第31話 この選択は・・・

ぼくとリズちゃんは2人とも両親を亡くした。


正確には僕の父は行方不明ということになっていますが。


2人で生きていくのかどうか、


もし2人で生きていくならどうやって


子供だけで生きていけるのか?


これからのことをリズちゃんと話し合うためには、


いろいろと前提を確認しておかないと状況が変わってきてしまう。


そのためにはまずテルと話の続きをしないといけない。


その後駄天使の話とかいろいろと話せないことは隠しながら、


どうやってリズちゃんへ伝えるかだが・・・



「マーティー、リズちゃんと3人で旅をするの楽しそうにゃ~」


おいおいおいおい、この猫さん何言ってるのかな~?


それ今このタイミングで言っちゃう?


「楽しそうだね、マーちゃん」


リズちゃんの笑顔が眩しい~~~~


美少女の100点満点の素敵な笑顔・・・


「にゃぁ~~~」


おい駄天使の使い魔さんよ、ぜんぜん使えないじゃんよ


にゃぁ~~~じゃね~よ


〈リズちゃんに話したらどうにゃ?


協力者になってくれると思うにゃ~〉


〈え?駄天使のこと話しても大丈夫なの?〉


〈ん~~別に話しちゃダメとは言われてないにゃ、


マーティーが大丈夫だと思えばいいと思うにゃ〉


〈前の世界のことも?〉


〈それは別に言わなくてもいいと思うにゃ、


契約することによって力やスキルが得られて


天使様のお仕事を手伝うみたいに言えばいいにゃ〉


〈お仕事を手伝うね・・・〉


なんだそれ・・・嘘は言ってない、


言ってないけど全部は話してないみたいな?


〈リズちゃんはいい子だと思うにゃ~


マーティーも1人で生きてちゃダメって


ママさんに言われてたにゃ〉


〈それ今言いますかね・・・〉


〈にゃぁにゃぁにゃぁ~~~〉


前の世界のことは話さない方向で話すしかないか・・・


「リズちゃん、昨日リズちゃんが寝ている間に


テルと話したことがあるんだけど少し聞いてくれる?」


「話?私が聞いていいの?」


たしかに勝手に話してこちらの都合に巻き込んではいけない話だ。


焦ってしまってそのあたりのことを忘れていた。


リズちゃんにとっては駄天使の話を聞いたら一生が変わってしまう。



「ごめんね、最初に聞いておかないといけないことがあるんだけどね。


今からする話を聞いたらリズちゃんの一生がすごく変わっちゃう。


それもかなりたいへんな方へ変わっていくと思う。


さっき言っていた孤児院に行けば大変だろうけど


安全に暮らせると思う。


それでも聞く?


聞いたあとでやっぱりやめたってのはちょっと無理なんだ。


ゆっくり考えて答えてくれていいからね」


もう少し考える時間がほしいようなら


昨日の話の続きをテルと頭の中ですればいい。


「その話を聞いたらマーちゃんと一緒にいられる?


いられなくなる?」


ん・・・まさかの質問がきました、


リズちゃんにとってはそこが大切なポイントなのか?


「その話を聞いてしまったら、


ずっと一緒にいないといけなくなると思う」


「じゃぁ聞く」


即答?ほんとに9歳児ですか?


まさかリズちゃんも転生者で中身は大人とかじゃないよね?


もし中身は大人なら僕の見た目はどう見ても10歳男児・・・


通報案件になりかねない


趣味趣向はいろいろということで今は置いておこう、


無知はダメだが知りすぎて深淵を覗いてもいいことはない。



「・・・わかった、ありがとね、じゃぁ話すけど覚悟してね」


そして昨日森の中から洞くつに来るまでにテルと話した内容を話した、


前の世界から来た話以外の部分を除いて。


簡単に話すとテルは天使様に言われて


あることができる人族を探していた。


それは世界のバランスを保つため


勇者がやろうとしていることを阻止できる人族。


そしてそれが僕で協力してほしいって


提案されたという新しい設定を作った。


それに協力するためには力が必要だから、


契約してそれを与えるって感じだ。


そして勇者がどれくらい強いかわからなからかなり


強い力を与えなければならない。


そのために代償が必要なことも話した。


「そのテル君との契約は私もできないの?」


え~とリズさん突然何を言っているのかな?


