第14話 Wählen Leute
【Attention】
エグめの歴史の捏造入ります。並行世界のフィクションだから許してくだせぇ!!!(土下座)
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「――で。しっぽ巻いて逃げ帰って来たって訳ね。」
ICPO日本支部のラウンジに戻ってきたメンバーは、
撤退を決めた
今回はICPO top secret 002の
忍は自身の判断が正しいと思っているし、もちろんこの判断で生じた責任は全て引き受けるつもりだった。
FBI勢は知らないが、安井司令の「おしおき」と称した拷問まがいの行為や、厳しい現場にわざとソロで振られたり日に何度も出動させられたりすることに対して腹をくくった上での決断だった。
ICPO top secret 006の
top secret の存在が表に出るより何倍もマシだし、ICPO top secret 003の
初期メンバーである忍は安井司令のエグさに慣れていたのもあって、帰還時に「説明は全て俺がするから、何もしゃべるな。変に反応するな。」と言い、全てを一人で引き受けた。
裏事情を知るICPO top secret 009の
大きなため息をつく安井司令の横に居たエリック副指令が口を挟んでくる。
「あの……警察は結局どうなったんです?」
「さぁ。全員死んだんじゃない?何せ、相手は
エリックの問いに答えたのはICPO top secret 003の
忍が答える予定だったが、自分が言ったほうが隠せると踏んだのだろう。
「――そう。姿を見られていないなら、こちらと関係ないからいいけど。」
あれ?
もしかして、撤退の判断を怒ってはいないのか……?
忍たちは安井の態度に疑問を覚えた。
「え――安井……さん……?」
安井の切り返しに、エリックが反応した。かなり戸惑っている。
対して安井は何が問題なのか分かっていない様子だ。
「……?散々忠告したのに引かなかったのは向こうでしょ……?」
「ですが……。」
「特殊部隊も出て来なかった。ということは、彼らは捨て駒だったのよ。この件を以って、警察の『敵討ち』という大義名分にしたかったんじゃない?」
「そんな……!」
安井のあっさりした考察に、エリックの顔色が悪くなる。
悲痛な顔を浮かべるエリックに、安井は更なる追い打ちをかける。
「敵を作って内部を団結させる。それに、警察って【事が起こらないと動かない】でしょう?犠牲を払ってでも
「そん……な……。」
「これからこちら側を邪魔して来るでしょうね。本当に厄介よ。」
安井は再度ため息をつき、top secret に向き直る。
「と、いうことで。これからは時間勝負よ。いち早く現場に到着して、さっさと粛清するのが求められるわ。連携取って頑張って
「……!?ちょ……安井さん!?」
安井はそう言い、さっさとラウンジから退室していった。
エリックは安井を追いかけていった。
取り残された top secret は驚いていた。
「え……?嘘だろ……?好き勝手したのに??まさか、お小言も【お仕置き】も免除……?マジ……??警察が全滅した後に
忍は信じられない、と言わんばかりに呆けていた。
「――……!!」
ICPO top secret 001の
この後の忍の置かれる状況に対して相当苦しく思っていたらしい。
他のICPO勢も本心からほっとしたような面持ちだった。
「……油断しない方が良いよ。時々時間差で来るし。――今日のことは聞かれてもこれ以上話すのは禁止だよ。絶対に。例え、エリックさんであっても。情報はどこから漏れるか分からないから。」
殺死屋は室内を見回し、 top secret 全員に告げる。
全員がその言葉に頷いた。
特に血縁者知人が関わっていたメンバーは固く口を閉ざす事を誓った。
ただ、FBI勢とΣは黒真珠の異常な反応や、忍が言った【お仕置き】が気になる様子だった。
かなり生命の危険を感じたため、今のところは胸の内に秘めておき、後で個人的に伺おうと思った。
「もう、今日は解散で良さそうだよね。」
「……そうだな。エリックさんが持って来たコレは明日にしよう。もう、今日は無理だ……。」
殺死屋が解散を提案し、疲れ切った忍が賛同した。
他のICPO勢も肯定する。
本当は今日の集まりでエリックさんが持ってきた資料を調べて、手当たり次第に当たっていく予定だったが、この状況では碌に集中できないだろう。
「……
「あ、ああ。――いいよな?」
黒真珠に問われ、FBI top secret 001の
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翌日。
朝練を終え、FBI top secret 006の
