第6話

「 …やめて。私も忘れるし、あなたも忘れて。」


頬を撫でる彼の手を掴んで、下ろすとまたしても彼はふわふわと笑い始めた。



「 昨日と全然違うね。面白い、伊織ちゃん。」



…… 伊織ちゃんって…何なんだ。

私たち、そんな仲良くなったわけ?

本当に少しも思い出せない。



「 ムッとしてるでしょ、可愛い。」


からかってのか、コラ。


ただ、この男は絶対に歳下のくせに色気が物凄い。

ふわふわと笑っているかと思えば、髪をかき上げる仕草はしっかりと大人の男性だ。


これは…絶対モテるし相当遊んでる。



…もういやいや。男に振り回される人生はいや。

これを戒めに私はしばらく一人で生きていくんだ。

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