第9話 思ったようにならない異世界ライフ

5歳までは魔法を使えない現実を知ってモチベーションだだ下がりのマーティーです。



解放の儀まで魔法どころか魔力さえ扱ったらダメという現実を知ってどうしたらいいのかいろいろ考えてみた。


まずその解放の儀によって急に魔力が扱えるようになるって不思議設定がどうにもわからない・・・


解放ということはそれ以前に封印みたいなことをしているってことだよね?


魔力が多すぎで封印するような人がいるとも言っていたしな。


儀式を行わなくても魔力が多ければ自然に魔力を扱うことができるようになるということだよね? 


もちろん身の丈に合わない魔力で体が耐えられなくて死んでしまったら意味がないんだけども。



今現在3歳の時点でその兆候がないということはやっぱ転生者すげ~~って感じのあふれんばかりの魔力量は僕にはないということだろう。


そこは転生者特典であってもいいと思うだよね。


しかし計測して標準より多い場合は今度は10歳まで使えなくなると・・・


転生してきたことを考えるとこの世界の普通の子供よりも魔力量が多いって可能性はあるような気もする。


そうなった場合最悪あと7年も魔法を使えない・・・


ま~別に魔法を使うためにこの世界に来たわけではないんだけれども、


魔法を使えた方がいろいろな所に行きやすいし、そうしたら黒猫さんも見つけやすくなると思う。


あと2年と7年じゃめっちゃ差がありすぎる・・・暗闇の声の主さ~~ん、使い魔の黒い猫さ~~~ん


私はここにいますよ~~と叫びたい気分である。



周りの大人たちの会話などを注意深く聞いている。


何かしら役に立つことがないか、聞きのがさないように日々送っている。


周りの目を気にして生きていたのは前世では得意だったしなって・・・嫌なことを思いだしてしまった。。。


とりあえずはあと2年何かしら抜け道的な方法がないか、試行錯誤するとしてあとは黒い猫さんを探すために体を鍛えないといけないだろう。


子供の体でどのくらい動けるのか不明な部分はあるが魔物がいるような世界だ、戦うことは子供でも鍛えれば無理ではないだろうが勝てる気がしない。


そうしたら魔物を見たらその場から逃げのびれるぐらいの体力はほしいところだ。


前世では運動なんて体育の授業以外やったことなかったからな・・・部活はもちろん帰宅部だ。


実は運動神経が抜群だけど部活は面倒だからな~って帰宅部をやっているなんて設定はない。


ん~~~体力がつく運動・・・運動・・・ランニングしか思い浮かばない・・・でも外に自由にでることはできない。


何かないだろうか・・・・・・父が狩りにでかけない日は畑作業の前に家の裏で剣の素振りをしている!


それに参加もしくはその時にいっしょに外にでて走りまわるのはどうだろうか?


子供のやることだ、ただ走り回っているだけで楽しそうにしていても大丈夫だろう。


何が楽しいのか見ていて僕は不明だったが、子供ってそういうものだと周りも普通は思うだろう。


今なら自分は子供だ、それが使えるかもしれない。


とりあえず何でも試してみよう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして計画決行の日がやってきた。


「パパおはよう~今日は剣術の練習するの?」


「マーティーおはよう、剣術の練習?あぁ朝ごはん食べたらやるぞ~」


お!これはチャンスからもしれない


「パパの剣術の練習見ていていい?」


「剣術に興味あるのか?」


「うん!パパの剣術かっこいいから僕もやりたいけど、まだやらせてくれないでしょ?」


「そっか~パパかっこいいか~」


よしこれはあと一押しかな?


「うん、パパの剣ふってるのかっこいいよ」


「そっか、そうじゃぁ仕方がないな~さすがにマーティーに剣術教えるのはまだちょっと早いかもなしれないけど~見ているだけならいいぞ」


「うん、ありがと~」


「先のごはん食べちゃうぞ~」


「シェリー、マーティーがパパの剣術はカッコいいってよ~」


「マーティーどういうこと?ママの剣術もカッコいいわよ?」


「え?ママの剣術?魔法じゃなくて?」


「そうよ、ママもナイフ使うの上手なのよ?」


「そうなの?ママのも見たいな?」


「そうよね?ママのも見たいわよね?」


「うん、見せてくれる?」


「マーティーが言うのなら仕方がないわね、あとで見せてあげるわ」


「う・うん、ありがとねママ」


なんでこうなったんだ?


僕は外に出て走って体を鍛えたいだけだったのに。



そしてなぜかウキウキして朝食を食べている両親を見ながら自分もご飯を食べ終わり、パパもママもウキウキで準備をしている・・・


そしてなぜか謎な気合が入った両親が裏庭に居る。


「よし、マーティー見てろよ~」


「マーティー、ママのナイフさばき見ててね」


2人の妙に気合の入った素振りが始まった。


達人は素振りだけでも見えない相手と戦っているって聞いたことあるような、ないような気がするが今日は何か違うものが見える・・・気がする。。。


そして15分ほど見ていたら、今度は2人で模擬戦が始まったというか始まってしまった。


なるほど、これは素人が見てもすごいのはわかる。


何がどうすごいのか説明できないのが素人なんだろうが、すごいな~っていうのはわかる。


父はロングソードと呼ばれるぐらいの長さの木剣で母はナイフの木剣で戦っている。


父が剣の長さを利用して母に剣を振る。


母は父の剣を避けナイフの届く間合いに入って切りつけようとしていた。


とっさに後ろに下がる父・・・動き速!


「ヘクター今身体強化使ったでしょ?」


「ああ・・・」


「そっか~」


なんだ・・・使っちゃダメなのか?


「じゃぁ私が使ってもいいのよね?」


「そうだな・・・でもそれだとマーティーが見えないかもしれないぞ」


「そうね・・・じゃぁマーティーが見えるぐらいで使うわね?」


お~たぶん身体強化をちゃんと見られるってことだな。


これはチャンスだ、魔法が見れる!


そして再び模擬戦が始まったんだが、よく見えない・・・動きが早すぎて見えないのだ。


まさか身体強化がこれほどまでとは思わなかった。


せめて魔力を纏っているの見ようとしたがまったくそんなものは見えない。


魔力って見えるものじゃないんだな・・・


こうなんていうのか体の周りが光ったり燃えたり?して、魔力すげ~~~みたいなのはないんだなと。


スピードが速すぎて見えないし魔力見えないしこれはここに居てもあまり意味ないな・・・



2人が模擬戦やってる間に子供のふりをして楽しそうに走っていよう。


2人は2人でなんだか楽しそうだし、僕は本来の目的である体力づくりをしよう。


子供のフリって体は子供なんだが、正直ただ走っているだけで楽しいってことはないよな・・・子供って不思議だ。


苦しそうに走っていたらそれこそ何やっているんだってことになるし、とにかく走って体を鍛えよう。


今できることはほんとにこれくらいしかない。


悲しいが魔力も魔法も使えない。


そして魔力は見えない・・・


魔法か~~この世界の魔法はなかなかハードルが高いな・・・



こうして2日に一回笑いながら楽しそうに走るという子供を演じるという苦行がはじまったのである


本当に大丈夫だろうか、僕の異世界ライフは・・・






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る