服装は学校指定の黒の学ラン。ボタンを開けた状態で上着を羽織り、ワイシャツは第2ボタンまで開けて中の色シャツが見えていた。
ちなみに、私生活では髪はくくっていない。仕事の際にのみ1つにまとめていた。
「えー、第二次世界大戦では日本はドイツ、イタリアと組み枢軸国として戦っていた。結果は知っての通り負けたが。」
世界史の教師は教壇で歴史の教科書を開き、授業を進める。
「戦時中、ドイツ国内で悲惨な虐殺事件があった。これはホロコーストと呼ばれている。迫害され虐殺されたのはユダヤ人で――」
成宮は瞳を閉じる。これ以上聞いても無駄だからだ。
だって、これは表の歴史。
裏側は――
本当はただの虐殺なんかじゃない。
真の目的は、ナチスが
表に出ているのは
ドイツ語で
最初に
偶然何かしらの能力が高い人が見つかり、研究を重ねていた。
その後、ユダヤ人にあらわれるのではないかという仮説が誕生し、のちのホロコーストへと繋がった。
可能性がある人種を一気に収容して、その中から該当者(
あとは民衆に対して煽ったように、酷い目に遭わせて虐殺してしまえばいい。そういう考え方だった。
本当は探せば全世界に居る。滅多にいないだけで。
だが、発現率はユダヤとなぜか日本がトップクラスだった。日ユ同祖論があるのもこのせいかもしれない。
top secret に日本人が多いのは上記が原因である。
フランスのリヨンにあるICPO本部からやってきたICPO top secret 008の
また、双子に発現する場合が多いようだ。ゆえに一部の収容所では残虐な双子の実験をしていたのだろう。
枢軸として手を組んだ日本も
だが、どこかから情報が漏れたのだろう。戦後統治したGHQ(主にアメリカ)が日本に多く発現することを知り、統治を長引かせながら研究を重ね、後に
技術が進歩し、血液から
top secret の発足もほぼ同時期だ。
そして更なる技術の進歩により、
3か月前にFBI top secret 002の
その上、幸せすらも残されていなかった。
――ああ、本当に嫌だ。
自分にとって何の役にも立たない歴史の授業に辟易しつつ、成宮は本格的に寝る体制へと入る。
そういえば、最近殺された
強化実験の被害者――被験者が
他の
これが敵の能力が高すぎる理由だった。
――本当にやめて欲しい。俺らが死ぬだろ。
特に【
忍にしょっちゅうしごかれてるはずのFBI top secret 005の
……何かでデバフ、発生してくれないかな。強化された
川隅はあの日、アドバイザーのような形でICPOの建物に出入りしていたらしい。
成宮(朝吹)たちとしては、川隅が死んだのは大きな幸運だった。誰が好き好んで実験体になりたいと思うかよ。マジで。
しかも、勝手に投薬される可能性が濃厚だった。有無を言わせず自分の身体を好き勝手されるとか嫌すぎる。
この事実を知った時、心の底から敵であるはずのエルダに感謝したものだ。
何回か取り逃がしても良いと思った。本当に。
「――彼らは強制労働させられ、最後はガス室送りに――」
ああ、うるさい。面倒臭い。
成宮は瞳を閉じ、意識を手放した。
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人が多く閉塞した空間から立ち去り、屋上へと上がる。
本来は屋上は施錠されているのだが、コツさえつかめば上がりやすいルートがあった。
不法侵入になるのかもしれないが、気にしないことにする。……普段やらされていること(
伸びをして、新鮮な空気を吸い込む。
――最近は本当に気が滅入る。
どんどん過酷になるし面倒だなと思っていると、ふと誰かが上がってきた気配を感る。
振り向いたら、そこに居たのは――。
「――え。マジ?」
「え――。お、お疲れ様……?」
屋上に上がってきたのは、なんとFBI top secret 004の
学ランを着用しているが、成宮同様かなり着崩しており、前も開けている。
髪は黒に近いこげ茶で、センター分けのショートヘアだった。左目だけ二重だった。
ちなみに
襟を立て、首からは双眼鏡を下げている。前側はダブルボタンで、薄めのベージュの衣装だった。胸ポケットにはエリックさんからもらった十字架のピンバッチがついていた。
また、首に付けているチョーカーには爆薬が仕込まれており、セーフティーを解除して2色の液体を混ぜ、チョーカーを外すと爆発する仕組みだ。こんなものを首から下げるのは怖すぎるが、一縷は万が一の時のために着用していた。
得物は鉄バット。持ち手を回転させると金棒になる仕様だった。
時々住宅解体用に使われるようなハンマーを持って現場に行くこともある、近接戦闘メインの隊員だった。
まさか、同じ学校だったとは。
「……えーと。何て呼べばいい?」
「成宮。……2年の
「俺は相原。3年の
なるほど。
……ん?
