第28話 村の様子は・・・

【一部に不快感を与える可能性のある表現が含まれておりますので、


苦手な方は閲覧をお控えください。】



テルとの契約をする際にお互いに認めれば魔法によって契約できる


まではわかる・・・


だけど何かしらの供物?というか代償がいるらしい。


しかもそれを僕が知らない間に渡していたらしい。。。


〈それは天使様に先にもらってるから大丈夫にゃ~〉


何かものすごく聞きたくないワードを聞いた・・・


悪い予感しかしないんですけど。



とても重要な話をしながら移動していた2人と1匹は村の北側エリアへ着いていた。


極度の緊張で時間の感覚がなくなっていたが、


ゆっくりと空が明るみを帯び始めているに感じる。


そういえば寝てなかったな・・・


今、一度眠りに落ちたら疲れがたまって起きられず、


そのまま長い時間寝てしまいそうだ。


なんとかがんばって起きていないといけない。



ん・・・これは・・酷いな。。。


森を抜け東の丘から見えた村の様子もあまりにも酷かったが、


北側エリアは何もかも破壊されて瓦礫の山ができあがっていた。


建物という建物はすべて潰されている。


ここに村があったことを知らない人が来たらどう思うんだろうか?


建物はないが瓦礫はある。


何かわからない大きな穴がいろいろな場所にある。


これを実現するにはどうすればいいのか、途方に暮れるだろう。


そしてこんなことができるのは魔物だと思い、


その魔物が近くにいるかもしれないとこの場所から早く立ち去るだろう。



まだ火が消えてない場所もあり、


焼け跡から立ち上る煙と臭いが鼻を刺し、


息をするごとに耐えられない悪臭で吐き気が込み上げてきた。


たぶんこの辺りから西側の辺りが


父たちが戦闘したであろう場所だろう。


魔物が作ったであろうクレーターのような跡も各所にあった。


悪臭で吐きそうになりこれ以上は進めないかもと思ったら


突然臭いがしなくなった。


〈あれ?臭いがなくなったよね?〉


どうやらテルが風魔法を使い周りの臭いを飛ばしてくれたようだ。


〈風魔法で臭い飛ばしたにゃ~〉


〈ありがとう、やっと普通に息ができるよ〉


〈気が付かなくてごめんにゃ~〉


テルは駄天使と違って気遣いができるようだ。


〈テル、この辺りに怪我してる人とか生存している人ってわかる?〉


テルが周りの様子を見ている・・・


〈ん~~いないにゃ・・・〉


やはりこの辺りにはいないのだろうか?


ここで戦闘していなかったらどこだろう?


もっと西の方で火災があったからあの辺りで戦闘していたのかもしれない。


でも瓦礫の下とかにいたりしないよね?


