第3話:アブラハムの来客
中国は広大な土地を持つ国だ。場所によっては近隣の市でも、日本なら複数の都道府県にまたがるような広さがある。
シンジは古ぼけたノートPCを開き、本体に残されている地図を開く。地図データはパンデミック前の物なので、情報は古い。だが、地殻変動が大きく起こるような年月は経っておらず、そう簡単に陸地の形が変わることはないので問題にはならない。
湖州市から上海市までは約137キロメートル。大阪を出発点とすれば、和歌山県白浜までの距離である。シンジは白浜にはあまり興味は無いが、行ったことはある。なので、何となく距離感は掴めた。
この距離は24時間休み無しで歩いても、一日とちょっと掛かる。労働時間と同じく8時間だけ一日に歩く事にした場合、約3日半。車であれば3時間で済む距離だが、動かせる車があるかどうか、荒れた道路状況などを考えると簡単ではない。
シンジ達はこれまでも断続的に車を拾っては乗っていたが、長期間放置されたバッテリーが劣化してて保たなかったり、ガス欠ですぐ止まる事が多かった。
「わたし、あんまり動物殺したくないんだけど……」
「なんか急ぐ理由あンの? 野犬なら任せろ! 俺っちの射撃は
「一長一短ですね。いずれにしろ、道路が走れなかったら歩くしかないですし」
喧々諤々とミーティングを行いながら、シンジは黙って成り行きを見守っている。
移動できる車をわざわざ探し回る時間を無駄にするよりは、徒歩でも前に進んだ方が良い。車はその道中で見つかればいい。幹線道路沿いであれば、見つかる可能性はあるだろうと考えていた。
シンジのこれまでの人生経験としては、いきなりこれを自分だけで決定とするのは独善的であり、皆の意見や提案を聞いてからの方がチームが保てると思っている。
そしてシンジは、ミサキの言動に引っかかる点を感じ取っていた。カズヤの言う通り、ミサキはどこか急ぎたいと思っている、もしくは
3人がそれぞれ意見を言い終わった後、シンジは頃合いを見て口を開いた。
「こうしよう。基本は車を探して使うが、遠回りしてまで探すくらいなら道沿いを歩く。次が見つかるかもしれん。だから、少々リスクはあるが道路沿いでいこう。これでどうだ?」
もう一つ引っかかる点がある。それはミサキがこのチームに馴染む速さだ。別に徹夜でおしゃべりして仲良くなった訳じゃない。ミサキ自身は、会うのが久しぶりになる同じ日本人、しかも生き残りと話してる事で、テンションが上がってるかも知れない。カズヤは元々人見知りしない。喧々諤々の原因はだいたいこの二人だが、それにしても警戒を緩めるのが早いと感じた。
本来なら、義体化してるとはいえ異性3人に囲まれており、部分義体化であるミサキは力が弱い。殺されても不思議ではない状況だ。
──とはいえ、本当に日本に帰るという目的が一緒なら、そんな理由で切り捨てるのは下策だな。
シンジは三人の反応を待った。それぞれしばらく考え込み、ミサキを皮切りに返事をした。
「いいわ。それで行きましょう」
「それ採用、チーフ」
「妥当な選択でしょう」
人間とは不思議なもので、ある種の性格の人は、まるで前からそこに居るかのように振る舞い、チームに溶け込んでしまう場合もある。
「ま、カズヤもそうだったな」
「何ンスか?」
「何でも無い」
* * *
湖州市の北側には、上海市街の手前まで続く高速道路の650号線がある。この辺りは地震も少ないので、橋梁が崩れている可能性は低い。巨大台風で劣化している可能性があるのでリスクは伴うが、パンデミック後のパニックで放置されている車も多いだろうと踏んではいる。高速道路でキャンプしている奴も居ないだろうし、ウロつく人も少ない。何より野生動物などの襲撃は減るだろう。高架の手抜き工事のせいで、陥落しない事だけは祈りたい。
カズヤとミサキが言い合うのを背景音にしつつ、チームは徒歩で移動し、湖州出口のインターチェンジに着いた。ここまで来る間で、動かせる車は残念ながら無かった。多くは破壊か焼失している。
「だからぜってぇあのアニメ見ろって!気に入るぜ!?」
「ハァ……こんな状態で、どうやって見るのよ?」
「日本着いたらどっかに転がってるよ、たぶん!」
「わざわざ探し回って? そんな余裕があるなら、シャワー浴びたいわよっ!」
そんな二人のやり取りを、リョウジは少しにこやかな顔で見ていた。彼は煩いのは好まない方だが、やはりある程度日常会話の人の声というのは安心できるのだろう。