「相原……?3年……?」
その名前と学年には何故か聞き覚えがある。
いい噂ではなく、もっと悪い噂のほうで――!?
「――って!ウチの学校の一番の不良じゃねーか!!」
成宮は驚き、相原に対して大きな声で言ってしまった。
――まさか、訓練で培った実力を、罪もない一般市民に使ってないよな!?
成宮の相原を見る目を見て言いたいことを察したのだろう。
相原は言いにくそうに口を開く。
「あー。転校初日で変なのに目ぇつけられて、謝っても殴りかかってきたから、手加減しつつ徹底的にボコしたらそうなった。」
どうやら不可抗力だったようだ。
「……運ないな。相原先輩も、喧嘩売った
――本職に率先して喧嘩売る不良って……。
そのくらい見分けろよ。
成宮は呆れた。この学校の不良は本当にレベルが低いようだ。
「相原でいい。……仲間だろ。」
どうやら「先輩」と付けずに呼んでいいらしい。
成宮は無用なトラブルを避けるため、人の目があるところ以外では大人しく従うことにした。
「……それに、そういう成宮は、すい星のごとく現れたバスケ部のエースじゃん。」
「もう辞めた。」
相原は成宮のあっさりした切り返しに戸惑った。
「え。……あー……
「ああ。……それに、ちょっとやってみたかっただけだし。」
口ではそう言ったが、成宮としては本当はバスケを続けたかった。
部活に精を出す、普通の中学生をしてみたかった。
だが、
「そっか。……あの体育教師、荒れそうだな。顧問だろ。」
「あの熱血ジジイは放置一択だろ。」
「だな。」
「……ふっ……!」
日常らしい会話をし、二人して噴き出す。
いつもは仕事や訓練の話ばかりで、私生活を隠して関わっていた。
まさかこんな日が来るとは思わなかった。
周囲の目がない屋上でなら、
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成宮は放課後、ICPO日本支部へと赴く。
到着して更衣を済ませ、地下で自主トレーニングを行う。
地下では既に忍と鬼火が訓練を始めていたので、そこに混ぜて貰った。
反対側のスペースでは殺死屋とΣが戦っているようだった。あちらはかなり特殊な戦い方をしているようだったので、今日は避けることにした。……何だあれ。糸?何で刃物で切れないんだ?
