第11話 解放の儀

この世界に来てやっと魔法が使えるようになるかもしれない。


そのチャンスを掴むため僕はある部屋の中にいる。


そして机の上にある水晶に手を乗せようとしている・・・


僕の手が水晶の上に乗り透明だった水晶が少しづつ碧く染まった。


これはどうなんだろう?いいのか?ダメなのかな?


水晶の中をよ~~く見ると碧く染まっていたのもが渦巻いていて、つい見とれてしまっていた。


水晶から目をはなし神父さんを見た。


「うん、この色なら規定値内だね、大丈夫だよ」


と神父さんが言ってくれた


「ありがとうございます」


よかった・・・これで解放の儀をおこなえるよ。ここまで来て魔力量多いね~残念また今度とか言われたら暴れる自信があったw


「では解放の儀を行うので隣にある魔法陣の真ん中に立ってくれるかな?」


神父さんがやさしく言ってくれた。


魔法陣の真ん中に立つ・・・それは前世のアニメで見たような感じになるのなら魔法陣から光がでてきて~~~みたいな感じになるのだろうか?


「怖がらなくていいよ。この国で生まれてきた子供は小さい内に魔力を間違って使わないように仮封印をしているんだよ」


「仮封印?」


おいおい初めてきいたぞ、そんなこと・・・マザーよ・・・なぜそれを言ってくれないw


それは話しておいていい事だと思うよ?それならいままでの魔法の訓練は全くと言って意味が・・・。。。


なんかいろいろ崩れ落ちそうな気持になった。


「そう仮封印だよ、小さな子供の内から魔力を体内にあまり流しづづけると体が魔力に耐えれなくなって最悪死んでしまったりするんだ」


なるほど・・・魔力量が多いパターンと近いけど備えあればって感じなのかな?


それで死んでしまう子供が減ればそれでいいし、間違って魔法を使ってしまうことも減らせるし国の政策としては間違ってないか。


ま~教会としてもこの儀式をやるってことで発言力みたいなものがあったりするんだろうな。


「それを防ぐために生まれてすぐに仮封印をして魔力を封印しておくんだよ。


そして今日問題なければその仮封印を解くことになるんだ」


なるほど・・・やっぱりそれは知っておきたかった情報だ。


いろいろ黒歴史を更新し続けたことは・・・くそぉ~~心が折れそうだよ。


「わかりました、それでこの魔法陣の真ん中に立つだけでいいのですか?」


「そうだよ、真ん中に立ってくれたら私が魔法陣に魔力を流す。そうしたら仮封印を解いて魔力を解放するんだよ」


「なるほど、それで解放の儀って言うんですね」


「そういうことだね、じゃぁはじめるけどいいかな?」


「はい、大丈夫です」


水晶が乗っている机の前から魔法陣の真ん中へ移動した。


「魔力を込めたら魔法陣が光るけどびっくりしなくていいからね。毎年びっくりして逃げちゃう子もいるけど落ち着いてその場にいてね」


ま~足元が光はじめたら普通びっくりするよな。僕は人生2度目ですけどね?


「では、始めます」


神父さんはそう言うといつのまにか手にしていた杖を両手に持ち目を閉じた。


そして魔法を詠唱した。


「アカパラ・ペムベバサン!」


詠唱したのち持っていた杖の先を魔法陣のある地面につけた・・・


魔法詠唱って今みたいな感じなんだな・・・無詠唱ではないんだ・・・


事前に言っていた通りに魔法陣が光始めた、たぶん神父さんが持っていた杖の先を地面につけたことで魔力をながしたんだろう。


魔法陣の光は白から緑色に変わり、さらには碧、そして赤、茶色と変わり再び白になった。


まさにファンタジーだ!


魔法陣の中心にいた自分の足元から白い光が渦を巻いて包み込んできた。


それはとても綺麗な光だった・・・


光に包みこまれるのは人生2度目だが前回は途中で止まるというなんともいえない状態だったなと思い出してもいた。


あれは酷かったな・・・いま思い出してもなんだったんだと説明してほしい気持ちになる。


有り得ないよな。明らかに失敗しましたって感じだったし。


今回は足元から体が消えるようなこともなく、途中で光が消えて影が現れることもなかった。



足元から渦巻いて包み込んでいた光がだんたん消えていき完全に消えたところで


「終わったよ、解放の儀おめでとう」


と神父さんが笑顔で伝えてくれた。


「ありがとうございました」


これでやっと魔法が使える・・・やっと前へ進めるとうれしくなった。


「では来た扉から帰っていいからね、気をつけて帰りなさいね」


と神父さんが言ってくれた。


入ってきた扉を開け来た道をもどっていくと両親が待っていた。


「「どうたった?」」


「解放の儀終わったよ~」


「そっかよかったな、じゃぁ帰ろうか」


父が笑顔でそう言うと


「今日はお祝いしないとね」


母は微笑みうれしそうだ。


「ママ、魔法教えてよ、ね~~いいでしょ?」


「はいはいわかりました、明日からね」


「やったー!」


「よかったなマーティー」


「うん、楽しみ!」


帰り道ジェフさんの家に寄ってジェフさんエラさんリズちゃんとみんなで自宅にもどりお祝いをしてくれた。


リズちゃんが自分のことのように喜んでずっと隣でこちらを見てくれている。


ほんまええ子やな~。


「マーちゃんおめでとう、これで魔法使いになれるね」


「リズちゃんありがとう、明日からママが魔法教えてくれるって」


「すごい魔法使いになって私にも教えてね」


「来年はリズちゃんも解放の儀だからいっしょに練習できるよ、それにエラさんも魔法使いだよ?」


「うん、でもマーちゃんに教えてほしい」


「そうなの?じゃぁリズちゃんに教えてあげれるように頑張って魔法覚えないとね」


リズちゃんはとてもいい笑顔をしている。



リズちゃんに魔法を教えるのもいいけど、まずは自分が魔法を使えるようになって何とか行動範囲を広げないとな。


この世界に来てかれこれ5年・・・はやく黒い猫さんを見つけて説明をいろいろと聞きたい。


まだこの世界に来てスタート地点にも立っていないような気がする。


いきなりこの世界に送り込まれて5年も放置状態・・・そういうプレイはリクエストしてないですよ?新しい扉も開けるつもりはないですからね?


黒い猫さんにいろいろ説明聞いたところでどうなるのかはわからないし、もしかしたら自分がやりたくないことをやれって言われるかもしれない。


それで使い魔から逃げるようなことがあっても魔法が使えるようになっていて損することはないだろう。



その夜は遅くまで大人たちは楽しんでいたようだ。


ま~何か理由をつけて楽しみたいってのもあるんだろうな。


村では娯楽っていう娯楽はない。


何か理由をつけて飲むぐらいなものだろう。


街とかにいけば飲み屋もあるんだろうけど、この村にはさすがにない。


リズちゃんは途中で寝てしまった。


リズちゃんが寝ている横でずっと僕の手を握って離さないでいるって不思議イベントも発生したがそれはご愛敬。


僕もいつもより少しだけ遅くまで起きていたけどさすがに眠くなってしまった。


よし明日から魔法の練習だ!



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