愛を数える女

@sige02

気持ちが悪い

僕には好きな人がいる。

同じクラスの白石沙羅さんだ。


白石さんは、学校で一番と言われる程に美麗な容姿を持つ。

髪の毛は栗色で背中まで届くロングのストレートで、スタイルも抜群である。

更に男女隔てなく気配りが出来き、学園のアイドル的存在だ。


「おい、また白石さん見てるのかよ?」

少し見すぎてたようだ。

隣の席の飯田にニヤニヤとした顔で言われた。


「見るだけなら自由だろ?」


「そうだけどよ、あんま見すぎると嫌われちまうぜ」


確かに飯田の言う通りかもしれない・・・少し自重しよう。


白石さんは次の数学の宿題を忘れていたのか、休憩時間に解いていた。


成績は常に上位にいるのだが、よく休憩時間中に宿題をしているのを見る。


「白石さんと言えばよ、3年のサッカー部のイケメン部長の告白断ったらしいぜ」

飯田はどこで情報を手に入れてくるのか、告白の翌日には情報を入手してくる。


「入学して1年半経つけど、誰とも付き合ってないし付き合う気ないんじゃない?」


「そうだなぁ。あれだけ美人でスタイルも良ければ選び放題なのによー」

そういえば、放課後に誰かと出かけるところ見たことないな。

何か放課後に用事でもあるのだろうか。


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


数学の授業も終わり体育の授業になった。


「いやぁ、白石さんの体操着姿見れるから俺体育好きだわぁ」


というか男子全員動く胸を見れるから好きだと思う。


「まぁ分からないでもないかな」


「そういえば明日の休日に東京に行くんだって?」


「うん。明日は秋葉原でイベントがあるからね」


この日のためにバイトを頑張っていたのだ。


「じゃあ、何かお土産よろしく~」


「お金に余裕があればね」


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


準備運動も終わり、体育でやるバスケが始まった。


「バスケはいいよなぁ。男子女子で半面ずつ使うからよ。試合の時は俺たちが休憩できるしなぁ」


「僕もお前もあまり運動得意じゃないからね・・・」


突然僕たち同様休んでいる男達がザワつき始めた。


「どうやら白石さんが出てきたみたいだな。ポニーテール姿もいいなぁ」


白石さんのうなじが見える体育の日しか見れない髪型だ。


「そういえば、体育教師の岡島って白石さんに対してボディタッチ多いよね」


「それなぁー。少し近すぎだけど白石さんも嫌がってる風ではないしな」


体育教師の岡島が嫌われる要因の一つが男子に厳しく女子に甘いってのがある。


更に白石さんへのボディタッチが多いのも男達から嫌われるのに拍車をかけている。


「噂だとよ岡島と白石さんが同じ車に乗ってるのを見たことがあるやつがいるらしいぜ」


「え、そうなの・・・。付き合ってるのかな?」


僕は少し傷ついた。付き合ってもいないが好意を寄せてるのだから当然だと思いたい。


「それはねぇだろう。相手はハゲのおやじだぜ?」


「それも、そうだね」


白石さんが中学時代に空手をやってたから運動が得意なようで、得点を重ねていた。


動く度に揺れる胸に僕たち男は釘付けだった。


暫くして試合が終わり白石さん達のチームの勝利した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


学校も終わり放課後になったので、静岡駅から新宿へ向かった。


今日のホテルに泊まる前に、どこかで夜ご飯を食べたいところだ。


僕がスマホでお店を調べていると、ふと周りの視線が同じ方向に向いた気がして


僕も遅れて視線を向けた。


そこには、私服姿の白石さんがいた。


服装は露出度が高めであり、胸元が見えていた。


特に谷間が少しだけ見え、肩からはバッグを下げていることもあり、胸の膨らみがなおさら協調されていたのだ。


スマホを見て立ったままなので誰かを見ているのだろうか?


少しすると中年の痩せ型のスーツ姿の男が近寄る。


「沙羅ちゃん、お待たせ。遅れてごめんね。目だちゃってるから場所移そうか」


「確かに、そうですね」


二人は手をつなぎ待たせていたタクシーの中へと入っていった。


周囲の人間も察したのだろう。


「あれってパパ活だよねー、あんな可愛い子がねー」


僕も確信はないが恐らくそうだと思ってしまった。


僕は吐きそうな気分になり、その晩は何も食べずホテルで寝れない夜を送るのだった。


当然、イベントは行く気にもなれず静岡の家に帰宅するのだった。


親にも心配されたが気分が悪くなったと言い月曜日までベッドの中で過ごすのだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「おはよう!お、お前凄い顔になってるぞ?寝不足か?」


飯田が心配そうに声をかけてくる。


「うん。東京に行ったんだけど途中で気分悪くなって帰ってきたんだ。お土産はごめん・・・買う余裕なかった」


「そんなもん、気にするなよ。どうする?先生呼んで今日は帰るか?」


「いいや、大丈夫だよ。ありがとう」


机に顔を伏せているとクラスがザワつく。


「おはよう!いやぁ、今日も遅刻ギリギリだったよー」


「沙羅は月曜日は特に遅刻ギリギリだよねー。朝は弱い方なの?」


「んー、かなり早く起きたんだけどね。色々あって出るのが遅くなったよ」


「二度寝したでしょー」


クラスが白石さんの明るい笑顔により明るい雰囲気となる。


僕だけが白石さんの言ってる意味が異なるように聞こえて、更に顔を悪くする。


担任が教室に入ってきて、出欠を取り出した。


そんな中、白石さんが僕をジッと見てるような気がしたけど・・・気のせいだろうか。

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