シンジはそんな3人を背にしつつ先行していたが、インターチェンジを登りきった時に突如、立ち止まった。彼は右手を挙げて指を揃え、上に向ける。
リョウジはすぐさまシンジと立ち位置を入れ替わり、3人でミサキを囲うような全方向警戒の陣を作る。3人は既に銃を構えて居たが、ミサキはやや遅れてから銃を胸の前で抱えた。
リョウジはしばらく前方の視野を凝視した後、小さく呟く。
「人影なし」
「クリア」
「クリア」
リョウジの言葉にシンジとカズヤが短く続く。
シンジは前方にある、損傷が少なそうなワゴンを見つけ、それを指さした。それを視認したリョウジとカズヤは短く頷き、隊列を保ったままジリジリと前進する。
ミサキはやや戸惑いながらも意図を察し、隊列からはみ出ないようペースを合わせてリョウジの後ろを付いて行った。
「あの車、動くといいわね」
ミサキは誰に向けるわけでもなく言葉を発したが、3人は無反応のまま静かに前進を続けた。普段はよく喋るカズヤですら無言のままだ。
車に触れる位置まで近づく直前に、シンジはミサキにしゃがむよう後ろ手で伝え、自分たちは運転席の左右に別れる。シンジとミサキが車の前方で体勢を低くし、運転席からカズヤ、リョウジの順で車の脇につく。
カズヤは物音が聞こえない事を確認し、シンジの方を見た。外側に視線を向けていたシンジはそれを横目で見る。しばらく周囲を見渡してから左手で拳を握りつつ、カズヤが見えるようにして腕を顔の横まで上げた。
ほんの十数秒の間だが、ミサキは緊張で数分くらいに感じとってしまう。
シンジはカズヤの顔を見てから、拳を力強く物を引くように下げた。カズヤは頷いてから、ゆっくりと運転席側のドアを開ける。少しだけ隙間を作った後、次の瞬間勢いよくドアを開くと同時に、車内に銃を向ける。
リョウジとシンジは、すぐさまカズヤの背中を守るように動いた。無言のまま動いている3人の様子を、ミサキは驚きながら見ている。
「ン」
カズヤは運転席のシートを盾にしつつ、後方もチェック。
「クリア。キレイなモンだぜ」
皆、同じタイミングで息を吐いた。
「リョウジ、頼む」
シンジはリョウジにそう言い、引き続き周囲を警戒しながら、驚いたままのミサキを守れる位置に動く。リョウジの元からある趣味の事もあり、機械関係はリョウジの担当だ。
カズヤは早々とそのまま助手席に陣取り、さっそくリクライニングにする。その行為を気にする訳でも無く、リョウジは運転席の状態をチェック。足元に転がっているキーを見つけ、リモートでエンジンを掛けた。
「アタリですね。ハイブリッドで燃料もそこそこあります。走りながらチャージできれば、ぎりぎり上海に行けるかもしれません」
リョウジはしては珍しく、微笑みの顔を皆に向けた。
シンジ達にとっては久しぶりの、ミサキにとってはようやくの車移動だ。
* * *
自然な流れで特に打ち合わせた訳でもなく、車の運転はシンジがしている。助手席にはカズヤがそのまま陣取ったままで、その背中側の後部シートにミサキが座っていた。ミサキは別にカズヤを避けている訳ではないが、頻繁に話しかけられても困るので、隠れるように静かに座っている。リョウジは自分の旧式ノートPCを出し、地図と太陽、外の風景を見比べながら、おおよその位置を推測していた。
既に速度を取り締まるような怖い組織も無く、スピード制限などはパンデミックと共に風化したが、シンジはゆっくりと車を走らせる。
車道は市街地も高速も混雑している。乗り捨てたものや半壊している車が点在しているので、おのずとスピードを出すのは自殺行為。年寄りが運転しているのかと思うほど、時速20キロから30キロの間の速度で、安全を優先した。
「ねぇ、貴方たち、何者?」
ミサキはノートPCを見ているリョウジに話しかける。
「どういう意味ですか?」
「さっきの……元軍人とかなの?」
「ああ、職業ですか。軍人ではなく一般人です」
ミサキも同じく一般人である。最初は同僚と一緒に行動していたが、戦闘なんて経験のない仲間は次々と倒れ、中にはストレスのあまり身動きする事すら諦めたり、食料を奪った上で野盗に寝返ったり……修羅場は沢山あったが、唯一生き残ったのは自分だけだ。頼れるのはこの銃だけ──その大事な相棒に視線を落としながら、ミサキは続けた。
「場馴れてるのはまだ分かるけど、事前の打ち合わせもなく、あんな風に動けるものなの?」
「それはたまたま、僕がサバイバルゲームで遊んでたのと、
