第12話 魔法を使う前に
さてこの世界にやってきてというか強制的に送り込まれて5年・・・
やっと、やっとですよこの日がやってきました。
魔法を使える第1歩を踏み出そうとしているマーティーです。
朝食を食べ父はジェフさんと魔獣狩りに出かけ、母と一緒に午前中は畑仕事をしている。
畑仕事をしながら魔法について心構えと基本的な部分の説明をいろいろと
教えてくれた。
「マーティー、魔法を教える前に覚えておいてほしいことがあるの」
「覚えておいてほしいこと?」
「そう、魔法はとても便利で私たちの生活にもいろいろと使われているし、
攻撃魔法と言って魔物討伐にも使われていたりするの」
「うん」
「でもね」
「でも?」
「絶対にやっちゃいけないこともあるの」
母の声のトーンが急に変わった。
「やっちゃいけないこと?」
「絶対にやってはいけないこと。なんだと思う?」
魔法を使う上でやってはいけないこと、当たり前といいば当たり前だが
「人に向けて使ってはいけない?」
「そう!攻撃魔法を人に向けて使ってはいけない。もちろん盗賊や悪い人などに
襲われたり戦争などでは別だけど基本的には人に向けて使ってはいけないの」
ま~そうだよね、攻撃魔法は刃物や前の世界でいうと銃と一緒のようなものだ。
というか戦争で魔法使うんだな。
当たり前といえば当たり前か・・・
この世界では前の世界の銃や火薬のようなものを見たことがない。
もしかしたらあるのかもしれないが、こんな少し前まで開拓地でやっと村になった
ような場所に自衛で銃や火薬があってもそれほど不思議ではない。
むしろあった方が自然だろう。
国の法律で禁止されているのかもしれないが、さすがに冒険者兼でこの地に
やってきた両親が持っていないとは考えられない。
もちろん例外はあるだろうけど魔法は人に向けて使ってはいけない。
例外は自分で判断するのかな?
「わかった、人に向けて使わないよ。でもママその例外って決まりみたいなのがちゃんとあるの?」
「ん~一応あるにはあるんだけど、国によって違ったりするし
ちゃんと運用されているかどうかは難しいわね」
「そうなんだ」
「でもむやみやたらに人に向けて魔法を使ったらどの国でも問題になるというか罪になるわね」
それはそうだよね、銃規制がない国でも乱射したら罪に問われるよな。
「魔物に対しては問題ないの?」
「あ~それもあったわね。やっぱりマーティーはよく気がつくわね」
「そうかな?」
「普通そんなこと子供が気にしないと思うわよ」
「で魔法を使っちゃいけない魔物なんているの?」
「まずだめなのはテイムされている魔物に対して使っちゃだめね、
もちろんこれも例外はあるわよ。
テイムが制御されてなくて暴れ出したら自分の身を守らないとだめよ」
ま~そうだよね・・・制御できなくなったりするのか・・・
あれ?テイムしている人間が死んだ場合はどうなるんだ?