しばらくすると学生組は全員集結したようだ。
チームのメンバーが居るようならチームメンバー内で戦い、それぞれの戦闘の癖を探る時間にあてた。
2時間は経っただろうか。
上に戻ろうとしたとき、出動要請がかかった。
《出動要請よ。今回はDチームで向かいなさい。》
……俺のチームだな。
地下に居た
ラウンジには死神ネルガルがすでに到着していた。会社帰りでちょうど着替え終わったところだったようだ。
「揃ったね。じゃ、出動しよっか☆」
ネルガルの発言を受け、Dチームはラウンジを飛び出した。
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「こんなもんか。」
粛清を終え、一息つく。
今日は
それでも凶悪犯罪者の集団だったのだが、4名で当たるとなるとかなり楽だった。
「いやぁ……。思った以上に意思の疎通、楽だったねぇ……。」
ネルガルは驚いていた。
このDチームは、まさかの全員脳筋だった。
基本突っ込んでいき、ダメな時は引く。ヤバそうだったら
……寄せ集めとはいえ、ものすごく楽だった。手に取るように仲間の思考が読めたのだ。
各々がやりやすさに感心していると、
「今日もでっかい花火、打ち上げたったわ。」
「【打ち上げる】じゃなくて【投げつける】じゃないかなー……?」
「あ゛あ?」
アイデンティティの危機なのか、即座に一触即発の空気へと変化した。
「心底どっちでもいい。」
「スムーズに仕事が出来れば何でもいい。好きにしてくれ。」
あの威力が半端ない、お手製の自称花火(普通にヤバめの爆発物。だが花火らしく、火花の色がめちゃくちゃ綺麗。)が飛んでくるのは御免被りたかった。
どうやら、
現場を見たらものすごく納得ができた。
ICPO top secret 006の
頭にはねじり鉢巻き。黒髪の短髪。
瞳は赤いが、人相を変えるためのカラーコンタクトらしい。元々は黒目だそうだ。
黒のタートルネックの長袖Tシャツの上に青色のはっぴを着込み、腰は帯で締めている。はっぴの背には丸の中に人喰いと書かれていた。
ズボンも黒色無地だが、はっぴの所為かかなり目立って見えた。
靴は忍同様、黒の直足袋だった。
得物はお手製の花火。その他煙幕なども作成し、持ち歩いているようだ。……あれだけの爆弾(花火)はどこに隠しているんだろうか。はっぴの内側は謎だった。……まぁ、朝吹のフード付きパーカーの中身もかなり謎ではあるのだが。
ライターは予備を含めて複数持ち歩いているらしい。
対してICPO top secret 008の死神ネルガルは、名前の通り死神のような恰好をしている。
黒紫色のフード付きの袖有りの長めのマントを羽織っている。中央は下まで降りるタイプのファスナーで、ファスナーの取っ手部分――首元付近には月と十字架をモチーフにした大きめのチャームがぶら下がっていた。足さばきがしやすいように、ファスナーは太ももの半分程度で終わり、それ以下は閉じずに左右にわかれていた。
裾や袖口はシルバーの布で細く覆われており、それぞれ十字架が同じ色であしらわれていた。
髪は黒っぽいくせ毛のショートヘアだが、瞳は紫色をしていた。
中に着ている服は同じく黒紫。
長袖Tシャツの上に、おしゃれな軍服のようなジャケットを着用していた。
ズボンは無地で、太ももに近接用のナイフを携帯するためのベルトが2重につけられていた。
上着もズボンも裾は折り返され、マントと同様にシルバーの布で細く覆われていた。
……マントの中は何かやたらかっこいい感じだった。
何かのアニメに出てきそうだが、かっこいい外人が着るとかなりさまになっていた。
得物は
柄の部分は一応伸縮できるらしいが、刃物の部分は持ち運びの際、かなり場所を取るようだ。ゆえに出先からの出動の際はナイフメインで戦っているらしい。……現実的過ぎて、ちっとも死神らしくなかった。
ICPO勢の
本当に、何でそんな恰好とネーミングになってるのかが不思議だった。
朝吹は基本
いくつか使ってみたが、朝吹にとっては武器を使うよりも即座に接近して殴ったり、握力にモノを言わせるほうが楽だった。
サブで刃物や銃を持つ程度で丁度いい。……朝吹は top secret で一番の脳筋だった。
「これ、帰還後報告して解散でいいよな?」
「ああ。」
「同じく。」
「じゃ、みんなで帰ろっか☆」
忘れ物が無いかを確認し、Dチームはさっさと現場から帰還した。
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