リョウジは元自衛隊員でもないし、行動マニュアルを精読した訳でもない。ただ、ゲームでの実体験と、映画などでよく見る軍隊の動きを元に、「この行動にはこういう理由がある」と考え、それを覚えていた。世界が一変した後は、その合理的な考え方をシミュレーションして、何が最適かを試みたのだ。恐らく実際のマニュアルとは違う所もあるだろう、とリョウジは自覚している。
「あなたがそうでも……前に座ってる二人は?」
チームワークは一人では成立しない。社会経験があればおのずと理解できる。ただ、平和な時代でのデスクワークとは違い、体でチームワークを取るのは難しい。
「ああ。それは僕達が同じ会社の同僚だったからです、ゲーム会社の」
ミサキもゲームは少しだけやるが、もっぱらパズルや
「それにしたって……」
「理由は簡単だ。真似て、学んで、訓練して、実践する。仕事だってそうだろ?」
運転席からそんな言葉が聞こえた。ミサキは同じ言葉を、繰り返し口に出しかけたが、聞いた所で何になる、と思い口を
「ま、リョウさんから聞いて、みんなで打ち合わせて、暇ン時に訓練して……なんとか生き残れたってヤツかな。神なんて居やしないだろうが、感謝だネ」
カズヤの喋りは、これまでのテンションではなく、どちらかというとゲンナリとした声に聞こえた。
「んで、チーフがリーダーで……ってややこしいな。シンジさんが俺らの上司だったって訳」
カズヤはそう続けつつ、運転席のシンジを親指で指した。元とはいえ、目上にするような行為ではない。ただ、シンジもそれが普通であると思ってるのか、何も言い返さない。代わりにこう続けた。
「どうも、はじめまして。株式会社ビフロストゲームスのプロジェクトマネージャー、
まるで名刺交換の挨拶のような事を言い始めた。ミサキは彼なりの
「フゥン、なるほどねぇ」
ミサキはシンジの冗談を
「ミサキさんは?」
聞いてきたのはカズヤだが、これはミサキが事前に予測していた通りだ。恐らく誰かは聞いてくるだろうと思っていたので、スラスラと答える。
「TKケミカルっていう製薬会社の社員」
少し突っぱねるように短く答える。できるだけ会社の事は思い出したくない。悪い会社ではなかったが、信頼していた仲間が倒れた記憶とリンクするので、封印しておきたいという思いが、ミサキにはあった。
ミサキは窓の外に流れる風景を眺めた。誰にも会話を続けるような気配は無く、車のモーター音だけが響きわたる。
この高速道路は、湖州市の北側にある大湖という琵琶湖ほどの大きな湖があり、その形に沿うように走っている。湖はやや遠目にあるが、海の近くを走っているような気分になった。
* * *
しばらく4人は、自動車という文明の利器の有り難さに浸っていた。
だが、シンジは前方を怪訝な顔で見た後、ゆっくりとスピードを落とし、そして車を停めた。
ここまでは順調に進んでいたが、上海虹橋国際空港手前のジャンクションは通行不能だった。十数台近くの大型トレーラーや乗用車が玉突き事故を起こしたかの様相で、車の残骸が反対車線まで埋めている。
「ここまでのようだな」
車のバッテリーもガスもまだ余裕があるが、瓦礫化している車両をどかすのは無理なので、ここで乗り捨てる事にした。
「高速を降りて徒歩にしよう。ミサキさん、目的地はまだ先か?」
「あの空港が目的地よ。歩いていけるわね」
「わかった」
同意の返事の代わりに、リョウジはいそいそとノートPCを仕舞い、カズヤは軽く銃の様子をチェックした。
車を降りた4人は、リョウジを先頭にしてそれぞれ自由な足取りで歩く。汚れで読み辛くなっている道路標識を頼りにしながら、空港に向かう。
程よさそうなところにある非常階段を使って下道に降りるが、空港周辺の道路は複雑に入り組んでいる。高架も多いので日陰になり、太陽の位置が分かり辛い。リョウジはリュックのポケットからアナログな古めかしい方位磁石を取り出し、方角を確認しつつ、おおよその空港の方向に伸びている道路沿いを進んだ。
少しばかり迷いはしたが、4人は空港の敷地に入れそうなゲートにたどり着く。
「なんじゃこりゃ」
ゲートは有刺鉄線と、チグハグな形になっている大きな鉄板とで、固く閉鎖されていた。誰かがゲートをこじ開けようとしたのか、衝突した車の焼け跡があったり、ところどころ凹んでいたりする。
「軍が閉鎖したのよ。パンデミックの国境封鎖でね」
相当慌てて閉鎖したのか、鉄板も近場にあるものを片っ端から溶接し、暴動や手持ち武器では破られない程に固めている。
