第10話 独立宣言

その頃、ついに真那井一等陸佐が率いるクーデター犯から声明が発表された。北海道を日本から離脱し独立国家王国を宣言した。


 「日本国政府の諸君、私は元真那井一等陸佐である。今の日本政府の生ぬるい政治に危機感を覚えた。このままではいずれ北海道はロシアに奪われてしまう。それには我慢ならぬ。どうせ奪われるなら我々が北海道を独立国家として我々が守る。しかし日本国本土に攻撃するようなことはしない。その代わり我々の独立に賛成する事を望む」

 

 勝手な言い分で声明が出された。

もう一刻の猶予もない。麻由美の提案を政府は受け入れ、情報網のプロの真田二等陸尉は正式にある男に依頼した。その男とは東野幸二という。日本だけではなく海外まで飛び回る男だ。フリーのカメラマン牧野麻衣が幸二の恋人であった。その麻衣がヤクザの闇取引現場を撮影した事で殺されてしまった。復讐に燃えた幸二は日本でも有数のヤクザ四十数人を二度に渡り一人で抹殺し親分もろとも組ごと壊滅させたが警察はこれほどの事件はヤクザ同士の抗争と決めつけ、未だに真相は掴めていなかった。ただ一人それを知って居るのは麻衣の姉、牧野真希だけだが確証はなかった。本来は生涯口外しないと決めていたが、日本有事という大事件ならそう言っていられない。自衛隊に席を置くものとして国を守る義務がある。きっと彼も分ってくれるだろう。その東野幸二ならきっと解決してくれると、密かに職場は違うが同じ自衛隊所属の友人である真田麻由美二等陸尉に相談したのだった。


勿論、真希はフランスに居るらしいという事しか知らない。そうなれば真由美の出番だ。陸上自衛隊に所属しながら情報収集に関しては右に出る者は居ない。あっという間に東野幸二の所在を探しあてた。やはりフランスの特殊部隊に居た。早速フランス政府と交渉し日本の有事はもはや世界中に知れ渡っていた。その為に一時的に東野幸二を貸して欲しいと相談を持ち掛けた。友好国であるフランスは早速幸二に連絡をとった。返事があったのは三日後のことだった。フランスからの国際電話が麻衣のスマートフォンに掛かってきた。

 

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