第4話 襲われる

みんな部屋を出て行き、ベッドで眠って過ごす。


この病室は1人用で、他に誰もいない。


部屋には時計があり、時計の針は0時を指していた。


『時計を見て、時刻を見る』ということは、今の自分でもできるらしい。


物の見方、使い方といった記憶はあるらしい。


怪我と記憶の混乱のせいで、常に睡魔が襲ってくる。


再び眠りに落ちる。


………………。


体に感じる違和感………誰かに体を触られている!?


ハッとして目を開けると、知らない男が覆い被さっていた。


「だ、誰?や、やめて!」


大声を出そうとするが、震えるような声しか出なかった。


「はぁ…はぁ……メイ………。」


男は私の首筋に口づけをしながら、胸を触ってくる。


「や…やめて!」


さっきより、少し大きな声が出た。


男を押しのけようとするが、体に力が入らない…。


「メイ……好きだよ。俺にさせてくれよ……いいだろ?」


男の声を聞き、体に嫌悪感が走る。


体が男を拒絶しているのが分かる。


「い…いやっ!!」


ドンッ!


私の叫び声に、部屋の扉が勢いよく開く。


そこには、アミーリア様の護衛騎士と数人の騎士がいた。


「何をしている!離れろ!」


護衛騎士は男を引き剥がすと、殴り飛ばした。


「くっ、くそっ!」


殴り飛ばされた男が何かをする前に、護衛騎士と一緒に入ってきた騎士が男を拘束する。


「アラン、そいつを連れて行け。」


「はい、マイルズ様。」


アランと呼ばれた黒髪の20歳くらいの騎士は、男を連れて出て行った。


部屋にはアミーリア様の護衛騎士のマイルズと、20歳くらいの騎士が2人と、30半ばの騎士。


「大丈夫か?メイ嬢…。」


マイルズに質問されるが、答えられない。


私は両手で顔を覆ってしまった。


私は泣きたいのか、怒りたいのか、悲しみたいのか、感情がぐちゃぐちゃで、言葉にならなかった。


「今夜は、この3人にメイ嬢を護衛させる。後でアランにも護衛させる。メイ嬢と親交のあった者の方が安心するだろう。」


「…………。」


「エヴァン、ニコラス、ディル、頼んだぞ。」


『はい!』


そうして、マイルズは部屋から出て行った。


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