「 … 」

その男にゆっくりと目を移すと、眠そうな目でジッと私を見ていた。

…綺麗な顔。

こんなにパニック状態でもそう思ってしまうくらいには整った顔立ちをしている。

小さな顔。スッと通った高い鼻。

綺麗なアーモンド型の目に、色素の薄い茶色の瞳がとても印象的だ。

顔立ちこそ綺麗で大人っぽいが、少し寝癖のついたふわふわとした黒髪が相まって私よりも年下と見た。

「何も覚えてないって顔だね。」

ふっと笑うと、彼も体を起こした。

図星をつかれて、ハッと我にかえる。

「何が何だか… 」

なんとか思考を凝らして思い出してみるものの、こうなった経緯は何一つとして思い出せない。

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