、関わらないでおこう。


冗談みたいな思考をすると同時に、首をひねって突きを回避。バドミントン部なめんな。シャトルの方が速いわ!


スピードそのままにゴブリンは木に突っ込む。斧を突き出してたもんだからさあ大変。木に刺さった斧は見事抜けなくなり、ゴブリンは青ざめ、おれは目を輝かせる。


「おいしそうなゴブリンだね〜。かわいくて食べちゃいたいくらい♡」


ゴブリンの足を鷲掴みわしづかみにし、逆さに持ち上げる。必死に抵抗するが甘い。体格差は2倍ほどある。おれはゴブリンごときに負けねえよ?


刺さっていた斧を無言で抜き取る。自業自得だ、正当防衛だ、遅いかかってきたお前が悪い。ゴブリンの喉をっ切った。


ゴブリンは脱力し、その目からは光が消えた。


「死亡確認。所持品検査に移ります」


どこぞの殺し屋と税関職員みたいなセリフを発し、目を閉じる。不思議と罪悪感を覚えない。まあゴブリンだからね(?)。


ピコンッ


ふと、頭の中で声がした。


職業クラス狩人ハンター】を獲得』

『スキル«ステータス»を獲得』

『スキル«狩人の袋»を獲得』

『スキル«弓の教え»を獲得』

『スキル«短剣の教え»を獲得』

『スキル«隠密の教え»を獲得』

『スキル«視覚補正»を獲得』

『スキル«聴覚補正»を獲得』

『スキル«嗅覚補正»を獲得』

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