第3話

半年後。


授業に遅刻寸前で廊下を走っていたら

目の前に教科書が散乱していた。


教科書の前で松葉杖をついた男の子が唖然としていた。


他の人のことは見えていないかのように...

この人たちは自分のことしか考えていない。


全くこの人たちは

小学校で助け合いを習わなかったのだろうか...?


あーぁ!もういい、授業遅れてしまえ‼︎


気がついた時には教科書をかき集めていた。

そのほとんどが心理学関連だった。


彼の右腕についているブレスレット。

とてもきれいなグリーン。

似ているような物を見た覚えがあった。


だが、どこで誰が付けていたのか思い出せなかった。


「すみません。助かりました、ありがとうございます。」


『いいぇ。あっ‼︎わたしもこの授業とってるよ。

もし今度あった時は声かけてね。じゃぁね。』


「あのっ...」


授業が待っているわたしには、彼の言葉に気づくことなく

そのまま授業のある教室に向かっていた。

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