最終話:俺の羅利子拝。(らりこっぱい)

「そうか・・・いろいろ便利だな、おまえ・・・じゃ〜行くか北海道」


そう言って俺はショルダーの中に羅利子入れようと彼女をつかんだ。


「優しくね・・・妊娠してるんだから・・・」

「3ヶ月なんだから大事に扱ってよ・・・ドメスティックはダメだよ」


「まだそんなこと言ってんのかよ、ハグやチューだけで妊娠するかよ」


「壮太、私が寝てる間にエッチしたでしょ?」


「しねえよ」


「だって目が覚めたら、そこにめちゃ違和感あったもん・・・棒が入ってる

みたいな・・・」


「俺はおまえにしていいか聞きもしないでそんな性犯罪者みたいなことするかよ」


「だって妊娠してるんだもん・・・」


「そうですか?、このぶんだと北海道に着く頃には出産だな、ポンコツわらし〜」


でもって俺と羅利子は北海道行きの飛行機に乗った。

無事表彰式に参加して、羅利子といくら丼なんか食って、観光もして北海道満喫してルンルンで帰って来た。


羅利子が俺んちに来て立て続けにいいことが重なってちょっと疲れたから

当分平和でいいわ。


ってことで俺が電話ボックスに興味なんか持ったせいで奇妙な女の子、

羅利子拝らりこっぱいって言う座敷わらしを家に連れて帰ることになった。

そのおかげで俺んちは裕福になった。


俺に取り憑いた羅利子は一生俺から離れることはないからいくら散財

しても身上潰すこともなかった・・・。

羅利子を大切に敬ってさえいれば貧乏になることもない。


だからそののち俺は日本でも有数の大富豪になった。


だけど未だに独身・・・なんでかって言うと人間の女子を彼女に持とうとすると

奇妙なことにその彼女たちは、みんな病気で亡くなるんだ。


ある日、羅利子が俺のそばに来て耳元でめちゃエロい声で囁いた。


「金持ちにはしてあげるけど彼女を作ろうとか嫁をもらおうなんて考えないこと」

「そんなことしたら相手の女はみんな死ぬからね・・・私がいる限りね」


「え〜それってヤキモチじゃないかよ?」


「壮太が浮気したら私にはすぐ分かるの、取り憑いてるから・・・」


でもまあ、俺がじじいになるまでには羅利子との暮らしにも悲喜こもごも、

波乱万丈、紆余曲折がまだまだ待ち構えているんだけどね・・・。

どうせならそれなりに人生楽しまなくちゃ。


俺がこの世を去っても羅利子はまだどこかの家の隅で生きていくんだろう。

できればどこにいても何してても「幸せ」であってほしいって願ってるし祈って

るよ。


羅利子・・・俺に豊かな人生をありがとう・・・心から愛してる。


《座敷わらしの宿りたもう家は富貴自在なりと言うことなり・・・ただし彼女の

嫉妬は海よりも深いものと覚悟すべし・・・》


おっしまい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不思議物語。〜あやかしの森の羅利子拝〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