勇者

百目鬼ヨルカ

プロローグ

陽気な昼下がり。学校が終わったのでルンルンと横断歩道を渡っていると、遠くの方から大量のクラクションが聞こえてきた。今どきはクラクションで合奏するの?


なんてことはない、騒動の元凶はただの暴走トラックでした。よくいるよね、暴走トラック。


たかが手頃な人間を異世界に飛ばすマシーン。まだ死にたくないので走って向こう岸の歩道へ避難。難なく異世界転生回避、こう見えて今年に入って三度目です。慣れたものよ。ほら、トラックは通り過ぎて―――


キキーッ


「なに、方向転換!?」


ばかな、やつはしょせん暴走トラック…カーブなんて高等テクニックは習得できないはずだ。


最後に見えたのは、獲物の命を無事刈り取った、運転手の狂気じみた笑顔だった。え、運転手意識あるじゃn

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