「地下鉄入口から空港内に入るルートがあるの。そこも封鎖していたけど、全身義体のあなた達なら突破できるかも」
「どんな閉鎖の仕方だった?」
「防火シャッターよ。途中まで軍が警備してたのか、今は死体の山で埋もれてるけど」
躊躇せず答えているところから、既に下見済みなのは気になるが、彼女もそれなりに修羅場をくぐり、死体は見慣れてしまったのだろう、とシンジは感じ取った。ここまで来ておいて、わざわざ湖州市方面に居た理由はわからないが、今は詮索するのは無意味だと思い、特に聞く事もせずに少し考える。
死体を動かすのは手間だが、防火シャッターなら銃と義手で破れないこともない。カズヤは細身ではあるが身長も高めで、義手の力も平均より強い。
「軍が警備してた、って言ったな?」
「ええ」
「上手く行けば手榴弾が見つかるかもしれん。死体を片付けながら、探そう」
「……なるほど」
シンジはミサキの返事の仕方で妙な間があった事に、少しだけ引っかかりを感じた。その方法はミサキが思いつかなかったのか、死体の数が多すぎて部分義体では無理だったのかは分からない。判断するのは現場に行ってからでも遅くない。
「道は分かるか?」
「ええ、うろ覚えだけど」
「案内してくれ」
一行はミサキを先頭にして隊列を変え、近場の地下鉄出入り口階段から降りていった。
地下は暗闇ではなく非常灯が点いていて、薄暗いながらも周囲の様子は見れる程だ。自動化が進んだ発電所がまだ生きているのか、少なくとも義体の充電ができそうな場所であり、彼女が嘘を言っている可能性は下がった。あまりやりたくはないが、義手のパーツも死体から
シャッター前は凄惨な状態になっていた。軍が暴徒化した人々を射殺したのか、文字通り山のように積もり、シャッターを塞いでいる。
シンジが大まかな指示を出し、リョウジもカズヤも黙々と死体をどかしていく。ミサキも、シンジが仕切る事に何ら不思議さは感じないまま、同じように作業をした。
幸い、兵士の死体からは手榴弾を数個と予備弾薬が出てきた。弾薬のストックがあるのは心強い。おまけにQSZ-35小型拳銃も、2丁だけ使えるものが入手出来る。これはシンジの指示で、ミサキとリョウジに持たせる事にした。
ついでに、ミサキの持っているリュックは容量が小さいので、軍用の大きなものに詰め替えさせる。物資は多く確保しなければ、生き残れない。
途中、休憩を挟みながら二時間と少し経った頃。
「ん、シャッター、穴が空いてますね」
リョウジが指さした先には、シャッターは何かでこじ開けられたという訳ではなく、明らかに手榴弾で爆破した穴が開いていた。
「既に誰かがやってたって事か……?」
兵士がパニック暴動に圧されて逃げるのであればシャッターを開ければ良い。緊急時とはいえ、近距離で爆発を起こすのはリスクが高すぎる。矛盾を感じ、シンジは怪訝な顔をミサキに向けた。
「私よ」
今度は会話の間を取る事もなく、当然の顔でミサキは答えた。
「どういう事だ?」
「私も一度、ここに来てシャッターを手榴弾でこじ開けたの。死体はそれを隠すため」
深い詮索を避けていたシンジだが、流石にこの言葉は看過できない。怪訝な顔をより深め、シンジはミサキを問い詰めようとしたが、その前にミサキが言葉を続ける。
「理由はちゃんと説明するわ。とにかく一度見て欲しい事があるの。じゃないと説明が難しいから」
シンジは問い正しの言葉を飲み込み、少し考えてからカズヤとリョウジの顔を見た。二人はまたしても「任せる」という感じである。
それを見て、シンジはいつも通りにやれやれと息を吐いてから、体格の大きいカズヤを最初にして、次にリョウジ、ミサキ、最後に自分が穴を通る事に決めた。
穴は匍匐前進でカズヤがギリギリ通れるかの大きさで、詰まっても引っ張り出せるようにするためだ。通れなかったら穴を広げればいい。
幸い、そんな手間を掛けずとも、無事4人はシャッターを通り抜け、空港内の地下ホールに続く通路に入れた。
「理由を……」
「シッ!」
聞こうとしたシンジは、ミサキに手で強く止められてしまう。その直後、ミサキはゆっくりとロビー通路の奥を指した。
その光景にカズヤが思わず声を上げる。
「な……ン、じゃ、ありゃ?」
驚きのあまりか、言葉が途切れ途切れになっていた。
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