たしかにリズちゃんが契約できたらかなり助かるんだけど


代償がいるんだよな・・・


「ん~~~天使様に聞いてみないとわからないにゃ、


代償のことや条件がいろいろとあると思うにゃ」


「そうなんだ、天使様とはすぐに話せたりするの?」


「今は無理かにゃ~向こうから連絡がこないと


難しいから連絡きたら聞いてみるにゃ」



なんだろうこのリズちゃんの妙なやる気は、


遺書を読んでから何かが変わったような気がするな。


「ねえテル、そういえば契約っていつするの?」


「契約?いまからするかにゃ?」


「え?すぐにできるの?」


「できるにゃよ」


「そうえいば話の途中で忘れてたけど代償のこと、


いったい何を駄天使は持って行ったの?」



〈それはマーティーの前の世界のことと


関わってくるからあとで話すにゃ、


この世界のことではないから大丈夫にゃ〉


〈そうなんだ、リズちゃんには聞かせられない話になりそうだから


また後で聞かせてね〉


〈わかったにゃ〉



「代償の内容はマーティー本人にしか


話せないからここでは話せないにゃ」


「そうなんだ・・・


代償は怖いけど今は生きていくための力が


必要だから契約するよ」


「わかったにゃ~ちょっと待ってにゃ~」



そう言うとテルのトラ型だった体が徐々に変化していった


え?なに?どういうこと?


「テル!大丈夫?」


「大丈夫にゃ~すぐに終わるにゃ~」


テルの体は静かに形を失い、


最終的には古びた一冊の本の姿へと姿を変えた。


ものすごくドロドロとした禍々しい感じがするのは気のせいだろうか?


「え~とテルさんや、全然大丈夫な感じがしないんだけど」


「大丈夫にゃ~」


と本になったテルが言うと


宙に浮いていた禍々しい本のページがパラパラと開かれた


そして目的のページになったのか


本がこちらに近づいてきた


「このページに書かれている魔法陣に


魔力と血をながしてほしいにゃ」


本がしゃべるんかいとツッコミをいれたいがテルが変形?


したんだろうからしゃべれなくはないんだろう。


今は本?になってるんだから語尾の


【にゃ】はいらないような気がしている


「魔力と血?」


「魔力と血をこの魔法陣に流すことによって契約が成立するにゃ」


「どれくらい必要なの?」


「血は数滴でいいにゃよ、


魔力もマーティーの魔力の質を覚えさせるものだから


少しでいいにゃよ」


個人認証みたいなものなのかな?


「わかった、あ、テルいまの状態でナイフ出せる?」


母の遺品の中にあった小型のナイフが


テルのというか今は本の収納から出てきた。


そのナイフを使って指を切る、


映画やアニメで見たことがあるけど


実際にやると普通に痛いよね当たり前だけど・・・


そして血を魔法陣に数滴垂らす。


ほんの数滴垂らしただけなのに


黒のインクで書かれている魔法陣が赤く染まっていった。


本の禍々しさがさらに増してきた、


これが悪魔の書って言われたら普通に信じるよ・・・


そして魔法陣のすべてが赤く染まったところに


手を当てたその時頭の中に声が聞こえた


そうこの声は【暗闇の声の主だ】



【 我が声に応え


契約を結ぶ


魂の誓いを交わし力を与える


天に仕えしその力



我が中に宿り 


我が命を


我が心を


汝の力に捧げる


使い魔としての新たな存在へと変異を遂げ 


我が肉を超え 


天と地を超え


魂を超える力を授けよ


汝の影が我を包み 


黒闇こくあんの力を受け入れしよ 


汝にその力を分け与え解き放つ 


全ての桎梏しっこくを断ち切り


今 この時より


汝が力は無限に広がり


魂の掣肘せいちゅうを超える者となる


契約の証として


我が紅血こうけつを捧げん


その名をもって存在を変える魔法となれ】



〈汝、この魂の契約を交わすか?〉


それにめっちゃ怪しい内容だったよね?


魂の契約?


ここにきて聞いてないこと言われても


困るんですけど・・・


しかしこの状況で拒否権はないよな・・・


〈結ぶ〉


〈テル、この魂の契約を交わすか?〉


〈結ぶにゃ〉


〈ここに契約が交わされた


魂を新たにし存在を変えし力を授ける〉







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