第3話 首謀者は誰だ
総合幕僚監部の中にある防衛戦略室は、慌ただしい雰囲気に包まれていた。
麻由美はそこの情報収集等の任務についている。早速、自衛隊の北海道施設に連絡を取ったが第二航空団、第三高射群、特別航空輸送隊、陸上北部方面隊からは一切の返事が返ってこなかった。
「これは紛れもないクーデターだわ……」
奇しくも一九三六年〔昭和十一年〕四日間のクーデター事件と同じ月日の二月二十六日、 室内には大型テレビが備えられ、食い入るように幹部達が見ていた。村松空将補は村雨防衛庁長官と、しきりに連絡を取っている。
「新しい情報が入りました。北海道は陸海空ともに完全に封鎖されたもようです。いまだ政府の呼びかけに一切の応答がありません。北海道の放送施設も、武装した自衛隊員らに抑えられ詳しい状況は入ってきません。これは完全なるクーデターではないでしょうか」
「ではこの映像はなんだ」
「おそらく放送局に圧力をかけ許可された映像だけ流しているのでしょう」
「道内のテレビ局は限られた映像を元に放送しているだけだろう」
「ではテレビから新たな情報は得られないってことか」
テレビではアナンサーが興奮した様子で、繰り返し伝えていた。新しい情報はなくその繰り返しだ。
麻由美はホストコンピューターを使って北海道の自衛隊幹部のリストを画面に出して、首謀者を調べ始めた。勿論シークレット情報だ。
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