〈この瓦礫の山でも人がいたらわかるもの?〉


〈ん~少しでも意識があれば魔力を感知できるんだけどにゃ~


さすがに死んでると難しいにゃ〉


なんとかリズちゃんのためにもジェフさんやエラさんを探したいところだ。


ジェフさんやエラさんが居れば父もいるだろう。


〈このまま辺りにある死体を放置しておいたらどうなると思う?〉


〈この周りの魔物が臭いを嗅ぎつけてやってくるか、


アンデットになると思うにゃ〉


〈アンデットになっちゃうんだ。それは土に埋めただけじゃだめなの?〉


〈ん~埋めるだけでも大丈夫だけど、埋める前に魔法で浄化しないとダメだめにゃ〉


〈そうなんだ、その浄化ができなかったらどうするの?〉


〈燃やして灰にすればいいにゃ、


火魔法でも人によって火力が違うのは知ってるかにゃ?〉


〈うん、知ってるよ、ママがすごい火球見せてくれたことがあったから〉


〈魔力を上手に込めることによって火力が上がるにゃ、


なのでかなり強い火球なら燃えて灰になるにゃ〉


〈そっか浄化は光魔法だから使える人少ないだろうし


村や町じゃない所なら燃やすしかないんだね〉


〈教会とかの聖職者なら使えるとは思うにゃ〉


やはりそうか、この世界ではちゃんと埋葬しないとアンデットになるようだ。


それならなおのこと魔物が来る前に見つけたい。


テルが一緒にいてくれるが、いま戦闘は避けた方がいいだろう。



そんなことを考えて辺りを見て周っていたら、


ある防具を見つけてしまった・・・


そう見つけたくない状態でだ。


下半身は魔物の凶暴な攻撃により完全に押しつぶされ、


かろうじて形を保っている上半身も両手を失っていた。


顔は血の海と化し・・・防具がなければその人物と分からないほどだった。


何度も見たことがあるこの防具の持ち主それは・・・



ジェフさんだ・・・そして近くに剣も落ちていた・・・。


あぁ~~~~そんな・・・ジェフさん。。。


もしかしたらと想像はしていた、


でもジェフさんならうまく逃げれたかもと思っていた、


思いたかったのかもしれない。



〈テル、この遺体を回収してくれる?剣とかって回収できるよね?〉


〈わかったにゃ、大丈夫にゃよ〉


ジェフさんの遺体がこのあたりにあったということは、


ここから西側にいる可能性があるか。



さらに周辺を気にしながら西側の方へ来ている。


このあたりも被害も相当酷い。


どこを見ても崩れた建物の残骸が山のように積もっている。


瓦礫の散乱している片隅に魔法使いが使う杖を発見してしまった、


そうこの杖はエラさんの杖だ・・・


だが遺体は見つからなかった。


〈かなり西側まで来ていたんだな・・・〉


〈そうみたいにゃね、この先は川があるからそっちに誘導してたのかもにゃ〉


〈テルこの杖も回収してくれる?〉


〈わかったにゃ〉


〈じゃぁ川の方へ行ってみようか〉



西へ進み続けるとやがて川の流れが視界に入ってきた。


そこでまた見たくないものを見てしまった。


エラさんの遺体だ・・・


エラさんの遺体は片腕を欠いていたものの、


全体的に見れば損傷はそれほどひどいものではなかった。


これならなんとかリズちゃんに見せれないことはないが


見せていいのだろうか?


9歳の女の子が見たらトラウマになりかない、


しっかりと心を決めたとしても、


後に残るのは辛い記憶に違いない。


本人に確認してそれでも見るというなら見せよう。


〈この遺体も回収してくれる?〉



あとは父だけか・・・見つかればいいけど。


〈わかったにゃ、ちょっと急いだほうがいいかもしれないにゃ、


魔物が近くまで来てるにゃ


強い魔物じゃないから戦闘自体は大丈夫にゃけど


たぶんこれからどんどん増えてくると思うにゃ〉


まだ父が見つかっていない、


テルがいるとはいえ魔物に囲まれればさすがに何が起こるかわからない。


リズちゃんもいる・・・


一度どこか休める場所を探して休んだ方がいいかもしれない。


一度休むとして明日続きをやる?


また明日探すとなってもその頃にはここは魔物でいっぱいなっているだろう・・・


ジェフさんもエラさんも死んでいた。


この状況で父だけ生きている可能性は?


かなり厳しいだろう・・・


もし死んでいたとしてもせめて遺体だけでも探してあげたい。


でもテルが言うぐらいだからもしかしたら危険な状況になるのかもしれない。


今はまず自分とリズちゃんの安全を第一に考えないといけないはずだ。



そして辺りに積もった瓦礫を見つめながら


「ごめんね、パパ、探してあげれなくて・・・」


〈よし、テル移動しよう、魔物に囲まれる前にここから移動しよう。


どこか避難できる場所があれば助かるんだけど〉


〈わかったにゃ、それならこの川を渡って下った先に洞窟があるにゃ、


あそこなら大丈夫にゃ〉


〈じゃぁそこまで行こう〉


テルの背中に乗りながら後ろを振り返る・・・


パパ探してあげれなくてごめんね。


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