第26話 やっと出会えた?


母との突然の別れに気持ちがついていかない・・・


もっと何かできることがあったら・・・


たとえ使い魔と会えなかったとしても魔法が使えるようになって


5年もたっていたのに。


しかし今はそんなことさえ考えている時間さえもらえない状況だ。


いつまでもここにいる訳にはいかない、


いかなのだが体が動かない、いや動きたくないのかもしれない。



そんな様子を見ていたトラ型魔物が話かけてきた。


〈マーティー、ママさんを影の中に入れるかにゃ?〉


「影の中?」


〈影の中に入れておけばこの世界の時間の枠組みの外にあるから


今の状態で保存されるにゃ 


人族の風習みたいなのはよくわからにゃいが


この森に置いていくことはしないにゃ?〉


「そうだねありがとう、お願いできる?」


〈わかったにゃ、じゃぁやるにゃ〉


そうして母の遺体に近づいてたと思ったら遺体が地面の中へ沈んでいった。


あれだあの日転生した時に影に沈んでいったやつだ・・・


〈これでいいにゃ、それでこれからどうするにゃ、


この女の子起こして大丈夫かにゃ?〉


リズちゃんは腰をぬかしてそのまま気を失ってしまっていたんだ・・・


そうなるしそうなってた方がよかったかもしれない。


いろいろありすぎてトラウマになるレベルだしね。。。


とりあえずここより安全な場所に移動してからのほうがいいかもしれないな、


話聞くのに時間かかりそうだし


「ここ近くに安全な場所があるかわかる?」


〈ん~このあたりの魔物なら大丈夫だからどこでもいいにゃ〉


「大丈夫っていうのは戦っても勝てるってことだよね?たぶん・・・


ん・・・村がどうなっているのか、


生存者がいるかどうかわからないよね?」


〈そうにゃ、このあたりの魔物は余程興奮状態でなければ


威嚇すれば逃げていくにゃ。


この近くで人族の気配はいないにゃ・・・〉



人族の気配はないか・・・わかってはいた、


わかってはいたけどやはり現実を聞かされるのはくるものがあるな。


でも父とジェフさんエラさんは冒険者だもしかしたら逃げられたかもしれない、


もしダメでも亡骸は見つけてあげたいな・・・


「無理ならいいんだけど、僕のパパとジェフさんエラさん、


ジェフさんとエラさんはそこにいるリズちゃんのご両親なんだけど、


どこかに逃げているかどうか確認したいんだよね。


もし見つからないようならせめてその亡骸を見つけることはできないかな?」


〈ごめんにゃ、ちょっとわからないけど一緒に行って探してみるにゃ?


でも他にも死体があるから、特に女の子は見るの耐えられるかにゃ?〉


だいたいどの辺りにいたのかはわかるけど、


たしかにリズちゃんには耐えられないよな。


でもそのまま放置ってわけにもいかないし、


それでも一度村がどうなっているか確認はしたいな


「村を襲った魔物はまだいるのかな?」


〈それはいなくなったにゃ、


それと頭の中で話しかければ声に出さなくても聞こえるにゃ、


考えていることは伝わらないから安心するにゃ〉


そうなんだ・・・〈聞こえてる?〉


〈聞こえてるにゃ~2人で背中に乗って移動するかにゃ?


女の子は背中に乗せてくれれば魔法で制御するから落ちないにゃ〉


〈そうなんだ・・・すごいね。じゃぁそうしてもらおうかな。


とりあえず村の様子を見たいから村に行ってくれる?〉


〈わかったにゃ、移動しながらいろいろ話すにゃ〉


〈そうだね、君は誰?ってところから聞かないとね〉


〈あ~そうにゃね、いろいろあって忘れてたにゃ、ごめんにゃ・・・〉


まずはこの魔物?たぶん使い魔に聞かないといけない、


あの暗闇の声の主のことを・・・




〈たぶん君は使い魔なんだろうけど名前はあるの、


そしてあの日僕に話しかけていた暗闇の声の主は誰なの?〉


〈名前は【テル】にゃ~


主様がテルの尻尾が大好きでテイルからテルになったにゃ~


声の主はマーティーにわかりやすく言うと天使様が近いにゃ〉


〈天使?真っ暗闇で姿がまったく見えなかったんだけど天使だったんだ、


神様みたいなものとは違うの?〉


〈神様とは何というかちょっと違うと思うにゃ、


神様は大きな器というか流れみたいなものを作るんだけどその後は何もしない。


天使様も細かなことやすでに起こったことに対して


世界の根幹に関わることじゃないと関われないにゃ〉



世界の根幹・・・かかわらないじゃなくて、関われない?


