第18話 ヘクター、シェリー、ジェフ、エラ 視点 1
ヘクター、シェリー、ジェフ、エラ視点 1
教会で子供たちと別れた4人は魔物がいるであろう北側の門へ向かった。
4人ともこれだけの被害を受ける魔物と戦うのはもしかしたら初めてかもしれない。
冒険者時代はいろいろな魔物と戦闘したが、
これほどの規模となると4人でなんとかできるレベルではないだろう。
しかし逃げるにしてもどんなモンスターなのか
何匹いたのかは最低限確認しないといけない。
確認した上で4人では無理でしたと言えばまだ領主などにも言い訳できる。
それでも開拓地に来ることを決心した4人に
冒険者としての経験を生かしてほしいと言われ他の開拓民より待遇がよかったのだ。
何かしらの罰があるかもしれない。
もしかしたら村がこのような状態になってしまった責任のすべてを
4人に押し付けられるかもしれない。
誰かが責任を取らないといけなくなったら村長と4人が最初に名前があがるだろう。
「この感じだとどんなモンスターがいると思う?」
ジェフが走りながら言った。
「これだけ火のまわりが早いと、ただ火事が燃え移ったって
感じじゃないだろうから普通に考えて火属性の魔物だろう」
ヘクターがジェフの質問に答える。
火属性の魔物それは人間の火属性と同じようで同じではない、
火力が人間の撃つ火属性より数倍強いのだ。
そして火を噴くタイプ、火を体に纏って突っ込んでくるタイプといろいろといる。
魔法を使う魔物の中でもやっかいな部類だ。
「火魔法か~それだと相性が悪いから嫌だな~」
シェリーがほんとうに嫌そうな顔をする。
シェリーは火魔法の他に風魔法も使えるが、火魔法の魔物だとかなり相性がわるい。
火魔法は耐性がありほぼ効かない、
風魔法は効いても周りの火が舞ってしまって火事がひどくなる。
平原ならまだしも村の中では戦いづらい。
「小さいながらも設置していた北門が破られて火を使う魔物か・・・
アルマドだったらやっかいね」
エラが過去の戦闘を思い出しながら言う。
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アルマド・・・2~3メートルぐらいの大きさで基本的には4本足で移動する魔獣
こちらから攻撃をしなければ人を見ても襲ってくることは少ない
魔物の中では比較的大人しい性格をしている
しかし一度攻撃されると体を丸めてボール状になり
あたりかまわず転 がり、転がりながらジャンプもする
皮がかなり硬いので物理攻撃だとはじかれてしまう
さらに体に火をまとうためよほど素材がほしい場合を
除いては見かけても戦闘はしないようにする
村や街に入ってきたら災害レベルになる魔獣だ
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もしアルマドだったら村や街に入ってきたら災害レベルになる魔物だ。
「アルマドだったら村の中ではなんともできないから、
出来るだけ被害を抑えつつ、何とか西の川の方へ誘導して
興奮状態から落ち着かせてあとは様子見しかないよな」
ジェフが大まかな作戦を言う。
「そうね、西の川の方へ誘導してそのまま川を越えて森の方へ
行ってくれればラッキーよね」
シェリーもジェフの作戦に同意のようだ。
「アルマドじゃなくて少し大きなトカゲとかならいいんだけど、
あいつら火は吹くけどジャンプまではしないからな」
ヘクターが希望的観測を話す。
「ジャンプというか空にいるトカゲならドラゴンって話になるしね」
そしてエラが一番最悪のパターンを言う。
ドラゴンが出てきたら最悪だが、もう逃げるしかないしその選択をとっても
誰も文句は言えないし言わないだろう。
それでも戦えというやつがもしいるとしたら1人しかいない国の王だ。
国中の兵士を集めてなんとかできるかもってレベルの敵に4人で
挑むのはバカのやることだろう。
村とかではなく下手したら国さえ亡びるのだ。
「ドラゴンか~小さい頃物語で読んで見てみたいと
思ったこともあったけど実際は見なくて正解だよな~」
そして4人は魔物がいる場所までついて見たものは・・・
「アルマドだったか・・・しかしアルマドがなんで村に突っ込んできたんだ?
村人なら危険だってみんな知ってるから戦闘するようなことしないだろう」
村人の誰かがアルマドを刺激して村へ逃げてきたのかもしれないと思い
ジェフが怒りの顔をしながら言い放つ。
「もういるんだから仕方がないさっきの作戦でいこう、
なんとか西の川へ誘導するんだ」
ヘクターが言うとエラが誘導するためにアルマドの西側へ移動して
水魔法を詠唱しヘイト役をかってでた。
「ウォーターバレット!!!」
直径1メートルほどの水球が5個ほど形成されアルマドへむかって撃たれた。
火を纏っている魔物にとって水魔法で攻撃されるのはかなりの嫌がらせだ。
「ウォーターバレット!!!」
さらに5つの水球がアルマドへ向かって撃たれた。
アルマドが水魔法を撃っているエラへ向かって丸まりジャンプし突進してきた。
ドスーーーーーンと ものすごい重い音がする。
アルマドの攻撃をよけたエラだが、
エラがいた場所はアルマドによってつぶされている。
このまま川へ誘導するのはいいが、村はそれだけ被害を受ける・・・
しかし装甲が硬いので物理攻撃は効き辛い。
出来るだけ直線距離で川まで誘導する、
アルマドに対処するためにはこれしか方法がないのだ。
それこそ上級魔法を連発できるような魔法使いがいれば別だが
そんな魔法使いなら冒険者じゃなくて国の宮廷魔導士になっている。
そしてそんな宮廷魔導士がこんな少し前まで開拓地だった村にいるわけがない。
しかしヘラのヘイト誘導で少しづつだが川の方へ向かっている。
これでなんとか川へ行ってくれれば何とかなるかもしれないと4人が思った。
ところがアルマド入ってきたであろう北門の方から
突然の轟音と共に咆哮が聞こえた。
ドスーーーーン・ゴゴゴゴゴ、ギャーーーーーー
「なんだ?」
ヘクターがいきなりの音に状況を把握しようとする。
「もう1匹いる!」
シェリーがもう1匹のアルマドを確認する。
「え?どういう・・・」
ヘクターが驚きの顔を隠せない
「嘘だろ、こいつら1匹でいる魔物だろ!」
ジェフもなぜもう1匹いるのか理解できないという顔をしている。
「・・・
シェリーが可能性としてはうすい推測を話す。
「まさか・・・何かおかしい、おかしいが今はそれどころじゃない、
2匹目もなんとか誘導するしかない」
ヘクターが覚悟を決めて物理攻撃が通じずらいアルマドへ攻撃を開始する。
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