「ママ、テイムしている人が死んじゃったら魔物ってどうなるの?」
「それは契約してテイムするから契約者が死んだらたしか
7日ぐらいはおとなしくしているの。
その間に新たな契約者を見つけるか
専門にテイムモンスターを商売にしているような人たちがいるのよ。
そこに送られて新たな契約者を見つけるのが普通だけど、
そういうのが間に合わないときは殺されちゃうわね」
「そうなんだ」
「それがなかったら怖くて街の中になんて入れられないわよ」
「そうなの?」
「マーティーだから言うけど、もしもよ街の中にテイムした魔物をいれて、
その契約者をわざと殺すとか自殺とかしてみなさい、どうなると思う?」
「あぁ・・・それはダメなやつだね。あぶない考えの人がやりかねないね」
「そうでしょ?それでもやろうとすればやれるだろうけど、そんなことやった国は
周りの国から信用されなくなって結局は自分たちの首を絞めることになるわ」
「そうなるよね」
「で話戻すけど、あとは攻撃しないほうがいい魔物もいるのよ。魔物も全部が全部
好戦的じゃないから、こちらから攻撃しなければ問題ない魔物もいるの
ただしそういう魔物に限って攻撃してしまうととんでもないことになったりするから気をつけないといけないの」
「そんな魔物いるんだね」
「そういうのはおいおい覚えていくしかないわね」
「うん、わかった」
「それと攻撃魔法を練習するときは広い場所でやらないとダメよ
制御といって使い方をミスして関係ない方向に行ってしまって、
そこに人がいたら大変なことになるからね」
「あ~なるほど、それも気を付けないといけなんだね」
「最初の内とは特にね、属性によって場所の広さが多少かわってくるけど
火魔法はとくに広い場所、それも木や燃えやすいものがない場所でやらないとだめ」
火事になって魔法の練習をしてました、すみませんじゃ許してくれないよね。
「わかりました~」
「それじゃぁ魔法を使う前に魔力を制御できるように訓練しないとね」
「魔力制御?」
いろいろ説明を聞いて自分なりに要約すると、
解放の儀によって体内に魔力が流れるようになったが
体内に流れる血液を自分の意志で止めたりそれこそ逆方向に流したりすることは
無理っていうかやったら死ぬような気がするが、
魔力は訓練によって留めておいたり、
量を多くながしたり少なく流したりすることができるようになるという。
むしろこれがかなり大切らしい。
この魔力制御がちゃんとできないと魔力量が多くて上級魔法が撃てるような素質が
あっても魔法を発動したら大変なことになるらしい。
自分だけが怪我するぐらいならいいが、周りを巻き込むらしい。
最初はもちろんかなり意識を集中しないとできないが、無意識とまでは言わないが
瞬間的にできるようにならないと攻撃魔法は使えるが発動するまでに
時間がかかりすぎてダメだということだ。
こちらに突進してきている魔物に対して攻撃魔法を使おうとして意識を
集中したはいいけど、
実際に発動するときにすでに自分の目の前に魔物がいたりしたら
攻撃魔法どころではないといった感じらしい。
それにこの魔力制御がうまくできないと外に出力する時に体内の魔力の調節ができないので
いきなり全部の魔力を放出してしまうなんてことが起こることもあるそうだ・・・
前の世界の水道の蛇口の調節のイメージでいいのだろうか?ちょっと違うか?
人の中にはうまく外に魔力を出力できない人もいて、そういう人は体に魔力をまとい身体強化をして
戦う戦闘方法をしているそうだ、父やジェフさんがそのパターンみたい。
そして魔力制御の練習方法は母曰く、と~~~ても地味な作業らしい。
まずは魔力を【意識】して感じること、この【意識】してっていうのが重要らしい。
慣れてくると意識しなくても、体内の魔力を感じられるが
【意識】して魔力を感じることによって徐々に魔力操作が楽になるようだ。
魔力量が比較的多い人は無意識に魔力を感じてしまうために
魔力操作があまりうまくできないが物量でカバーするタイプの人が多いらしい。
本来なら転生してきてそういう魔力量が非常に多いって
おチート様があってもいいような気がしないでもないが
どうやらそういうおチート様の部分はぼくにはないようなので地道にやるしかない。
地味にいろいろやるのは慣れてるしね・・・
黒歴史をとてつもなくアップデートした経歴の持ち主だ。
魔力操作はそれこそ歩くときに右足をだして、次は左足、つま先からついて~~
みたいな感じで魔力を感じる。
遠回りのように感じるがそれをやることによって後から楽になるらしい。
しかし何が疲れるかってそんなことをやっていると集中力がもたない・・・
よくあるラノベ的なおへその下あたりに~とか全身を循環させて~~
みたいなのも意味がないわけではない。
母はおへその下というより目と目のあいだ印堂という場所で集中して
練習したらしい、人それぞれなのでやりやすい場所が自然と見つかるようだ。
魔力は見えないしイメージがやっぱり大切なのかな?
とりあえずは魔力操作の練習方法はわかったので暇さえあれば練習あるのみだ。
これがちゃんとできるようにならないと攻撃魔法は教えてもらえない。
せっかく魔法が使えるようになると思ったのにまた振り出しに戻ったようです。
いつになったら黒い猫さんに会えるんだろうか・・・w
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