事後処理しかやってはいけないのか、


それも何かしら制限みたいなのがあるのかもしれないな。



〈それでテルは天使様の使い魔なんだよね?〉


〈そうにゃ、天使様が直接マーティーに話かけたりするのは


できなくはないけど、


やらない方がいいからテルがいるにゃ〉


ん~やはり制限みたいなのがあるんだな。



〈天使様なんだけど結構いい加減とうか自由奔放な方で、


天使様たちがいる世界はなんというかとても平和?というか


何も起こらない所なんだにゃ、


何も起こらないからみんな静かにいろいろ世界を見て過ごしているんだけど


あの方はそういうのが苦手というか・・・


退屈になってしまって自分勝手にいろいろな世界を


見て回ったりしてたにゃ・・・


そんな世界の一つがこの世界なんだけどにゃ〉



ん~なんだか話がだんだん怪しくなってきたな・・・


これは大丈夫じゃない展開になるやつだよね。



〈この世界も含めていろいろな世界があって


そこで起こることには干渉してはいけないにゃ。


でもその世界を構成する根幹にあるものを破壊したり


バランスが偏りすぎたりしたら


世界そのものを壊してしまうから干渉することがあるにゃ〉


「さっきから言ってる根幹にあるものって何?」


〈いろいろあるにゃけどこの世界なら魔力がその1つにゃ、


魔力をこの世界から失くしてしまったら生存自体というか


生まれることさえできなくなる生き物がでてきてしまうにゃ。


この世界を作った時にいろいろな生き物が生まれるようにしたにゃ、


人族、魔物、動物、妖精、精霊なんかにゃ。


ところがこの世界の人族がどういうわけか


魔力が濃い場所の魔力を少なくしようとして、


その結果その場所から魔力が一時的に失われてしまったにゃ〉


〈魔力がその場所からなくなると何か不都合があるの?〉


〈魔物は同じ種族同士から子供が生まれたり、卵で生まれたりしてるにゃ


だけどバランスを取るため魔力が濃い場所からも


魔物が生まれるように作られていたのにゃ。


その魔物たちが生まれることが出来なくなるのはまずいにゃ、


そこで天使様が干渉したにゃ、


したんだけど少しだけのつもりが世界にとっては


大きな干渉になってしまったにゃ・・・〉


いやいやいや、それはそれで極端すぎるだろ・・・


〈それでも人族はまた同じように魔力が濃いエリアから


魔力を失くそうとしたにゃ~


魔物が少ないほうが人族にとっては生きやすいからにゃ~〉


〈それはそうだよね〉


〈それにまた干渉したら堂々めぐりになってしまったにゃ、


人族も疲れてしまって人口なんかが減ってしまい


そこであきらめてくれたらよかったにゃけど・・・


召喚魔法を使って魔物と戦う者を呼ぶようになってしまったにゃ。


その中に強い力を持った者が現われることがあったから、


どんどんやるようになってしまったにゃ~〉


〈そんな理由で召喚されるなんて・・・〉


〈もともと天使様が良かれと思って干渉した結果が


どんどん悪い方向へ行ってしまったにゃ~


さすがに天使様も責任を感じて天使様をやめたにゃ〉


だからどっちもいろいろ極端すぎるだろ・・・というか


〈天使ってや~めたってやめれるのか?


天使をやめるって【堕】天使ってことじゃないのか?〉


〈責任を感じてやめたっていうは表向きの話で、


半分ぐらいは堂々巡りでいろいろ面倒くさくなって自由になりたかったにゃ~〉


ダメなやつか・・・駄目な天使系【駄】天使かよ・・・


〈で・・・その【駄】天使と僕とどういう関係があるんだ?〉


〈【駄】天使ww言い得て妙にゃw


世話がやけるから何だか心配で近くに居たいと思うにゃけどね・・・


いろいろあって面倒くさくなったのは本当なんだろうけど、


いろいろ干渉しすぎて結果、世界を崩壊させるのは


さすがに申し訳ないと思ったのか最後の足掻きなのか。


ほんとに手遅れになる前になんとかしようとして


人族が召喚魔法をしている時にマーティーの召喚途中で


別の召喚魔法にすり替えてこの世界にき来てもらったにゃ


今以上に人族が何かすれば


他の天使様が干渉するかもしれないにゃ~〉


〈本音駄々洩れだし最後の方にちょっとわからない部分があったんだが?


それにもしかしたら別の天使が干渉していたかもしれないけど、


おれを召喚した?そんな世界に召喚するってそれは駄目だろ・・・〉


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